オフロスキ

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ChatGpt出現で世界が少し優しくなるかも

 OpenAIが開発した最新AI「ChatGPT(GPT-4)」がメディアで大きな話題を呼んでいる。このAIは人間の知性に迫る対話能力を持ち、産業界に多大な影響を与えるとされている。さらに、この中身に踏み込んで見てみると、人間の脳機能を疑似しているとは言い難い言語翻訳技術とインターネット上の言語データの統計分析だけで知性が実現されるかのように見えるという衝撃的な現象でもある。ここでは、この現象から、みんなが、ちょっと優しくなれるかもという未来の可能性を考えてみたいと思う。

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      • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学 磯野真穂【読書メモ】

        個人主義的人間観と統計的人間観の協同により生まれる「生物的に長く生きることが大事」という価値観に対して、関係論的人間観を対比させ、関係を多く(深く?)持つ人生が、実際は長く生きることだと主張している。 これは、人生は深く(濃く?)生きることが大事という価値観など、日常の直感に近い。 関係論的人間観では、人と人がかかわる(お互いに期待?/予測?を投射しあう)状態でのみ「時間」が「ある」(生まれている)と考える。このため、実際の時間が「ある」長さは、関係論的人間観では、生物的長

        • プラグマティズムの格率: パースとプラグマティズム クリストファー・フックウェイ【読書メモ】

          プラグマティズムの格率「言葉の意味(概念や観念)は、それに従って行動した時にももたらされる結果によって明らかにされるべきだ。」について、この「妥当性や正当性」をパースの考えをもとに丁寧に示す。プラグマティズムはパースによれば原理であるということという。 私の考えでは、このプラグマティズムの格率における結果の有用性は、さらに汎化すれば、やはりローティ的がいうようなダーウィニズム的真理観による、生存への有用性と言えるのではないかとおもう。  そう考えるとパースの特徴である可謬主

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          ハッピークラシー――「幸せ」願望に支配される日常 エドガー・カバナス【読書メモ】

          できるだけ物事をポジティブにとらえることで幸せになれる。 非常に世の中にいきわたっていること考え方、私自身、自明なものとして内面化していた。本書を読むとポジティブ心理学は、現場の研究者それぞれは科学とおもってやっているし、そこに嘘があるわけではないと思うが、結果として「幸せの追求」を「自己内の信仰の追求」に類するものになってしまっており、宗教的な一面を持っていると感じた。おそらく、「幸せの追求」が非常に自明で分かりやすすぎ批判的な考察がされにくいことが一つの原因ではなかろう

          ハッピークラシー――「幸せ」願望に支配される日常 エドガー・カバナス【読書メモ】

          【読書メモ】真理・政治・道徳―プラグマティズムと熟議― C・ミサック

          プラグマティズムを基盤に、道徳が「真理」に収束?する可能性について述べている。 本書において、混乱しやすいのは、論理の組み立てによりこうであるという主張というより、既存の相対主義的な考え方への現状批判を起点に、著者がこうあってほしい、こうあるべきだという信念をもとに議論を組み立てているのではないかということを、留意して読む必要があるように思う。 たしかに、著者がいうように、ローティに代表されるような真理などなく、善は、それぞれの価値観でしかないという結論は、直感的にはナチ

          【読書メモ】真理・政治・道徳―プラグマティズムと熟議― C・ミサック

          【読書メモ】マルクス・ガブリエルの哲学: ポスト現代思想の射程

          本書では、マルクスがブルリエルの未邦訳の主著3冊を解説し、その哲学のアウトラインと射程を考えている。 読んで感じるたのは、(ポストモダンというより観念論や実存主義的なことも含め)哲学的な背景や位置づけもある程度わかるが、どうしても、あってほしい社会の基盤となる「思想」をまとめているよう思える。 全体に、ポピュリズムや専制(非自由主義)や環境保全など大きな社会問題の解決をねらった、具体的な哲学(思想?)のモデルであるかもしれないとおもった。新しい実在論として思弁的実在論など

          【読書メモ】マルクス・ガブリエルの哲学: ポスト現代思想の射程

          「道徳の根拠」をローティのダーウィズム的真理観とゲーム理論で考えてみる

          C.ミサックの「真理・政治・道徳―プラグマティズムと熟議―」を読了した。 本書では、プラグマティズムにおけるミルの考え方をベースとして道徳も、自然科学同様に可謬主義により、真理といって差し支えない内容に収束しうると主張する。 科学でも道徳でも、なにかを主張するということは、可謬主義的なプロセスへコミットしているといえることから、熟議によって原理的には「これ以上修正が必要ないと皆が思える道徳に至る」はずということらしい(と私は理解した) 著者がいうように、既存のリチャード・

          「道徳の根拠」をローティのダーウィズム的真理観とゲーム理論で考えてみる

          幸せを科学する 心理学からわかったこと 大石繁宏

          幸せの認知に関する心理学の研究を非常に分かりやすく、まとめている。 適切な幸福度はあるかという研究で、あまり幸福すぎても社会的成功しないという結果。 →幸福観は「人類」のダーウィズム的な意味での適応のための手段(痛みや快楽と同種)か、「個人」の人生の目的かという問いを本書を読んで感じた。人類が成長するのに不幸は必要だろう、ただ、世に投げ出されて不幸を強いられる個人の理不尽をどう受け止めればよいかという問いを感じた。 ・幸せを測る方法について事例や評価。 →生理的指標なども

