[生きてる限り、人生はいつだってこれからだ]ナードマグネット「アイム・スティル・ヒア」
こんにちは。シリアスファイターです。
もう本当に待ってましたよ…。
私にとってのパワーポップの頂点、ナードマグネット3年振りのアルバムがついに出ました…!
この3年の間、ちょいちょい新曲のリリースがありつつも、その間ベースの交代やら、もちろんコロナやら色々なことが積み重なって、その全てを惜しげもなく曝け出した11曲、約28分のパワーポップは、
今までで最もシリアスですが、最も生きる決意に溢れた名盤でした。
1.YOUR NEW FAVORITE BAND
リード曲みたいな扱いになるんでしょうか?
須田さんの変わらぬ清涼感ばっちりのボーカルが聞こえてくると同時に、勢いよくバンドサウンドが雪崩のように襲いかかるオープニングナンバーです。
2分という短い時間の中で、超絶怒涛のギターソロも交えつつ、噛み締めている間も無くあっという間に曲が過ぎ去っていきます。
しんどい時でも、何も感じなくなりそうなほど心が空っぽな時でも、大好きなロックバンドの曲が聞こえてくるこの時間だけは無敵で、音楽が好きな私はそれだけで救われることもあるんです。
でもそんな時間は一瞬で過ぎてしまうという切なさも丁寧に織り込まれたロックだからこそ、改めて信頼できるんです…ナードマグネット。
2.全部だいなし!
もう何もかも終わりだ…って気持ちに囚われた時の私って、気付くととんでもなく開き直って、奇想天外な言動、行動に出て状況を悪化させて、全て終わったところで冷静さを取り戻したところで、
「私…なんてことを…」
と全てを台無しにした自分を激しく責めてしまうのです。
そんな開き直って理性を失っている(失いかけている?)時の自分の様子を、克明に、しかしポップに描き出した曲です…。
イントロのさえこさんのベース、渋過ぎて好きですね…!
3.Can't Remember
ちょうどクリスマスに配信された曲で、ギターの藤井さん作曲であり、須田さんの歌詞も全編英語詞と、色々な要素がぶち込まれたミドルチューンですね。
間奏のギターソロは、いつにも増して真っ当なこれぞギターロックの王道というぶっとい音色でロックスター振りを発揮している藤井さんのロックスター振りがたまりません…!
初めて聞いた時は藤井さん曲と知らずに聞いたのですが、全く違和感のないナードマグネットのパワーポップそのものだったので、メンバー全員に色濃くパワーポップへの愛が根付いていることが証明されている一曲ですね…!
4.いとしのエレノア(10 years later)
リンクとして貼ったのは、10年前のver.です。
「この恋は呪い」というミニアルバム(サブスクにはありません)に収録されているこの曲を、現メンバーで再録+歌詞も一部直されています。
まず歌詞。
10年前は、実態としてはっきりあった「はず」のエレノアさんにまつわる体験は、今回のver.ではまるで幻のような存在として認識され、その日以来変わらぬ自分が置き去りにされたような、切なさや空虚感をより感じました…。
まあ、10年前の記憶なんてもうとても不確かなものですから、実際にあったと自分が錯覚して、都合よく記憶を書き換えているかもしれませんよね…。
それでも、自分の中の憧れの存在として想いを馳せずにはいられない…そんな気持ちは、対象は違えど誰でも抱えたことがあるのではないでしょうか?
そんな気持ちをこれでもかとぶつける演奏…10年前より格段にグルーヴ増してません!!??
特に間奏部分がエモすぎて、力強くなりすぎて、憧れへの思いは加速するばかりです…!
5.ALTER EGO
めちゃくちゃ怒ってますね。自分自身に。
社会やら学校やらに適応するために、時には上っ面を磨いて、ニコニコ取り繕って、心から笑えないジョークに笑って…、そんなの「本当の自分」じゃないとか言いつつ、結局それも自分であると認めざるを得ない現実に、ひたすら怒り狂っています。
また、決して抜けがいいとは言えないストイックなメロディが、サビに入ってもひたすら繰り返されるという曲展開で、思わず歯を食いしばりたくなります…。
そんな苦虫を噛み潰したような気持ちのまま…
6.爆発しそう
この曲に雪崩れ込むもんですから、爆発しそうどころか、ライブハウスでこの流れで聞いてたら間違いなく爆発してますよ、これ。
こんなに惨めでどうしようもない自分をこれでもかと自覚して、石ころみたいにゴミ箱の底の景色を眺めるだけなのに、現実では爆発「しそう」な気持ちを抱えるばかりなのです…!!!
