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マルクス・アウレリウス「自省録」を読んで。

約2000年の時を経て受け継がれる

哲人皇帝マルクスアウレリウス(121-180)の心の内省録。


ローマ五賢帝のラスト、

平和で安定期の最後の時代、

外敵との争い、

疫病の流行などの社会的不安、

多くの肉親の死など個人的な出来事に対し、

ノートを使い、内省を繰り返すことで、

強く自己を勇気づけ、前に進もうとしている姿が想像されます。

時代を超えて心打つ古典の最高峰。


ストア派らしく、


①万物は流転することを理解し、それに逆らわず

②自然に従い生きることで、

③アパテイア(不動心)の境地に至ること

を内省で説いています。


現在与えられているものに不満を抱いたり、

人間関係などの外界の刺激に対し、

刹那に感情的になり後悔を抱いたり、

未来に対し漠然のした不安を抱いたりしている人に

オススメしたい一冊です。


①〜③に関連する箇所を以下にピックアップしました。


①万物は流転する

4-35 
全てはかりそめに過ぎない。おぼえる者もおぼえられる者も。

7-18
変化を恐れるものがあるか。
しかし、変化なくして何が生じえようぞ。
宇宙の自然にとってこれより愛すべく親しみ深いものがあろうか。
君自身だって、気がある変化を経なかったならば、
熱い湯にひとつはいれるだろうか。
もし食物が変化を経なかったならば、自分を養うことができるだろうか。

②自然に従い生きよ

4-41
君は一つの死体をかついでいる小さな魂にすぎない。

5-1
明け方に起きにくいときは次のことを念頭に用意しておくが良い。
「人間のつとめを果たすために私は起きるのだ」

6-6
最もよい復讐の方法は自分まで同じような行為をしないことだ。

7-7
人に助けてもらうことを恥るな。

7-71
笑止千万なことに、人間は自分の悪は避けない。
ところがそれは可能なのだ。
しかし、他人の悪は避ける。
ところがそれは不可能なのだ。


③アパテイアの境地

4-49
これは不運ではない。しかしこれを気高く耐え忍ぶことは幸運である。
5-6
第三の人は自分のしたことをいわば意識していない。
彼は葡萄の房をつけた葡萄の樹に似ている。
葡萄の樹はひとたび自分の実を結んでしまえば
それ以上なんら求むるところはない。

7-69
完全な人格の特徴は、毎日をあたかもそれが自分の最後の日のごとく過ごし、動揺もなく麻痺もなく偽善もないことにある。


これらのことを忘れずに、

日々ノートに向き合い、

内省を続けていきたいと思います。

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