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【ネタバレあり ライブ感想文】TK from 凛として時雨「MAD SAKASAMA TOUR 2024」@札幌ペニーレーン24 2024.5.31(金)


 こんばんは。シリアスファイターです。


 今回はTK from 凛として時雨のツアー、札幌公演のライブ感想文です。


 以下の文章では、久しぶりにTKさんのソロワンマンに行けた興奮そのままに、演奏曲や演出について勢い余って言及し続けています。
 この記事をあげる前の段階で、ツアーはファイナル公演を残している状況ですので、今後参加される方は閲覧要注意でお願いいたします。


 それでは。




 凛として時雨も中々ライブを見れないバンドですが、それ以上に見るタイミングが訪れなかったのがTKさんのソロプロジェクトのライブ。



 静かに破壊の限りを尽くす凛として時雨の陰をそっと残しつつも、美しさや儚さが際立つようなメロディやストリングスを交えた演奏、そして心の琴線に確実に触れてくる歌詞世界。


 凛として時雨も一度聞き始めると中毒性が強くて中々抜け出せませんが、同じ中毒性を持ちながらも、ゆったりとした音像に満たされたい時に聞くのが、私にとってのソロのTKさんの楽曲です。



 ワンマンではアルバム「white noise」のツアーでのペニーレーン以来なので・・・8年振り(?)ということで、あれやこれや、生のライブで体感したい衝動貯金箱はもう破裂寸前。


 平日でしたが、この日程なら多分大丈夫だろうと思っていた予感も大当たりで、久しぶりにTKさんの世界を堪能したプレミアムフライデーの記憶と記録です。


 静謐なピアノやギターの音色が響く開演前のフロア。
 時雨のライブ同様、始まる前は緊張感を感じますが、時雨と比較すると不穏な感じは皆無。
 むしろ穏やかで優しく、ただただ時が過ぎる瞬間を静かに過ごします。


 予定時刻を5分ほど回ったところで場内が暗転。
 いつものSEとともに、バンドメンバー4人が登場すると起こる拍手と歓声は、少し遅れてTKさんが登場すると一際勢いを増します…!


 晴れやかで優しい笑みを讃えるTKさん。
 颯爽と登場し、チューニング等の準備を整え、ステージドリンクを口に含むと唐突にSEが鳴り止みます。


 しばしの沈黙の後、ライブの口火を切るのは世間的にはTKさん代名詞とも言えるあの曲の歌い出しで、会場中が静かに「ハッ!」と目覚めるような新鮮な空気に。


 珍しく、歌い出しで大きく上ずるTKさん。
 心なしか高音部のボーカルも少しキツそうな様子で、ギターのエフェクター(?)の調子も悪いのか、爆音上等の時雨のライブにしては少し音が小さい気が…。


 それでもその音像が鮮やかに突き刺す景色はいつもの如く。
 熱量は一切衰えない中、いつにも増して緊張感が支配する幕開け。



 続く「Fantastic Magic」でもギターの調子は戻らず、イントロから咄嗟にフレーズを変えながら対応するTKさん。
 その咄嗟の切り替えと、それでも目まぐるしく弾かれるギターの弦一本一本に注ぐ集中力に、こちらもジッと見入ってしまいます…!


 サビに入る頃には、須原さんによる空を飛び交うような勇ましいバイオリンの音色にドキドキが止まりません…!


 トラブルこそあれど、曲が終わる頃には熱い声援と拍手で応えるフロアの熱も只事ではありませんでした…!


 熱くて暖かいフロアの熱量そのままのような真っ赤な照明に照らされるステージで鳴らされるのは「クジャクジャノマアムアイア」ですが…
 なんですか!?
 この陽気なサンバ感は!?
 「楽しい」じゃないですか!!!



 流れてきた瞬間、時雨のライブでは味わったことのない類のポジティヴィティが身体中を駆け巡ると同時に、無意識レベルでサビのフレーズを口ずさんている私…「みんなのうた」としてのポテンシャルを細胞レベルで知覚…!


 原曲を聞いてる時に深く意識していなかった部分にもしっかり焦点が向いていた頃には、自然とトラブル続きのギターも個人的にはあまり気にならなくなり、TKさんの歌声も歌うたび、突き刺すような高音の精度と熱量をみるみる底上げしていきます…!
 自然とフロアで挙がる拳も増える増える!


