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ユニバーサルデザインの強化書 240 障害の医学モデル・社会モデルとユニバーサルデザイン・インクルーシブデザイン
障害の医学モデル・社会モデルとユニバーサルデザイン・インクルーシブデザイン
障害の捉え方は、時代や社会によって変遷してきました。その中で「医学モデル」と「社会モデル」という二つの視点が障害理解の基盤となっています。
1. 医学モデルと社会モデルの概要
・医学モデルとは何か
医学モデルは、障害を個人の身体的・精神的な問題として捉えます。このモデルでは、障害者の状態を「治療」し、標準的な状態に近づけることが目標とされます。
例: 車椅子利用者に対し、「歩行能力の回復」が理想とされる。
・社会モデルとは何か
社会モデルは、障害を「社会の側が作り出すもの」と捉えます。バリアフリー化が進んでいない建築物や、柔軟性のない社会システムが障害を生じさせるという視点です。
例: 車椅子利用者に対し、「階段しかない建物が障害である」と考える。
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2. ユニバーサルデザインとインクルーシブデザインの基盤
障害モデルがデザイン哲学に与える影響について見ていきましょう。
・ユニバーサルデザインの基盤
ユニバーサルデザインは、社会モデルを基盤にしています。「できるだけ多くの人にとって使いやすいデザイン」を目指し、障害者だけでなく高齢者や一時的な障害者、さらには健常者も含めた全ての人が恩恵を受けるデザインです。
例: 段差のないスロープや自動ドア。
・インクルーシブデザインの基盤
インクルーシブデザインも社会モデルに基づきますが、特に多様性を重視します。特定のユーザー群(障害者など)のニーズを深く理解し、それを出発点としてすべての人に役立つデザインを導くアプローチです。
例: 視覚障害者の情報保障としての音声ナレーションは視覚に障害がない人の情報理解にも役立つ。
例: 聴覚障害者向けに開発された映像字幕が、聴覚に障害がない人が音声の聞き取りにくい環境でも役立ったり、聴覚が低下している高齢者の情報理解にも役立つ。
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3. 医学モデルと社会モデルの融合と未来のデザイン
近年では、医学モデルと社会モデルのどちらか一方に偏るのではなく、両者を融合させたデザインが注目されています。
例: 高性能な義肢(医学モデル)と、使いやすいインフラ(社会モデル)の併用。
これにより、個々の特性を尊重しつつ、全体最適を目指す新しいデザインの可能性が広がっています。
おわりに:デザインの本質は多様性への配慮
医学モデルと社会モデルの理解は、ユニバーサルデザイン・インクルーシブデザインをより深く考える手助けになります。
すべての人が自分らしく生活できる社会の実現には、これらの視点を融合したデザインが欠かせません。
デザインは単なる「形」ではなく、多様性を尊重し、障害を超えた可能性を切り開く「思想」なのです。
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Think Universality.
Think Difference.