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玉音放送日を「終戦記念日」と呼んできたのは

本日が何の日か、言うまでもないと思います。
終戦記念日ですね。
「忘れてはならない4つの日」の一つです。

対日勝利日は9月2日

終戦記念日でなく敗戦記念日だろう。
そういう人はたくさんいます。

敗戦を終戦と呼んで誤魔化すのをやめよう。
敗戦の事実に向き合おう。
そう言いたくなるのは分からなくはありません。

しかしながら、敗北があれば勝利がある。
国際的には、8月15日は敗戦していないのです。

国際的には、いや、戦勝国的には、9月2日。
9月2日が「VJ day(対日勝利日)」です。
休戦協定の締結日です。
戦勝国は、休戦協定の締結を以て、「勝利した」としているのです。

敗戦記念日にするならば、対日勝利日と合わせることになり、9月2日になるでしょう。
8月15日を敗戦記念日と呼ぶのは変ですね。

戦争状態終了日は4月28日

戦争はどうやったら終わるのか。

休戦協定と講和条約によって終わります。
国際法上、そうなっています。

極めて大事なことなので、強調しておきます。
休戦協定と講和条約が無いと終われないのです。

戦艦ミズーリの休戦協定だけでは終われません。
サンフランシスコ平和条約の発効の日に終わりになったのです。

サンフランシスコ平和条約の第一条第一項には、戦争状態の終了の日が明記されています。
戦争は条約が「効力を生ずる日に終了する」。

1952年(昭和27年)4月28日が、講和条約の発効と戦争状態の終了の日です。

終戦を戦争状態終了とするならば、この日こそが「終戦記念日」です。

「主権回復の日」として、2011年には野党自民党(当時)が祝日法改正案を出してはいますが、衆院を通過しませんでした。

終戦の詔書発布は8月14日

終戦記念日は、終戦の詔書の日だから終戦記念日でも構わないのだ、でもないのです。
終戦の詔書の発布は8月14日。

8月14日に発布された詔書が同日(8月14日)に録音され、翌日(8月15日)に放送されたのです。

『日本のいちばん長い日』

放送された、と一言で言ってはいけません。
玉音放送の録音盤に破壊未遂があったからです。

宮城(きゅうじょう)事件のことです。
「日本のいちばん長い日」で詳述されています。
半藤一利さんによるノンフィクションです。

「日本のいちばん長い日」とは、いつのことか。
8月14日の正午から8月15日の正午までです。

その24時間で、偽命令に基づく徹底抗戦になった可能性はあったのです。

宮城事件が鎮圧されて、玉音放送の録音盤が無事だったので、8月15日に玉音放送となりました。

玉音放送日が8月15日

今日は玉音放送日でしかないのです。
終戦の詔書発布は既に為されているのですから。

けれども今日が終戦記念日なんです。
その意味を考えてもらいたいのです。

終戦の詔書が発布された日付を以て終戦記念日にしてこなかった、ということです。

聖断と発布は14日。
その日でなく、その翌日の放送日が終戦記念日。
「国民が知った日」が終戦記念日なんです。

8月15日の時点では、終戦してはいません。
休戦協定と講和条約の締結に至っていないので、手続的に終戦してはいないのです。

しかしながら、玉音放送によって、終戦の詔書を「国民が知った日」が記念日なんです。
ただの玉音放送日を終戦記念日と呼んできたのは「国民が知った日」にしているということです。

参考書籍

『日本のいちばん長い日』は文庫化されていて、『日本のいちばん長い日 決定版』が最新です。

2022年に漫画化もされています。

半藤一利さんの御冥福をお祈りします。

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