          幸せを科学する 心理学からわかったこと 大石繁宏

          自由エネルギー原理入門: 知覚・行動・コミュニケーションの計算理論 乾敏郎

          認知科学で注目される自由エネルギー原理の解説書を読んだのでメモ。 図解も説明も丁寧だが数式もそれなりにあり専門の大学生か大学院生向けレベルかなと思う。 自由エネルギー原理は、私の興味である人間の意識や自我を理解する観点でも、非常に興味深い理論だと感じた。確かに環境の認知から行動を一貫した原理で説明できているように見えるし、脳神経科学の知見との整合性もあるように思える。 理解が間違っているかもだが、従来の認知科学の知見である予測符号化(脳は外界の知覚情報を”予測”していて

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          関係からはじまる―社会構成主義がひらく人間観 ケネス・J・ガーゲン

          「我つながる、故にわれあり」 心を個人という枠でとらえるのではなく、関係性の中にあると捉らえることで現在の多様な問題への解決となるという主張が中心テーマとなっている。 地球を中心に太陽が回っているのではなく、太陽を中心に地球が回っているコペルニクス的転回に類する転換である。 デカルトから始まる従来異的な個人観である「境界画定的存在」に対して、「関係規定的存在」としての人間像を示される。また、関係性(コンテキスト)の中で人は変わるという「変幻自在的存在」としての生が示されて

          関係からはじまる―社会構成主義がひらく人間観 ケネス・J・ガーゲン

          聞く技術 聞いてもらう技術 東畑開人

          なんだろう。不思議な読後感。ちょっとずれるかもだが、古代仏典で、ブッタが語っている、正しい生き方じついての問答を読んでいる感じ。 一言でいえば聞くこと、聞いてもらうこと、人には安心が必要なこと、安心する人のつながりが必要なことなど「ふつう」なことが書かれた本。 この「ふつう」を、手に取りやすい(?)HOWTO本の体を入り口にして、丁寧に振り返ることで、日常で忘れられている、この「ふつう(=息をするのと同じように生きるのに必要だが気づきにくい)」の大事さを読み手に気づかせる本

          聞く技術 聞いてもらう技術 東畑開人

          なぜ私は私であるのか: 神経科学が解き明かした意識の謎アニル・セス

          本書は、「私がある」という感覚は錯覚であるという。 脳は知覚情報をもとに世界を常に「予測」しており、この予測の一部として私を生み出している。 錯覚という強い言葉を使ったが、錯覚であるから、私は無いという結論では無いと思う。 様々な科学の知見から見えてきたリアルな「私(意識)の存在」という事態を、特別な魔法や神様の助けなしに理解することで、自己の可能性と限界を知ることができる本だと感じる。 本書の考え方では、意識は知性とは別のものであり、人間だけのものではなく、動物などにも

          なぜ私は私であるのか: 神経科学が解き明かした意識の謎アニル・セス

          正義とケアの現代哲学―プラグマティズムから正義論、ケア倫理へ―徳永哲也

          前半、正義論の議論や論点について、コンパクトにわかりやすくまとめられている。 この正義論への批判としてケアの議論を説明している点が分かりやすい。 ロールズ、ノージックを代表とする正義論が、ともに自立した個人を前提に議論を進めていることに対して(比較的穏当なロールズでさえ、あくまで自由で平等な個人が、格差を減らす「努力をする」という構造であり、現実社会で大きな位置づけを持つケアしケアされる相互依存している関係をうまく取り込めていない)、人間にとって自然である相互依存的(ケアし

          正義とケアの現代哲学―プラグマティズムから正義論、ケア倫理へ―徳永哲也

          世界は「関係」でできている: 美しくも過激な量子論 カルロ・ロヴェッリ

          量子力学の知見から、世界のすべてが「関係」としてだけ現れる/存在するという洞察、さらにそこから世界の一部である我々の意識/実存、または意識の中での意味の在りようが描き出される。 非常にスリリングに感じた。内容が自分の考えにとてもあっている、納得できるということからかもしれない。 書籍にもあるが、哲学で多く論じられている実在論とはややレイヤが違い一概に比較できないとも思うが、あらゆる実在が相対的(関係)であるという著者の考えは、実在の理解として、とても納得できる。 さらに著

          世界は「関係」でできている: 美しくも過激な量子論 カルロ・ロヴェッリ

          脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論 ジェフ・ホーキンス

          3部構成で、脳の生理的な仕組みの話から、視点が上がっていき、一気に、人類の未来へ風呂敷が広がっていく。なんとなくだが、読後感がSFの「三体」のように感じた。 第一部の脳の仕組みの話題。「15万あるコラムがそれぞれ」、「位置情報を持ちながら入力マッチング」していて、「予測」をしている。その予測を15万のコラムが合意形成して、意識が生まれるといった理論の提案で、もちろん正しいかどうかはわからないが、下條さんの「サブリミナルマインド」などの内容など他書の知識をふまえて、なるほどと

          脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論 ジェフ・ホーキンス