壁がない?!デパートの最上階を見れば、その国のパブリック度がわかる。飲食店街の壁は、何のためにあるのか?
mosakiは、デパートもショッピングモールも大好きです。表出しているモノと空間、そのぐぐっと奥の方まで観察していくと、その地域の文化までがもろに見えてくるのが楽しいから。さらに世界中のものをまわりはじめると、その面白さは増していきます。
さて、前回のアンティーク家具の通り後にして、まっすぐ歩いていきましょう。気付けば、どんどん賑やかになってきて、自然とコペンハーゲンの中心部へ。
工事中だって仮囲いが可愛いければ、まちの雰囲気にこんなにも馴染める。海外ではよくみるこのスタイルも、日本では相変わらず浸透しませんね。そして、一階はもちろん営業中。どん詰まりが明るいというのは、本当にすばらしいこと。
では、二大デパートを巡りましょう。
マガジン(Magasin)
まず、登場したのはマガジン(Magasin)。こちらはデンマーク最古のデパートで、建物は1870年に建てられたもの。これ裏のほうなんですけどね。デパートに入る前に、デパートの出口を出たところが気になってしまって。
デパートの入口の向かい側が花屋なんだけど、建物のグランドレベルと、外側にもテントを張って店を出してるんですね。その間が路地っぽくなっていて、なるほどなぁと。
この売り方からしても、いかに花という存在が、コペンハーゲンの人にとっては身近かということがわかります。寒くても球根系は強いのでしょうか。とにかく山のように売られている花々。
この花が入れられている容器は、スタッキングできそうなデザイン。なんかもうここまで花があると、滞在先にも買って帰りたくなってしまいます。
わかるよ!おじさん、迷うよね。どれも欲しくなってしまう。
では、デパート・マガジンの中へ。老舗デパートということだけあって、デンマークブランドから、海外ブランドまでずらりと。地下は、カジュアルにお茶もできるし、お土産も買えるし、良い雰囲気で、さらに地下鉄の駅に直通です。
マガジンは何といっても「住まい」のフロアが楽しい! 滞在中にも何度か通ってしまいました。雑貨から明かり、絨毯からキッチン用品まで、どれもデザイン性と機能性のバランスの質が高い。サイズ的に日本の生活に取り入れるには、それなりに吟味が必要なものもありますが、思ったよりは日本の生活とデンマークのセレクトは合うように、思いました。(後日、デザインミュージアムでその辺りの発見が!)しかしこの光景を見ると、日本のデパートなんて、まだまだやれることがあるよな、と思ってしまいますね。
「HAY」の時計、かわえぇ。。円のエッジが手描きのように微妙にがたついています。「HAY」はデンマーク発のブランドで、雑貨から家具まで、幅広く世界観を楽しませてくれます。日本にも少しずつ入ってきていますよね。まちの中心には「HAY」だけのショップがあるので、そちらもオススメです。
イルム(Illum)
さて、もうひとつのデパートがStrøget(ストロイエ)にあるイルム。こちらのデパートの方がより現代的で尖っています。中央が吹き抜けで、地下まで吹き抜けてるのがいい。で、その中央にはベーカリー。同じフロアには、コペンハーゲンを中心に店舗展開しているスーパーIrma(イヤマ)が。デパートで、地元のスーパーが楽しめるのもお得感アリ。
そして、上に上がってみたわけですよ。そうしたら、
ドドーン!と。イルムの外観は、わりと現代的だったのですが、やはりリノベーションでした。自然光をまるごと取り入れる圧巻のガラス屋根。さらに、つながっているもうひとつの棟へ移動すると、、、
ドドーン!と。こっちは有機的なメッシュ状につくられていて、現代的な雰囲気に、コントラストつけてきた。写真には捉えきれていないけど、本当に綺麗なんです。
午後のゆったりした時間。遅めのランチを楽しむ人、コーヒーでくつろぐ人。しかしこのL字の照明とか格好良すぎる。
そして気付きはじめました。やばい、どこにも壁がない。店と店の間に、壁がないんですよ。
逆に、日本人が問われているみた。君たちあらゆる飲食フロアで、壁なんかつくっているのかい?なんのためなんだい?って。
壁がない。手間と奥のスペースは別のお店。夜ここが賑わうことは容易に想像できます。
絶妙な差をつけた床やあらゆる什器、家具の質感。そして壁がない。
降り注ぐ自然光と人工光の組合せ。そして壁がない。
一周してわかった! これはコペンハーゲンのまちそのものなんです。別に何のてらいもなく、グランドレベルでつくったことを、デパートの上階でもそのままつくったと。内部は温度のコントロールがされているので、デンマークのオープンマインドを適用すれば、壁すらもいらないわけです。
日本の最新飲食フロアも、どちらかというとオープンなスタイルが流行だと思います。けど、ここでは食べ物の写真やロゴやポップを大きく出すとか、そんなことはしません。シェフがいて、新鮮な材料がちらちら見えて、料理をする音が聞こえて、匂いが立ちこめていて、美味しそうなお皿と楽しそうな声、それらすべてが、人を引き寄せる。
しかし、考えてみれば、これっておそらく原初的なレストランの姿かもしれません。お店は、美味しい物をたくさんの人に提供して楽しんでもらいたい。そのことに純粋に立ち向かったらこうなりましたということ。私たちの生活を包む全てもものが、何らかの理由でつくられたもので、それを私たちは日々疑わずして使っているものです。しかし、やはりそれらの存在について、その都度、根本から考えた方べきなのかもしれません。レストランの空間然り、壁一枚然り。
さて、魅惑のコペンハーゲン、次はどこへ行こうかな。
おおにし・まさき(mosaki)
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