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【TRAIL LOG】俺たちの中央分水嶺トレイル

6月初旬、長野県は長門牧場から美ヶ原までを繋ぐ中央分水嶺トレイルを歩いてきました。
愉快な仲間たちと、楽しいハイキングの様子をどうぞ。

登場人物

・たろーくん
僕と同年代で、ゴリゴリ歩くハイカー。PA'LANTEのbackpackと奥多摩愛が深い。もともとSNSで繋がっていて、この日が初対面。

たろーくん

・utくん
20代のイケイケハイカー。健脚。スタイル良し。動画を盗撮している。以前一緒にTTTを歩いた(丹沢〜高尾)。

utくん

・よたくん
同年代ハイカー。3月に塔ノ岳で出会った縁で繋がる。MYOGったbackpackを背負う。このトレイルの主人公。

よたくん

トレイルへ

集合は長野県の茅野駅。自分以外の3人は都心から電車で、自分は車で茅野駅へ向かった。なぜか特急あずさの始発よりも早く茅野駅にutくんが到着していて、訳を聞いたら昨夜のうちに在来線で移動して、近くの無人駅で野営したという(あたおか)。たろーくん、よたくんも合流し、バスで白樺湖へ。トレイルの起点である長門牧場までは白樺湖からさらにコミュニティバスを乗り継いで向かわなければならない。歩き出しも遅くなってしまうので、長門牧場~白樺湖間はパスして、白樺湖からスタートすることになった。

ハイキングは自由でいいのだ。

まずはローソンへ
ハイカーのバックパックはカッコイイ

白樺湖~霧ヶ峰(車山)

茅野駅からバスに乗ること1時間弱。白樺湖へ到着した。
真っ先に1軒だけあるローソンへ。酒を買い足したり、エナジードリンク飲んだり、写真撮ったり、ギアの話が盛りがったり、なかなか出発しなかった笑
白樺湖の北、大門峠からすぐにトレイルに入る。
ここから最初のピークの車山までは500m近く標高をあげることになるけど、ずっと稜線歩き。ピークに繋がる稜線も見えるし、振り返ると白樺湖が望めるし、その後ろには蓼科山も見えてテンションが上がりっぱなしだった。(赤岳とか八ヶ岳連峰は雲がかかっていたけど)

車山へ続く稜線とたろーくん
白樺湖と蓼科山

ぺちゃくちゃ話をしながら、車山へ。山頂からの眺望こそガスっていて叶わなかったけど、これから歩く霧ヶ峰高原が一望できて心が高ぶった。

車山山頂
兄弟みたいな恰好のふたり

車山からはいくつかのピークを越えて、八島湿原を目指す。

車山~古峠

車山からは気持ちのいい高原のなかを歩いていく。
眺めのいいピークではしっかりと長めの休憩を取る。
どこもパノラマで景色が望めて最高だった。

「アメリカみたいだね~行ったことないけど」
広い高原の中を風を感じながら進んでいく

このチームの先頭はたろーくん。後ろに自分とよたくんが続く。そして最後尾からカメラを回しながらutくんが続く。

4人とも歩くペースや、休憩のタイミングが同じで、なんとも心地いリズムで進んでいく。

車山高原を抜けて八島湿原へ

八島湿原を抜け、その駐車場に立ち寄る。広い駐車場にトイレ、八島ビジターセンターがあり、売店も併設されていた。
しかもその売店には自販機のほか、冷たいジュースやお酒、食べ物など豊富に扱っていて、天国のようなエイドだった。

八島ビジターセンターでコーラや水、酒を調達

ゆっくり休憩して、再出発。

1日目のゴールは和田峠か、いければ扉峠まで進む計画だったけど、この時点で15時30分。
2時間ほど進んだ和田峠が1日目の現実的なゴールだった。

トレイルに戻り、鷲ヶ峰というピークまで登る。下から見たら結構な斜度のように見えたけど、歩き始めるとあっけなくピークに着いた。
山あるある。

鷲が峰のピーク

鷲ヶ峰からは下り基調。気持ちのいい稜線歩きも終わり、早く野営地に着きたいと先を急いだ。

17時30分に和田峠に到着。峠茶屋は営業していなかったけど、自販機があった。
まだ水の余裕はあったけど、夜の食事で使う分を考え、水を買うことに。
まず自分が1本、そしてたろーくん、よたくんと1本ずつ購入。ところがその3本で最後だったらしく、水が売り切れてしまった。

