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[ネタバレあり ライブレポ]2022年34本目 GLIM SPANKY「Into The Time Hole Tour2022」@札幌ペニーレーン24 2022.11.23(水・祝)


 こんばんは。シリアスファイターです。


 今回はロックユニット、GLIM SPANKYのニューアルバムを引っ提げたライブツアー、札幌公演のライブレポです。


 いきなりところで!


 そこのあなた、8月に出たアルバム聞きました??


 聞いていないあなたは、こんな駄文に目を通す前に、とりあえずサブスクでも何でもいいから1周聞いてきてください。


 そんな時間がなければ、とりあえずこれだけでも!↓


 前作はヒリヒリと内側から燃え上がるような熱を身体に、心に、常に帯び続けたロックアルバムという印象でしたが、今回はバラエティに富みまくってましたね。


 打ち込みやEDMの曲が流行る時代に真っ向から逆らうように、歪みまくったギターがうねりを上げる攻撃的な曲から、ブルース極まる渋めのナンバー、ポップでキュートなロックンロールまで、時代など知ったことかと言わんばかりに、やりたい音楽を突き詰めて時間旅行へ連れて行ってくれる素敵なアルバムでした。


 今年はフジロックでのライブも生配信されていましたが、盤石のサポートメンバーとともに作り上げるグルーヴの重厚さは、あのWHITE STAGEの規模でも堂々と鳴り響いていて、渋すぎたし、かっこよすぎました。


 生のライブは、これまた4年ぶり?くらいになってしまいましたが、年々成長を遂げる・・・というか、最早貫禄すら感じられるGLIMの音楽に浸った祝日の記録です。


 「Intro:Into The Time Hole」に乗せて盤石のサポートメンバー、かどさん、栗原さん、ゴメスさんに続き、柄シャツにスラックスという出立ちの亀本さん、上は白、下は黄色のフリルスカートの松尾さんがオンステージ。


「こんばんは!GLIM SPANKYです!」


 松尾さんの宣誓とともに、初手から「シグナルはいらない」!


 時代に逆行するかのように、歪みまくった亀本さんのギターがギュワンギュワンと暴れまくり、松尾さんは一曲目からハンドマイクで、ブルースを歌うために生まれてきたと言っても過言ではなさすぎるその歌声を熱く響かせてくれます。

瞬きのたびに変わる正解に
媚を売る気などないから
誰かが放ったシグナルはいらない
シグナルはいらない


 時代錯誤だろうが、この歪みに歪みまくったGLIMのロックンロールが最高に大好きなんです。


「ただいま札幌!」


 続いてもニューアルバムから、「ドレスを切り裂いて」。

 テンポは決して早くなくとも、そのヘヴィーな音とグルーヴで、ペニーレーンの気温をグイグイと上げていきます。


 仕事で疲弊した日常から、ライブハウスでロックとブルースに浸る、日常と非日常の狭間へ、どんどん引き込まれ、魅了されます。


「一緒にロックンロールで踊りましょう!」


 ここで、松尾さんもいつものリッケンバッカーを構え、かどさんの勢い有り余るドラムから一気に序盤のピークとなる「褒めろよ」は、初期の曲ですが、演奏には十分な貫禄が感じられるし、何よりめちゃくちゃポジティブな空気が、バンドからビッシビシ伝わってきたんですよ…!


 かつての「褒めろよ」にあるヒリヒリする緊張感も好きですが、
 加えて、このロックンロールを楽しんで演奏したい!という思いが乗っかったグルーヴで、自然と笑顔になってしまう強さが存分に出ていたように思います…!!


・松尾さん
「また、大好きな箱、ペニーレーンでライブできて嬉しいです!」

・亀本さん
「この前、個人的にここにライブ見に来た(直接MCでは触れてませんでしたが、おそらく9月のa flood of circleのライブ)ばかりなので、イメトレばっちりです!」


 と、MCからもこのライブにかける気合いと、楽しみにしてきた想いが溢れまくる2人。


 「踊れる曲を一曲!」


 からの、「HEY MY GIRL FRIEND」の、ポップなキュートな音に合わせて楽しく横に揺れたところから、私がニューアルバムで1番好きな「It's A Sunny Day」。

 ジリジリと照りつける日差し、でも、こんなにも穏やかで暖かいと感じるという、太陽についての相反する感情を掻き立てられる曲ですが、ゆったりとしたバンドの演奏に乗せて、この日も真っ暗なライブハウスに、穏やかな日差しが降り注ぎました。


 そんな穏やかさと美メロを引き継ぎつつも、鋭い意志も感じさせる「美しい棘」をじっくりと聞かせたところで再びMC。


 ツアータイトルにもある、タイムホールという言葉には、どれだけ時が経っても、その本質は変わらない音楽の時間へようこそという意味を込めたという趣旨が、松尾さんから語られます。 


