6、会計士のキャリア

会計士試験に合格すると、ほとんどの人が監査法人に勤めます。

それを前提に、その後、会計士がどういうキャリアを送っていくのかを書いていきます。


1、監査法人の退職パターン

監査法人の退職理由は主に以下の4つです。

① 思ってたのと違う

② 会計士試験合格をきっかけに退職

③ 各職位の後半で、昇格出来ずに退職

④ つまらない&将来の不安からの退職


では、それぞれ退職者はその後どういうキャリアを送るのか。


2、退職事由別のNEXTキャリア

① 思ってたのと違う

スタッフとして入社直後に辞める方が毎年一定数はいます。

これは、これまで机に向かって試験勉強をしていたのに、突然社内外色々な人とのコミュニケーションが求められることに加え、入社直後ほど0からなので時間が掛かり、結果的に激務にならざるを得ないためです。

この場合、会計士になるための「終了考査」の受験資格(2年の実務要件)を満たしていないので、受験資格を満たせる経理部門等で働く人が多いです。

(参考)修了考査については以下参照。

② 試験合格のタイミングで退職

このタイミングで退職する人や、この1~2年度に退職する人は、ⅰ監査はもううんざり ⅱもう少しゆったりと働きたい ⅲ試験受かったから独立に向けて動きたい という人が辞める印象です。

経理実務をそこまで把握している年次でもないので、

ⅰ・ⅱは次のキャリアとしては経理マンになって実務を経験しようという人が多いです。ⅲは会計事務所に転職する人が多いです。


③ 昇格出来ずに退職

前提として、監査法人の職位は上から、1、パートナー 2、シニアマネージャー 3、マネージャー 4、シニアスタッフ 5、スタッフ の5つに分かれ、それぞれ約4~5年ごとに昇格していきます。それぞれの在籍比率は、パートナー1割、シニアマネージャー1割、マネージャー2,5割、シニアスタッフ2,5割、スタッフ3割程となります。


ⅰ シニアマネージャー または マネージャー での退職の場合

⑴ 一定規模以上の企業の経理部・経営管理部の管理職ポジション

⑵ 独立開業

おそらく、畑違いに行くと収入が著しく下がる or 募集がないので、大企業の管理職ポジションか、いっそ独立して自由に という発想になるのかと思います。


ⅱシニアスタッフで退職の場合

職位としては管理職は経験していないものの、現場では管理業務はしており、また、シニアスタッフ後半になると在籍10年を超えていますので、経験もあります。さらに、年齢的にも30代の中盤ぐらいのため、一定の需要はあります。

⑴ 小~中規模企業の経理部・経営管理部の管理職ポジションとして転職

⑵ 大企業の内部監査室に転職

この辺りが多い印象です。1経理部員から始めるには年齢も経験もいっているので管理職ポジション、又は、会計士が強みのある内部監査部門でまったりと過ごす人が多いように思います。


※スタッフからシニアスタッフへは、試験合格さえすれば8割程は昇格するので割愛


④ つまらない&将来の不安からの退職

監査は基本的に会計基準やマニュアル・通達に基づき、年間でひたすらルーティンを回していく業務になり、つまらない人にはつまらないものです。

また、監査法人は終身雇用ではなく、監査経験も事業会社では役に立たず、評価も俗人的でかなり不透明なため、将来の不安を感じず働けている人はいません。

雰囲気としてもそうですし、退職金の計算上も同職位で数年経つと増えなくなる規程となっているように、UP or OUT の会社です。

ですので、このままここにいても仕方ない、将来を考えて辞めていく人がスタッフ・シニアスタッフでは多いです。そういう人は

⑴ 経理部員

⑵ 内部監査室

⑶ 会計系やM&Aのコンサルティング会社へ転職

⑷ 会計事務所

⑸ 独立

等々、色んなキャリアがありますが、監査以外にももう1分野経験して市場価値を高めたい、と思う人が多いように思います。


3、会計士になっても安泰ではないが、色んなキャリアがある

会計士試験に受かって、監査法人に入ったから一生安泰という時代ではありません。

事業会社と同様、一生不安からは解放されないと思います。

ただ少なくとも、会計士資格を持ち、監査法人での経験があれば、その後色んなキャリアを歩む事が出来ます。

また、その後仕事などでしんどい時には、あの時自分はあんなに努力したんだっていうプライドと努力した過去が自分を励ましてくれます。

ですので、今試験勉強されている方は、しんどいと思いますが将来を想像しながら頑張ってください。









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