自分、ぽちぃ、たろーくん:ぽちぃ、よたくん:ぽちぃ、utくん:。。。。

その後、ビバークができるところがないかウロチョロし、平らな場所を見つけてテントを張った。

たろーくん、utくんはCTタープ、僕とゆたくんはローカスギアのクフ。

そこからはお楽しみの宴会の時間。
みんな350缶を1~2本、その他にウイスキーやGINを持ってきていた。
普段晩酌をしない自分も山では飲むようにしている。
ぬるくなったビールでも歩いた後の一杯は格別だ。

山で飲む酒はうまい

ビールを飲みながら、アルコールストーブでお湯を沸かす。今日の飯はThe Small Twistという旨いやつ。お湯を入れて待つだけでこんなに美味しいものが食べられるのかとびっくりして以来、テント泊の時には持っていくようにしている(1,000円くらいして高いけど…)。
食べるのを楽しみにしていたはずなのに、なぜか箸が進まない。おつまみで持ってきていた柿ピーでおなかが一杯になったようだった。

湯沸かしは楽しい(クッカーはfreelightのUL-38N)

お酒に強いたろーくんは、よたくんとよたくんが持参したGINをグビグビ飲んでいた。
utくんはいつの間にか短パンのまま寝ていた。

utくんの寝床

ギアや友達の話、話は尽きなかったけど、たろーくんの奥秩父の話が熱く面白かった。秋にまたみんなで歩きたくなった。

話が盛り上がり、気づけば23時になっていた。
翌日は雨予報。11時過ぎの美ヶ原から出るバスに乗るために、早めの4時に出発することにし、シュラフにもぐりこんだ。

夜のテント場の雰囲気が好き

気温は10℃前後。4℃対応のシュラフでは少し暑い。誰かのいびきと、遠くでは鹿が鳴いているのが聞こえる。

いつもはシュラフに入るとすぐに寝付けるのに、なかなか眠れない。耳栓をして目を閉じる。耳栓を突き抜けてくる鹿の甲高い鳴き声が気になる。
もじもじしていたら、1時半になっていた。
漫画でも呼んだら眠くなるかなと思って、スマホで「推しの子」を読むことに。これが失敗だった。読み始めたばかりということもあり、怒涛の展開に夢中になり、目がバキバキに冴えてしまった。
おまけに夕食もろくにとっていなかったから、お腹も空いてきた。
もう起きていよう。
結局、一睡もせずに朝を迎えることになった。

3時前、雨音がテントをたたきつける音が強くなってきた。

予報よりも早く雨が降りはじめ、想像していたよりも強い振り方をしている。よたくんのテントには灯りがついた。たろーくん、utくんはまだ寝ている。
雨の中での撤収を考えると腰が重かったが、お腹も減ったので、昨日食べられなかったsmall twistmを食べ、コーヒーを1杯飲んだ。

上下レインを着込み、テントの中で一通りパッキングを終え、外に出るとみんなわらわらと起きてきた。

みんないそいそと出立の準備をする中、よたくんの調子がおかしい。
昨夜に飲み過ぎたせいでひどい二日酔いになっているようだった。
大量に吐いてすっきりしたよたくんは、「めっちゃ元気になった!」と撤収をはじめた。
歩けるか心配になったけど、表情は明るく、すっきりした顔をしていたので、安心した。顔は血の気がなかったけど笑
この日あと3回も「めっちゃ元気になった」を聞くことになる…

古峠~扉峠

2日目のゴールは美ヶ原自然保護センター。11時に出る松本駅行きのバスに乗りたい。コースタイムは6時間ほど、余裕を持って歩いても10時に到着予定だ。

上下レインを着込んで出発

野営地からは、薄暗く、霧がかった白い靄の中を進んでいく。
割とすぐに気持ちのいい稜線に出た。
「晴れてれば最高の稜線だろうな~」とか言いながら黙々と進む。

そんな時、よたくんが立ち止まって、トレイル脇にマーライオン。
きれいな透明のマーライオンだった。
心拍数が上がると気持ち悪くなってしまったようで、どうにか歩いてきていたようだった。
少し休憩して歩き出すも、あまり元気はないようだった。
昨日までうきうきで写真を撮っていた彼の姿はそこにはなかった…

