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「案件外交」は一日にしてならず。種をまき続けなければ花は咲かない!

野村證券の営業時代、毎日のノルマに追われながらも続けてきたのが「案件外交」。人生何があるかわからないし、誰にでもチャンスがある!今回は営業スキルのうち「案件外交」について自分の経験を元に自由に述べてみたい。

「案件外交」がなぜ必要なのか?

そもそもなぜ「案件外交」をした方が良いのかについて持論を述べたい。野村證券では当然、月間のノルマがあった。そして、野村證券のスゴイところは今月のノルマが終わったからといって、もう稼がなくても良いということにはならない。100%を達成すれば150%、150%が達成すれば200%と自然と上方修正されてしまう。

これが野村證券の伝統的な営業スタイルであり、常に上を目指し続ける姿勢こそがトップたる所以なのかもしれない。そして、200%達成したとしても翌月100%が達成できなければ詰められる(怒られる)。自分の対象先はひたすら刈り取ることを求められ、そのため常に新しいビジネスを掘り起こさなければならない。しかし、日々の商いだけでノルマを達成するのはとてもしんどい。そのためにも「案件外交」が必要なのである。

最大の案件は上司に信じてもらえなかった

私が野村證券の営業人生で最も大きな案件は、支店として数十億の新規上場株の預かり&株式売却&資産運用案件であり、最初のヒアリングから案件の成立まで2年がかりで実現した案件である。

それには今でも忘れられないエピソードがある。私がその案件を最初にお客様から聞いたのは自由が丘視点に着任した直後。リーマンショックで株が暴落する最中、ある高齢のお客様からその話を聞いた。以下はその話を支店に帰り上司に報告した時の会話である。

私 :「〇〇さんという方が△△という株を◆万株持っているそうです。」
   「上場したら預けてくれると言っています。」
上司:「そのおじいちゃん、ボケてるんじゃない?相手しなくていいよ。」

当時、そのお客様は口座に残高もなし。確かに上司からしたら嘘か本当かわからないお客様の言うことを真に受けるより、日々の収益が大事だったのだろう。しかし、私はそのお客様が嘘を言っているようには思えなかった。その後も保有しているという会社の情報が新聞に載れば電話して伝えるようにしていた。

2年後、ついにその会社が上場することが発表された。私は目論見書を持ってすぐに訪問。「野村證券の本店からも連絡があったけど、仲野君がずっと情報くれてたから自由が丘支店に預けたい。」と言っていただけた。すぐ支店長や担当役員にも同行いただき、無事に株を預けていただくことができたのである。

在籍時に案件が成約できるかはわからない

2年と言われると気が遠くなるかもしれない。案件外交で問題なのは案件成約時にまだ自分がその部署に在籍しているかわからないということである。実際に自分が経験した例を2件紹介する。

1件目はある会社の役員の方。その方は前任者の時は取引をしていたが途中で老人ホームに入ることになり、私が引き継いだ時は取引はできない状態であった。しかも、代理人の奥様からの連絡は、入院費を払うために投資信託を解約して出金するだけ。資産家ではあるものの、私としては成績が下がるだけのお客様であった。しかし、いつか取引に繋がるかもしれないという直感があり、「相談がある」と言われれば訪問して丁寧に対応し続けた。その結果、ご主人の相続が発生した後に娘様への保険案件で大きな契約を結んでもらえた。

2件目はお医者様。こちらは口座はあるものの残高はゼロ。面談依頼の巻紙を送ったらたまたま来店してくれた。その際に「本店に資産を預けているが、遠いので自由が丘に移そうと思っている。」と相談された。しかし、その後ピタッと連絡が取れなくなった(お客様曰く、本当に忙しかったらしい)。しかし、ご自宅が支店から近かったので、そのお客様が持っている商品に関するの資料が出れば、自転車で帰りに寄ってポストに投函し続けた。その結果、来店していただき残高を移管するとともに大きな取引をしてくださった。

しかし、両方とも落ちがある。上記の2件の案件は私が野村アグリプランニング&アドバイザリー㈱に異動した後に成約されたので私の成績ではない(泣) しかし、1件目の奥様は「仲野さんにお世話になったので・・・」と後任から聞いた。また2件目のお医者様は支店に私宛に訪問してきてくださったがすでに私はいなかった。窓口でお客様の口座履歴を確認したところ、私の外交履歴が残っていたことから、私の後任に繋ぎ、資産を移管して商いをしてくださったのである。

案件外交は継続できるかどうかが鍵

ただ上記を読んでいただいたわかるように、私は難しいことはしていない。お客様にきちんと対応し、お客様の保有する資産の情報が出れば連絡していただけである。それでも日々にノルマに追われて連絡をしない営業マンがほとんどらしい。その点では継続外交ができるという意味で自分は「案件外交」に向いていたのかもしれない。

案件には必ずタイミングがある。紹介した案件では株式上場、相続、お客様の気分・・・(笑) それ以外にも、例えば法人向けの保険であれば決算前にしか話は進まない。株券電子化については電子化になるギリギリにならないと動かないお客様も多かった。要はその情報をしっかりと把握し継続して外交できるかである。

最後にもったいないな~と思う事例を紹介する。千里支店を異動する際、後任に「◇◇さんは、株券を持っていて電子化の前に預けてくれると言っている。」と伝えた。電子化の直後に支店に電話して「◇◇さん、株券預けてもらってますか?」と聞いたら予定通り数億円預けてくれていた。しかし、驚いたのが担当が誰もついていなかったのである。後任は取引がないからと担当を外れていたのである。野村證券に預けてくれたのはラッキーとしか言いようがない。フォローするだけで数億円の資産純増ができたのに後任はみすみすそのチャンスを逃したのである・・・

種をまき続けなければ花は咲かない

こういう話をすると、私が千里支店、自由が丘支店という富裕層マーケットだから案件がゴロゴロしているんだと言われそうである。確かにそれは一理あるかもしれない。しかし、私が担当したお客様は口座はあるものの預かりがなくてフォローされていたなかった先ばかり。つまり誰にでもチャンスはある。

お客様から情報を引き出すことができれば、本社の専門部署に連絡し専門家を連れて同伴をしてもらえばよい。野村證券には優秀な人材が揃っているので自分が全部を知っている必要はない。案件外交は個人でなくチームでやるものだと私は考えている。

私が今回紹介した案件の裏では山ほどの案件を逸注している。千里支店の時には3年間かけて外交した財団法人の案件では、最後の最後に参加した野村證券大阪支店の担当者が「大阪支店が関西の財団を管理しています。」と嘘をついて案件をかっさらっていった時は、本当にはらわたが煮えくり返る程悔しかった(今でも悔しい)。他にも上場案件がリーマンショックで頓挫してしまったこともある。どれも実現していたらトップセールスになれていたかもしれない(笑)

伝えたいことは、案件は「種をまき続けなければ花は咲かない」、つまり案件を探し続けれければ、案件自体が見つからないのである。「イチローですら4割弱しかヒットを打てない」とよく言われたし、まさにその通りで案件外交の可能性はもっと低い。野村證券のみならず営業マンは日々のノルマで大変だと思う。しかし、「これが決まればノルマが少し楽になる!スターになれる!!」という希望がないと多くの営業マンにとって営業はつらいだけである。是非、案件外交でワクワクするような日々を過ごして欲しい。


「農林漁業を夢のある食産業へ創造する」というミッションを実現するために活動を続けております!何卒よろしくお願い申し上げますm(_ _)m