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「100分de名著」で学ぶブッダ「真理のことば」 」3回目その4

1.前回のおさらい

自分というものは、様々な要素の集まりである。
自分自身は刻一刻と変わりゆくものであり、今の自分は仮の姿であると言える。
また、ブッダは自分の教えに縛られることさえなくなる嫌い、悟りの境地に辿り着いたなら、自分の教えは必要ないと説いたということを学びました。

出演者:
司会 --- 堀尾正明さん
アシスタント --- 瀧口友理奈さん
講師 --- 佐々木閑(しずか)さん

2.自分自身を頼りに生きる

講師:
ブッダが亡くなる直前に遺言として語った言葉がありますので、ご紹介しましょう。

ナレーション:
45年伝道に勤め、80歳となったブッダ。
ある村で重い病に侵されてしまいました。

病に苦しむブッダを見て、弟子たちはブッダがなくなったら、あとは誰を頼りにしたら良いかと心配しました。
それに気づいたブッダは弟子たちにこう語りました。

「自らを灯明とし、
自らをたよりとして
他をたよりとせず
法を灯明とし
法をたよりとして
他のものをたよりとせず
生きよ。」
(大パリニッバーナ経)

講師:
これはブッダが弟子たちに説いた最後の教えで、「自灯明 法灯明」と呼ばれています。

この教えは、ブッダの最後の旅を語る大パリニッバーナ経というお経の中に出でくるもので、「自灯明 法灯明」というのは、有名なブッダの遺言として、今でも伝えられているものです。

その意図が分かるものがあるので、ご紹介します。

「自分の救済者は自分自身である
他の誰が救ってくれようか
自分を正しく制御してはじめて
人は得難い救済者を
手に入れるのだ」

先程「自灯明 法灯明」という言葉が出てきました。
自分を灯明にせよ、法を灯明とせよ、自分が亡くなった後、誰を頼りにしたら良いか、何をたよりにしたら良いかというランプです。
それは、自分であり、法であると言っています。
自分というのは修行者本人、法というのはブッダが説き残した教えです。
つまり、自分で頑張っていけと言っているわけです。
この詩は、自分の心をきちんと正しい方向に向けていくことによって、はじめて自分を苦しみから救うことができるということを言っています。

「自分自身の意思を頼りにして生きなさい」
それがブッダが最後に伝えたかったことなのです。
そのときに重要なのは、自分の心を正しい方向に向けていくために、物事の原因と結果を突き詰めることだとブッダは説きました。
例えば執着に苦しんでいるときには、その苦しみの原因を見つけ、無意味な価値観に縛られないよう心を整理することが大事だと諭したのです。

ここで大切なのは、世の中は全て原因と結果で動いているという法則性で世の中を見ていくことが一番大切なことだとしています。
それは普遍的な真実のあり方ですから、誰かの視点が正しいということではなく、原因結果に基づいて、全てが合理的に理解できる、その世界こそが本当の世界であるということです。

よく考えて、正しく見ると、この世の中は原因結果の因果関係で粛々と動いていることが分かります。
その中に自分勝手な世界を作って、ものに執着するというのは苦を生み出しますが、所詮は無意味なことであるということが分かったときに、執着から生み出された苦しみも消えるという構造になっています。

今の私がこの方向を向くんだという意思が必要で、その意思に従って正しい方向に向かっていくと、それが執着やその他の煩悩を消す道につながって、苦しみの消滅につながるということで、仏教では今の意思ということをとても大切にしているんです。

その時々で、今の自分にとっての苦しみの元になる執着はなんだということを考え続けなければならないということです。

3.ここまでの感想

この世の中は、原因結果の因果関係で動き、物事に執着することは苦を生み出し、所詮無意味なものであると知ることで、執着から生み出された苦しみも消える。
そして、自分はこの道を進むんだという正しい意思に従って進めば、執着や煩悩を消す道につながり、苦しみの消滅につながるということを、今回学びました。

この教えは、現代でいう目標達成の考え方にも通ずる教えだと思いました。

物事がうまくいかないときは、その原因を探り、その原因を解消すれば、次から問題を引き起こさないようになります。

また、執着することは、感情的になることに等しく、執着を戒める考え方は、現代の感情コントロールにも通ずる考え方だと思いました。

仏教の教えは、人と社会の良い関係性を築く上で、有効な教えになると思いました。

※NHKオンデマンド、U-NEXTなどの動画サイトで、ご覧いただけるNHK番組「100分de名著」を元に、学んだり、感じたりしたポイントをお伝えしています。


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