 そこにTKさん節の燃料を更に投下するのは、実にトリッキーで複雑怪奇なフレーズが続く曲で、あまりに久しぶりすぎてサビがくるまで何の曲かピンとこなかった「Abnormal trick」



 「何の曲だっけ…?」と考える間もなく、複雑なグルーヴを懸命に組み立てるバンドの演奏に、心も身体もすっかり絡め取られている私。


 曲が終わり、音の残像を残すようなエフェクトのかかったギターを鳴らし続けるTKさん。


 そのままギターの弾き語りで歌い始めるのはなんと「will-ill」で、原曲とは全く異なる新アレンジでの披露…!
 ワンフレーズを歌い切った瞬間、ボーカル面での最初の違和感は完全に消え失せていました。


鮮やかな革命が血だらけに見えるんだろう?
逆さまのTransparency

will-ill


 中盤から終盤へのブリッジパート。


 原曲でもここからもうひと盛り上がりといったところですが、静かな立ち上がりから始まったこの日のアレンジでは、この歌詞で一気にフロアを覚醒させて開放感を増すアレンジへと変貌を遂げることで、私の広がる視界は止まるところを知りませんでした…!


 ツアータイトルからしても相応しすぎる選曲であることを自覚するとともに、今日もこの音に身を捧げる心持ちも整いました。


 ピアノとギターの静かな掛け合いから、こちらはほぼ原曲通りの「Signal」


 とてもシリアスなミドルテンポの曲ですが、グルーヴがすっかり乗ってきていたバンドの勢いを象徴するように、2サビに入る頃にはドラムのBOBOさんが気持ち良すぎて恍惚の笑みを浮かべていた瞬間を、私は見逃しませんでした…!


 ラスト。
 逆光で満たされるステージに、全ての楽器の音色が火花を散らし続ける爆発的な景色は、どこまでも狂おしいけど…美しい…。


 最後の一音が鳴り止むまで拍手が起こらない会場に残る深い余韻を携えたまま、靄がかかったようなエフェクトのギターが鳴り響き続けます。


 TKさんがおもむろに歌い出したその曲に、私の心はきゅっ…と反応してしまいました。

人の愛し方を歌だけで伝えないで
ありきたりな言葉と答えじゃ繋がれないよ

copy light



 いつかライブで、その歌を聞きたかった「copy light」


 ステージ上からTKさんに降り注ぐ2本のスポットライト。
 まるで8mmフィルムで撮られた少しボヤけた映像を眺めているような、どこか懐かしくて、暖かくて、寂しい音像と景色。
 瞼も心も、シャッターを切る暇もないくらい、ずっと開いて焼き付けていたい音と言葉。

誰かの声じゃ響くこともなく 
誰かの心じゃ満たせないよ
その声で叫んで その目で泣いて 
生きていくのはこんなにも痛いけど

copy light


 原曲では歌い切る「痛いけど」のフレーズを、力の限りの咆哮するTKさん。


 時雨のライブで、歌詞が分からずともはっきり聞き取れる曲はほぼ皆無ですが、ゾッとするほど誠実で真っ直ぐな歌唱だったからこそ、痛いほど心に響く歌。
 他の何者でもない自分の感性で受け止めた誰かの声を、今、こうして私の言葉で書き表す中で、改めて自分で生きようとする意志が湧いて、自分の意志で光り続けるための現実を知るための希望の音。

 最後の一音がフェードアウトすると同時に、ゆっくりと落ちていくステージの照明。


 真っ暗な会場に、確かに宿した自分だけの光を握りしめるような苦しくも愛おしい時間を、絶対離したくないと思っていた矢先、夜風を切るように静かに走り出したのは「Dramatic Slow Motion」…!


 あまりにも美しすぎる夜の幕開けが改めて愛おしすぎて…本当に時が止まったよう…!



 それでも中盤、唐突に現れた吉田さんのベースソロは、骨太でゴツゴツしすぎた異物感があまりにもたまらなくて歓声が溢れ出します…!

 感覚研ぎすませ

Dramatic Slow Motion


 曲中、TKさんが囁くように何度も繰り返すフレーズ。



 曲自体は淡々とした展開ですが、どこまでも感性が研ぎ澄まされていくような潤いに満ちた音に浸るたび、自分自身がアップデートされていく感覚…!
 忍び寄る音楽のドキドキは更に加速します…!


 疾走感そのままに熱くトリッキーに鳴り始める曲は、サビがくるまで何の曲か分からないデジャヴを再び味わうことになった「Fu re te Fu re ru」


 曲の始まりからあまりにも不可解すぎるリズムを、たっぷりの熱量で叩ききるグルーヴの鬼、BOBOさんにしっかり見惚れつつ、この曲でもギターにトラブルがあった模様でしたが、そんなことはお構いなし!!