 その後、最近手に入れたという、ワインレッド柄の新しいレスポールを自慢?する亀本さん笑


「60年以上あるギターなのに、新しい感じの色!
 古くからのものに、新しいものを取り入れていきたいじゃないですか!」


 不思議と自身の音楽性にも繋がるようなMCだなと思いつつ、


「じゃあかっこいいギターソロ弾いてよ。」


 との松尾さんのフリから、赤い照明に照らされる中、これでもかと歪む亀本さんのギタープレイが炸裂します。


 松尾さんがニコニコ見守る中、いつしかそのギターソロは、「Breaking Down Blues」のイントロへと変貌を遂げていきます。


 寒い北海道と反比例するかのように、またジリジリと上昇するライブハウスの気温はそのままに、颯爽と駆け抜けていくような勇ましさを加えてくれたのが、相当久しぶりに聞いた気がする「時代のヒーロー」。

 僕は時代のヒーロー
 どこへもひとっ飛び
 夢見る馬鹿で居よう
 雲を掴みに行こう
時代のヒーロー


 ツアーのコンセプトにも合致するような歌詞。


 リリースから時が経ったこの曲も、全くブレないGLIMの姿勢を表した、極上のロックンロールであることに、疑いの余地はありません。


 中盤を締めくくる「Looking For The Magic」は、曲終わりになんとそのまま、ビートルズの「Dear Prudence」を繋げて演奏するという、ライブならではのスペシャルアレンジ!


松尾さん
「既にアルバムだけで6枚もあって、今回のツアーでやる曲を決めるのは大変。
 やりたい曲がたくさんあって!
 そんな中で、亀が持ってきたアイデア。」

亀本さん
「ビートルズの映画に触発されて、思い付いた。
 せっかくですから!
 ライブでしかできないこともしたいじゃないですか!」


 限られたライブの機会で、ライブだからこそできることもやっていきたいという攻めの姿勢を崩さない2人。


 「大学生の頃からやってる曲を。」


 からの「Velvet Theater」は、薄暗いライブハウスにピッタリの選曲だと思うと同時に、いつかJOIN ALIVEに出た時に言ってた気がしますが、是非あのサーカス小屋でも聞きたいという邪な想いを抱いてしまいます笑

 そのまま、完全に歌詞繋がりだ!と思いつつも、不思議と曲調の流れも完璧な「レイトショーへと」。

ここは不健全で安全な地下室
レイトショーへと


 この歌詞を、この地下一階、不健全で安全なライブハウス、ペニーレーンで聞けるのを待ってました…!


「ドラムス、かどしゅんたろう!」


 亀本さんの掛け声から雪崩れるように繰り出されるドラムソロ!

 続く「怒りをくれよ」で、再びヒートアップする演奏!


 サビはめちゃくちゃポップなのに、演奏全体は(良い意味で)めちゃくちゃうるさいギターを筆頭にガチャガチャして、歌詞も怒りに満ち満ちているという、タイアップながら、自分たちの好きなエッセンスで攻めた曲だなと改めて思いつつ、ライブでの爆発力は凄まじいです。


 この日は松尾さんのボーカルも絶好調だったので、サビのシャウトを聞いているだけで、声は出せずとも私の日々の怒りを存分に搭載できました…💢


 ここから続く、松尾さんのリッケンバッカーが轟くイントロに、久々すぎて、痛快すぎてもはや泣けてしまった「ワイルド・サイドを行け」…!



 もう何年前か忘れましたが、初めてベッシーホールのワンマンで聞いた時とは、もう完全に別の曲!!


 今日は歌詞中の「孤独」が全部「涙」になってたのは、まるで私のためか…!?(100%思い込み)と言わんばかりの無敵のグルーヴで、ガンガンと行く手をかき分けていく様は、タフなロックバンドそのものでした…!


