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「有限」を知り、素直に「推される」のが死神をフリーズさせる方法か?

「あなたはもう死んでいます」
最強の拳法を身につけた男の、敵を倒したときの決め台詞ではない。
#人生を変えた一冊 「ここで死神から残念なお知らせです。」の主人公
「死神」余見透は、人間心理をクールに分析することに長け、明るく爽やかに、このセリフを告げる。

キュブラー・ロスは著書「死ぬ瞬間」の中で、末期患者が死を受け入れるには5段階の心理状態の変化があるという。
否認=そんなはずはない!
怒り=なぜ自分だけが!
取引=助かるなら何でもする!
抑うつ=あきらめ
そして受容。
宣告を受けた登場人物たちはやはり、まず疑う。
その後は、素直に受け入れる者、わずかでも現状の継続を願う者、
真にやりたかったことに気付く者、抵抗し続ける者、と個体差はあるが、
共通しているのは明日がないこと。
だって死んでますから。

生物の死に遭遇する機会は多い。生物の最終形態なので当たり前だ。
そんなことは知識としては知っているはずなのに
自分にやってくることは信じない。
だから、
対象と自分との距離を冷静に測り、行動の是非を検討した結果、否とした。
と見せかけて、自分を低く見積もって萎縮した。
もしくは、面倒くさいので思考を停止した。という日々が繰り返される。
こうやって無限の可能性を潰している。
「無限の可能性」という単語は美しいが、現状を変える効果など一切ないのでしょう。

では死神が現れたその時、
「もう十分です。生き切りました!」と言って死神を固まらせる、
そんな方法はないものか?
覚悟を決めて行動する⁉ 重い~
外圧とか恐怖は、行動を変えるきっかけには成り得るが、
イヤイヤ変えられる感が否めない。
天啓なんかに期待したいが、まず降りてこないし… となると方法は、
「有限」に気付くこと。
自分の背中を押してくれる人間に素直に「推される」こと。この2つかな?
そんなことを考えさせてくれた良い作品です。
死を扱うと小説は重くなるものですが、
いつか、明日が来ない日がやってくる という現実をサラッと教えてくれました。

この作品は4冊から成ります。
「ここで死神から残念なお知らせです。」
「死神もたまには間違えるものです。」
「ところで死神は何処から来たのでしょう?」
「死神と弟子とかなり残念な小説家。」
必ずこの順番で読むことをお勧めします。

#人生を変えた一冊
#読書
#ネタバレ

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