 バシッ!!!と勢いよく曲を締めると、のけぞったTKさんがそのまま両手を大きく広げてガッツポーズ!!!


 クールなTKさんが見せたあまりにも熱すぎる瞬間に、この日1番の歓声と拍手が…!!!



 ギターを入れ替え、曲が入る前に念入りにチューニングをしつつ調子を確かめるTKさん。
 「OK!」と力強い声と合図をバンドメンバーに送ると、フロアもステージも境目がないくらい緊張の糸は解けきった中で披露される「Addictive Dancer」が、心地良く踊れすぎることたるや…!



 イントロから首の筋肉を痛めないかと多少心配してしまうほど、鋭くカクカクと動き続けるTKさんの頭部周辺の気持ちも分かるほど、歯切れ良く突き刺さり続ける、TKさん流のダンスミュージックに、TKさん中毒の私はしっかり溺れていました…。



 ここでこの日初めてエレアコに持ち替えるTKさん。


 何となく予想される曲はその予想通り「haze」で、イントロから、ぎゅっと目を瞑って真剣な表情で、ただでさえ手元が狂いそうなアルペジオを、ほぼ手元を見ずに弾き狂うTKさん…!
 奏でる音色はただただ美しいのに、ただただ人間的熱量がほとばしるエレアコギターヒーローなんて…間違いなくこの世にTKさんしかいません…!


 最後のパートに入る頃には、エレアコから聞いたことのない(少なくともアコギの音色ではない)音が、曲を更なる深い深い森の中へ誘っていきます。


 それはもちろんエフェクターによる音であることは事実ですが、こんなにも色彩過剰なエレアコの世界を、未だかつて私は聞いたことがあったでしょうか…いや、ない。


 それはTKさんのプレイヤビリティと、長年のバンドメンバーの音像表現によるものであることは、ここまでこのライブを見ていた会場にいる人であれば、本能的に理解できたのではないでしょうか。


 エレアコのまま、TKさんの美しい囁きとともにフェードインする「flower」でも、TKさんのギターショーは継続。


 最初はエレアコ、途中のパートからスタッフさんとの迅速な連携でエレキギターに持ち替え、後半の咲き乱れるようなパートに持っていく手際の良さ。
 正直、あの鋭く滑らかに動くギターの手元と、それを継続しながら歌い続ける姿を見たところで、楽器ができない私には何一つ理解不能ですが、それでもその神技にじっと見惚れながら、激しくも美しい音の世界にただただ浸ってしまうのは、結局この人の音楽が私の根本にずーっと生き続けているからなのです。きっと。



 そんなことを考えながら聞いていたわけではありませんが、それはふと、今書いていて思いました(この曲はそのくらいボーッと聞き惚れてしまいました。)。


 ボーッとしていると振り落とされそうになったのは、間違いなくこの日のハイライトになっていた「film A moment」


 7分強の中で、静けさも激しさも、バンドの持てる力量と熱量の全てを詰め込むようなこの曲は、メンバー全員に書き尽くせないほどの見せ場、聞かせ場が目白押しで、その全てを確かに切り取って残しておきたい、音楽の静寂と、暴力の瞬間。

人差し指 かすかに残った君の残像
赤くしてもいいよ
未来さえも盗んで僕は君を写した
フワリと浮かんで秘密の合図 君は笑って

film A moment



 「君」で、目の前に向かって力強く差し出されたTKさんの腕と咆哮。


 曲が終わると見せかけて、最後にはステージの明かりがゆっくりと明るくなると同時にフェードインするバンドサウンドとともに、何度も天を見上げては叫びながら、何度もギターを掻きむしり続けるTKさん。


 全ての爆発を心にしかと焼き付けて、私は心からの拍手で応えました。



 ここでライブ終了でも全くおかしくない雰囲気でしたが…



TKさん
「北海道のみなさん…お久しぶりです…!
 久しぶりなんで…最後はみなさんで歌いますか…!!」


「あっ…ようやくしゃべってくれた…えっ…もう最後…ん?…TKさんの曲で歌える曲なんてあったっk...」
 混乱の有頂天を極める我が脳内に、最後の一撃、「P.S. RED I」…!



 「そういうことか…!?」と理解した本能は大正解で、コーラス部分は時雨のライブではまず起こり得ない大合唱が響き渡るペニーレーン!!
 血気迫る真っ赤な音像に、生きる血潮たる私の拳も堪えきれず天井へ…!!