三峰山の稜線が美しい
絵になる男ut

稜線が素晴らしい三峰山を越えると、鬱蒼とした樹林帯歩き。
ゆるやかに標高を下げながら続く道は長く感じた。

扉峠までが長い

野営地をスタートして2時間半。扉峠に到着した。
営業していない茶屋があって、雨をしのげる休憩所で休憩することに。
この先の茶臼山というピークを越えれば美ヶ原は目と鼻の先ということもあり、もうゴールしたような気持ちでゆっくり過ごした。

ぐろっきーニキ

扉峠~美ヶ原

最後の茶臼山は400弱アップと、なかなかの斜度を登っていくことになる。
登り始めると最初の数百メートルは確かに息の切れる急登だったけど、その後は登りでありながらも歩き休い道が続き、気づけば山頂についていた。

2日目のボス茶臼山の急登
茶臼山山頂

相変わらず眺望は望めなかったけど、道端に咲くチングルマが可愛かった。

茶臼山からは高原を歩いて美ヶ原へ。
朝から雨に打たれ続けたレインはすでにびちょびちょになっていた。袖口からの水の浸水や、何年も使っていながらしっかりとしたメンテナンスを怠っていたことから、至る所から浸水し、ほとんどレインとしての役割を果たしていなかった。
自分以外の3人は傘をさして濡れずにいたのを見て、傘を購入することに決めた。(帰宅後即購入)

高原で強い風に吹かれて、体温が奪われる。
この日着ていたメリノウールのベースレイヤーが水を吸って、冷たく肌にはりつく。立ち止まると震えが止まらなくなるので、休憩は少なめに先を急いだ。

美ヶ原に入っても白い霧に覆われていて、シンボルである電波塔も王ヶ頭ホテルも見えてこない。
広大な草原の中で食事をする優雅な牛たちが印象的だった。

美ヶ原高原
ずっとこっちみてた牛

王ヶ頭ホテルの目の前までやってきて、やっと電波塔やホテルの全容が確認できた。レストランで食事をしたい気持ちもあったけど、あまりに全身びしょ濡れだったから、すぐ横の王ヶ頭のピークを踏んで、自然保護センターへ向かう。
雨足は強まる一方だったけど、もうあと20分もあるけばゴール。どことなく寂しさを感じながら歩き、10時30分、無事自然保護センターに到着した。

霧から浮かび上がる電波塔は迫力があった
いつか泊まりたい

自然保護センターではストーブで冷えた体を温めたり、カレーを食べたりして過ごし、カレーを食べたことでよたくんもすっかり元気になり、本日3度目の「めっちゃ元気になった」も飛び出し、無事松本駅行きのバスに乗車できた。
バス運転手の荒らしい運転に、軽くグロッキーになりながらも松本駅に到着。

お疲れした!

松本駅からは在来線で茅野駅に戻った。

茅野駅からは自分の車に3人を乗せて、新宿まで送ることになった。

車の中でもトレイルの余韻が残っていて、最高だったなとか、次歩くトレイルの話をしながら、楽しかった。

そんな時、すぐに眠りについていたよたくんが急に起きて、気持ち悪いといいだし、持っていた袋にリバースしてしまった。本日3回目のリバース。すぐに近くのサービスエリアに寄って休憩することに。
寒気もするようで、どうやらお酒と雨に打たれたせいで風邪を引いてしまったようだった。
幸い少し休憩したら、今日4回目の「元気になった!」を聞けたので、また出発することに。

不謹慎だけど、
初のハイクで3回もリバースから元気に復活するよたくんをなんて面白いやつだ!と思った。
ずっと忘れないと思う。

その後無事新宿に到着し、俺たちの中央分水嶺トレイルは終わった。

トレイルは約30km、獲得標高も2,200mと1泊2日では物足りないくらいのはずなんだけど、何泊もしてたくさん歩いたような余韻が残った。

これが充実感というやつなのかもしれない。

歩くって最高だし、一緒に歩ける友達も最高。




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