七草粥の日
今年は生の七草を買ってみた。昔は作ったり生えてたりするものを採ってたんだろうし、わざわざ買うっていうのもちょっと違和感がある。
まあでも習わしに従って作ってみた。
なんとか子供でも食べられるものができた。
小さい頃、食べた七草粥の味は全く記憶にないけれど、おばあちゃんと七草を探しに行ったのは覚えている。
すずしろは大根。はこべらははこべ、ホトケノザもわかりやすい。あとはよく覚えていなくて何度もおばあちゃんに聞いたような気がする。
風習や習わしは時代と共に薄れていくものかもしれない。もうそれでもいいと思うこともあるけれど、記憶に残っているのはやっぱり季節に密着した暮らしの切れ端だ。
これは人によってちがうだろうと思う。
暮らしは生活というより、生き方と言ったほうがしっくりくる気がする。
やかんで湯を沸かすのか。靴のかかとを踏むのか。コーヒーはインスタントなのか。
小さなことの寄せ集めがその人の生き方になっていく。
七草粥を噛み締めると野草の味がした。
知っているような知らないような。
鼻に抜けるその味を覚えておきたいと思った。
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