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普遍【エッセイ】六〇〇字

 ゴルフ仲間のIさんが、ある店が馴染みになった理由をこう説明してくれた。「2度か3度目かに行ったとき、箸の先端を右向きに置いてくれていたのですよ」と。彼が左利きだったのを覚えていてくれていたことと、その気遣いは、何よりものサービスになる。左利きは、どの国でも、1割くらいのようだ。
 最近、ユニバーサルデザイン(UD)という言葉をよく耳にするようになった。似た概念にバリアフリーがある。後者は、障害者・高齢者を主な対象に、生活の支障となるものをなくしていく考え方。前者は、年齢・性別・人種などに関わらず、すべての人が利用しやすい環境をデザインする、考え方である。
 左利きでも不自由なく使える、UDの用品がある。鋏、包丁、ナイフ、ワインオープナー、急須、扇子。ガマグチまであるようだ。
 しかし、どちらかの利き手の人のためだけでは、UDがめざすものではない、らしい。一つのデザインですべての人が使えることが究極の目的という。つまり、常時持ち歩くわけにはいかないからだ。四隅に数字と記号があるトランプは、配慮されている。左利きは普通のものを使うと、手で隠れてしまう。
 冒頭のIさん、ゴルフは右打ち。しかも、シングルプレーヤー。左利きが右でスイングすると、体幹が強化され、バランスが良くなるからかも。もしクラブも左右共用があったら、逆打ちしなければならないトラブルのとき便利なのだが。いや、それは虫が良すぎ?

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