見出し画像

「にんじん」【エッセイ】一〇〇〇字

 今月九日、エッセイ「アンチ・エイジング」を投稿した。思いのほかの「スキ」数をいただいた(私にしては)。さらに偶然、昨日、朝日新聞でも、青柳幸利氏の「奇跡の研究」、八〇〇〇歩が紹介されていた。コロナ禍のなか、歩くことの必要性を感じているひとが多くいることを知った。だけど、日課にするまでは厳しいと尻込みしているひとのために、その秘訣・コツを(私のやり方だけど)書きたい。
 ウォーキングを始めたのが、十年前。当初は毎日ではなかった。現役であったし、土日と平日一日ぐらい。だけど、国が推奨していた一万歩を目標にしていた。ちょうど会社を整理することを決意した六年前、青柳氏の研究を知る。二〇〇〇歩減るだけでも大きいと、毎日、実行することにする。ただ、歩いてしまうと、達成感を、その清々しさを知るわけだけど、歩く前は、かなり「気合」が必要だ。
 六キロ弱、速足で約一時間ちょい。でも、毎日歩くとなると、根性論だけでは三日坊主になりかねない。そこで、「にんじん」を目の前にぶら下げれば続くのでは、と考えた。
 食事の前に歩くと決め(空腹時に歩くのがまた良いらしい)、終わったら食べられるという、インセンティブ。「今日は肉! 赤ワインを開けよう」「今日は刺身! 日本酒で一杯やろう」と。近くのスーパーをルートの最後に入れ、食材を買ってくる。つまり、直接行けば五〇〇歩くらいの店に、七五〇〇歩ほど遠回りして買いものに行く、という構図。
 「にんじん」は、食べ物だけではない。ルートの途中に、本屋がある。十五分くらい、新刊を立ち読みするのも、至福の楽しみになる。二五〇〇歩の地点には、椿山荘近くを流れる神田川がある。川沿いの遊歩道が桜並木になっている。名所のひとつだ。時期になると、その桜も立派な「にんじん」に、なる。
 今日は、年一度の「にんじん」がある。明日の「有馬記念」を勝つために、予想紙「競馬エイト」を買いに近くのコンビニに寄る。
 さらに安心材料を。二回に分けても良いのだ。例えば、午前中に半分。夕食のスウィーツとしてケーキ屋(時にはいいよね)を、ルートに入れる。午後は食材をスーパーに。青柳氏によれば、二〇分だけ負荷をかけてエッサホイサ歩き、あとは散歩のスピードでも良い、らしい。いかが? できそうでしょ?
 ただ、私の場合の、一番大きな動機は、毎日酒を呑んでいることの「罪滅ぼし」というのが、正直なところかもしれないけど・・・。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?