 世界を睨む不自由の女神よ
 支配は失敗だ

P.S. RED I



 誰にも奪えないライブハウスの熱狂と自由。
 今日も目の前のロックバンドと観客の自由が、何者にも支配されず真っ赤に染まりきったところで轟音ノイズを残して終了…終了?


 そう、あまりに見事すぎるライブに、もちろん私の叩く手は止まりませんでしたが、客電が点く気配もない。
 …そっか…呼べばアンコールしてくれるのか…!?
 時雨のライブといえばアンコールはないことが当たり前のような脳になっていた私。
 久しぶりすぎてソロの時がどうだったかなんてすっかり忘れていました。何だか新鮮笑


 こうしてアンコールを聞きたい気持ちも加味した上で手を叩く内、早々に登場するメンバーは5人ともすっかり解放されたような表情で、今日の序盤で感じた緊張感はほとんどありません。


TKさん
「(アンコール)ありがとうございます…!
 色々トラブルはありますが…最後までバチバチでいきますんで…!
 よろしくお願いします!」



 TKさん本人は、裏では悔しい思いをしていると思いますが、それ以上にフロアから送られた歓声や拍手には「待ってた!」「最高!」「もっとやって!」という暖かさと熱気しか感じませんでしたし、何よりステージにいる5人が、それでもここまでのライブができたことへの達成感と手応えを感じていることは、表情やTKさんの言葉の語気からも明らかでした…!!



 そんな中で満を持して演奏される新曲「誰我為」は、ヒロアカの大ファンでもある私にとっても大切望の一曲…!


 何と言っても間奏から暴れ出すギターの音像が大好物の一曲ですが…やはり…絶望的に狂気でした(最高)。


 アニメでは決して流れないパートですが、時雨としての激しさが堰を切ったように溢れ出すパート、それを経て再び闘いに赴く決意と葛藤が溢れ出すサビ。
 どこを取ってもTKさんのライブにおける新たなアンセムの誕生と言っても差し支えありませんでした…!


 JPOP界に、アニソン界に侵食し続けるTK節…◎!!!


TKさん
「今日、地方(公演)最後なんですよ…(残すは東京公演のみ)。
 だからみなさん…僕らと一緒に死んでいただけますか…!?」


 最高の狂気に、TKさんを愛するフロア中の狂嬉が渦巻くラストは「first death」!!!




 燃えるような盛り上がりを見せるフロアの様子を見ながら、血気迫る音像を奏でるBOBOさんやキーボードの和久井さんは、とても楽しそうな笑みを浮かべています…!

 永遠前にそこで何してる? 
 死ぬまで君を愛してる

first death



 TKさんがシャウトしながら、鋭く突き刺した愛の指先に向かって、更にうねりを上げて愛を突き刺すフロアの歓声!!



 指を立てて死ぬほど強烈な愛の叫びとギタープレイを魅せるTKさんに捧げる力強い拳!!


 自分で書いていてなんですが、なんて「ヤバすぎる」表現…!!!



 あまりにも激情が過ぎたラスト4分。



 TKさん
「ありがとうございました!!」


 ハツラツとした語気で、強烈なギターノイズを残したギターを床に置き、颯爽と去っていったTKさん。


 最後には、須原さんがそのギターにつまづいてしまいノイズが変わるというハプニングがむしろノイズに良い味を出して、それに続くように吉田さんもわざとギター触ってノイズを変えるという微笑ましい一幕も笑。


 こうしてスタッフさんがゆっくりとノイズをフェードアウトさせるまで、その興奮は止まることを知らず、ノイズが途切れるとともに、大きな歓声と拍手に包まれる大団円となりました。


 多くのギタートラブルを越えて、静寂に響く理性的な音も、感情のリミッターを外す激情の轟音も全て美しいし、いつも以上に晴れやかで感情剥き出しだったTKさん…!
 何があっても結局私にとってのロックスターでしかないあなたに、この日も打ちのめされました…!

セットリスト
1.unravel
2.Fantastic Magic
3.クジャクジャノマアムアイア
4.Abnormal trick
5.will-ill
6.Signal
7.copy light
8.Dramatic Slow Motion
9.Fu re te Fu re ru
10.Addictive Dancer
11.haze
12.flower
13.film A moment
14.P.S. RED I

アンコール
1.誰我為
2.first death


 今回は以上です。

 最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。

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