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リリとロロ 「羽化」について
アヤミハビル(ヨナグニサン)という日本最大の蛾がいる。
蝶はストローのような口器で花の蜜を吸うことが多いのは知れ渡っているが、この蛾は大きく羽根の先端が蛇のようになっているにも関わらず、口が退化していて一週間程度で餓死する。(カイコガなどもこれに当てはまる)
飢餓というのは人類の歴史を見ても最も凄惨で、人間の荒んだ心を膨張させる事実であると思う。
飛躍して言えば古来より飢えを凌ぐために銭を稼いできたとも解釈できる。
そんな道を自ら(進化の過程で)選ぶのはどんな気持ちだろう。
栄養を摂取するだけでなく渇望は自由を求める永遠の課題だろう。
死ぬまで生きる。
新しいボーカルにそう言うと、当たり前だと笑われた。
僕はこの羽化を通して、そんな気持ちでリリ・シャロンを続けている。
正木諧 「羽化」
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