須田さんとともに絶唱したくなるほど、最初に聞いた通りライブハウスで狂乱したい一曲です。
曲終わりに追加されたギターノイズがよりライブを想像させて胸が高鳴る…!
7.キャロライン
これも既発曲ですね。
とても優しくて懐かしいギターの音色から始まり、旅を、人生を続ける人にそっと寄り添ってくれるような、少しポジティブな空気が7曲目で久しぶり見えてきました…。
といいつつ、もう会えない何かや寂しさといった感情はもちろん抱えたままですし、これ以上なくメロウだけど、ずっしりとしたバンドサウンドです。
それでも、過去じゃなくて未来へ、きっとうまくいく未来に、確かな思いを馳せるには充分すぎるロックナンバーです。
夜、寝る前に聞きたい。
8.ファニーストーリー
壊れた頭で、大切な何かを覚えて、今でも思っている。
全てが終わった後でも、相変わらず続いていくこの世界は、なんだかおかしくて笑えてきちゃいます…。
2曲目と同じような感覚ですが、ナードマグネットの曲って、気持ちがシリアスになればなるほど、曲はこれでもかと言わんばかりにポップになることが多いよう感じるんですよね…。
この曲も、藤井さんのギターフレーズはとっても優しくてかわいいですし、全体的に大きな盛り上がりもなく、さえこさんの陽気なベースフレーズで幕を閉じるという、下手したらサラッと聞けてしまう軽やかさに溢れまくっているのですが、
実際はこんなに「笑えない笑い話」だよ…っていう心情と重なって、感情は再び爆発寸前です。
9.my(old)favorite band
1曲目のメロディを引用しつつ、インタールード的な役割を果たす1分ほどの弾き語り曲です。
今はライブを見ることが叶わない、大好きなあんなバンドやこんなバンド…。
帰ってきてーー!なんておこがましくて言えないけど、もし再結成して、ライブやってくれたら嬉しいな…なんてことを音源を聞く度に思ってしまう気持ちは本物です。
大好きなロックバンドは、大切な思いは、いつだって自分の胸の中に、心のどっかにあるんです。
10.DETENTION
全てを抱えたまま、それでも今も「まだ」ここにいる自分は、あれこれ繰り返しながら生きていくしかありません。
こんなはずじゃなかった!って絶唱してたあの時のことなんて、はっきり思い出せなくても、
同じことの繰り返しに見える人生でも、
まだ生きている自分は、まだここで足掻いてみる、もしかしたら全て笑い飛ばせるかもしれないから…!
このバンドを続けていく意志も色濃く、泥臭く感じる曲だからこそ、この人間味に溢れたバンドについていかざるを得ないんです…!
11.アナザーラウンド
この曲については以前も書きました。
全てを踏まえて、またここから人生が、ナードマグネットが始まっていきます。
決して順風満帆でも、ハッピーエンドでもないけど、
イントロのワウワウギターから、これ以上なく顔で!テクニックで!熱い感情を伴って!引きちぎってくれる藤井さんが、
パワーポップのビートをこれ以上なく正確に力強く叩く秀村さんが、
確かな意志を感じさせる声とともに、時に渋いベースフレーズを奏でるさえこさんが、
たくさんの怒りや寂しさやらのエネルギーを、歌詞と、その清涼感のある声と、パワーポップのワクワクするようなメロディに落とし込む須田さんが、
この4人がナードマグネットを続けて、奏でてくれることで、「まだ」ここに生きている私も、新しい気持ちで人生を始めることができます。
そんな確かな意志を持ってズバッと幕を閉じるアルバムは、気付けば時間の短さから、何度何度も繰り返し聞いてしまい、その度に生きる力となること間違いありません…!
余談ですが、ちなみにCDはスリーブケース仕様でしたね!
ナードマグネットのCDでは恒例みたいになってますが?、ジャケットの女性のお顔を見たい方、もちろん歌詞カードをじっくり見たい方は、是非CDをお手に取ってみるのもいいのではないでしょうか?
今回は以上です。
ここまで読んでくださったそこのあなた、本当にありがとうございました。
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