松尾さん
「北海道がどのくらい寒いか、事前にインスタでアンケートを取ったら、「めっちゃ寒い」が得票No.1。
 おかげで快適に旅の準備ができました!ありがとう!笑」


亀本さん
「今までのGLIMのライブだと、ここが結構盛り上がりのピークだけど、まだもうひと盛り上がりありますから!」


 北海道の話を挟みつつ、この日のライブはまだまだ終わりません。


 亀本さんは再び、激しくギターを歪ませ会場を沸かせつつ、メンバー全員がドラムに向き合ったところで、「愚か者たち」のヘヴィーなグルーヴがとぐろを巻いて襲いかかります。



 松尾さんの「この前出たばかりの新曲を!」の一言から「不幸アレ」。


 序盤の「褒めろよ」にも似た明るい雰囲気の曲調でありながら、もっと怪しい空間でダンスしているようなダークな雰囲気を纏ったこの曲は、ライブハウスで自由に踊るにはピッタリです。


 再びかどさんのドラムがビートを刻み始め、力強くバンドのグルーヴを引っ張ったまま「NEXT ONE」へ。


 サビの歓声部分を歌いたい気持ちを、振り上げる拳に全てを込めながら聞かせていただきました。


 アルバムのラストを飾る「Sugar/Plum/Fairy」を、じっくりと聞かせたところで、気付けば後1曲であることが告げられます。


松尾さん
「序盤でやった「It's A Sunny Day」って曲はヨーロッパで書いたんだけど、その時の風景と、北海道の風景が一致した!
 どうしても言いたかった!」


 と足早に語る松尾さんは、亀本さんにも言い残したことはないかと振ると、もう今はないよ!振らないでよ笑!、喋りたい時は合図するよ!と言われてしまいます笑


松尾さん
「グダグダMCでごめん!笑
 昔は色んな関係者から、喋らず硬派にいこうと言われたこともあったけど、できませんって言ってたら、誰も何も言わなくなった笑
 ついつい、ツアーではしゃべりたくなっちゃう。」


 それでも一時期に比べると、和やかな雰囲気のMCが増えた気がするGLIMのライブ。


 ただその演奏と歌唱は以前よりも安定感を増して、ガッチリ聞かせてくれるからこそ、そういうMCの自由で緩い空気が、むしろGLIMの自由なライブの空気をより彩っているように感じます。


 ラストは、コロナで色んなことがなくなった人の思いを受けて書いたという「形ないもの」。

 そして明日もいい日になるさ
 悲しみも抱いて歩いていけたら
形ないもの

 雄大なアウトロを聞きながら、思い通りにいかないことを抱えながら、また確かな一歩を踏み出す勇気をもらいました。


 アンコールではまず、ゴメスさんを含めた三人で、秋に何度かやったという、アコースティック編成でライブをしていた成果を!という趣旨のMCから、「ウイスキーが、お好きでしょ」をしっとりと聞かせてくれます。


 私はお酒が苦手なので、ライブハウスでもお茶を飲んでいるタイプの人間ですが、すっかり雰囲気に酔ってしまうくらいには、松尾さんの声と、アコギとキーボードの音色にうっとりしてしまいました…完全にBAR…。


 その後バンドメンバーが再び戻り、


「本編から漏れたけど、どうしてもやりたい曲があります。」


 松尾さんの言葉から、「大人になったら」。



 キャリアを重ねても、というか、重ねてまだまだ突き進むからこその、やるせなさや、怒りをはらんだ気持ちが、いつまでも忘れない意志が、転がり続けるロックンロールでした。


 かどさんの小気味良いドラムが始まり、最後の曲であることが告げられます。


 何が始まるかと思えば、ま・さ・か!の「Gypsy」!!!


 ライブで聞けたことがない、かつ聞いてみたい曲の筆頭だったので、本っ当に嬉しかったあああ…!


 間奏の栗原先生のベースと亀本さんのギターの掛け合いもたまりません!


 ザラつきつつも、どこまでも進んでいけそうなロックバンドのサウンドに、心を解放しまくったところで、ライブは終了。


 去り際には、両手で投げキッスを2回決めて見せた愛らしさ満点の松尾さん。


 時にMCはグダグダでお茶目で可愛く、でも演奏と歌は最高に渋くてかっこよく。


 時代錯誤なんて知ったこっちゃねえ!


 歪みまくったぶっといギターが鳴らすブルースとロックが、時に優しく、時に力強く響き渡るペニーレーンで、我が道を行く力を今日もたっっっくさんいただきました!!


 この規模で見れるのは本当に贅沢すぎます、早くもっと売れてください、いや、もっとたくさんの人に突き刺さってください!!

セットリスト
1.シグナルはいらない
2.ドレスを切り裂いて
3.褒めろよ
4.HEY MY GIRL FRIEND
5.It's A Sunny Day
6.美しい棘
7.Breaking Down Blues
8.時代のヒーロー
9.Looking For The Magic〜Dear Prudence(The Beatles)
10.Velvet Theater
11.レイトショーへと
12.怒りをくれよ
13.ワイルド・サイドを行け
14.愚か者たち
15.不幸アレ
16.NEXT ONE
17.Sugar/Plum/Fairy
18.形ないもの

アンコール
1.ウィスキーが、お好きでしょ
2.大人になったら
3.Gypsy

 今回は以上です。


 最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。

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