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アル中のトマトケチャップの使い方(C)
グダグタなアル中
痛がる母親を見て不安と焦りが入り混じる。
解決できず、近所のにいちゃんばあちゃん宅に逃げ込んだ。
大量出血じゃないし、母親は大人だし、救急車を呼ばなくても解決できるはずだから、その場を離れても大丈夫。
そんな感じだったと思う。とにかく不安と見えない先々で最悪だった。
このコラムは、ある荒廃した家庭に挑んだ、1人の青年の記録である。新宿に生まれ育った無垢な小学生時代に、アルコール依存症とバイセクシャルという特異な両親に囲まれ、酩酊した母親と強制的に初体験をさせられ、その後30年近くに渡り自身もアルコール依存症に苦しみ、その中で設けた我が子との絆を通じ、寛解するまでと、その原動力となった信頼と愛を余すところなく完全実話で書き下ろしたものである。
にいちゃんばあちゃん宅には、ばあちゃんがいた。
屋台の夜仕事前のひと時をオレはお邪魔した。
朝方まで働いて昼過ぎに起き、夜に備えて仕込みをする。
ばあちゃんは働き者だった。
戦争を経験し復興を成し遂げてきた泣き言を言わない世代特有の負けん気がにじみ出ていた。
半端なく優しかった。
ひどく動揺しているオレに対してばあちゃんは何があったか聞いてきたんだと思う。そこら辺のやり取りは覚えていない。
オレの回答を聞いてすぐにバトルフィールドに2人で駆けつけた。
倒れていた同じ場所に同じ格好で倒れていた母親。
、、、が、何かが違う。
違和感のある演出が鼻についた。
すぐにわかるコントのような演出に唖然とした。
ばあちゃんも驚いてたが、どちらかと言うと呆れていたに違いない。
ケチャップを頭からかけて倒れていた。。。
瞬間的に演出のためにかけたことは明らかだったが、くだらなすぎる自己愛精神にオレは疲弊した。
どういう会話をしたか覚えていないが、ばあちゃんと二人でそんなことしちゃダメだよと諭し、母親にかかっているケチャップを処理してあげた。
オレの母親は演出のためにケチャップを頭からかけてオレに罪悪感を植え付けようとした。
自分がアルコールを飲む環境を整えるためなら何でもするのがアルコホリックの特徴だ。今回は被害者として振る舞ってその後のやり取りを上から展開しようと下に違いない。こんな勘ぐりは二度としたくない。できないけど。
出血なんてほとんどなく、消毒し、ガーゼを当てて終わりだった。
オレ的には刺してしまった事実より、母親の想像を超えたキチガイ対応が心に残っている。
低レベルかつ、自己保身に走った母親を親として認めるわけにはいかなかった。
アルコール依存症という病気は生活全てを支配してしまう。
昭和の物悲しい貧乏キチガイアーティストや破天荒な漫才師とかならまだ絵になるが、グダグタなアル中は、実の母親だ。
毎日毎日、人を信じる事ができなくなっていった。
実の母親も理解できず、信用できない。
実の親を信じられないとその他全ての人も信じられなくなる。
オレは親がいるだけマシだが、いる親の片方は完全にイカれていた。
どうしょうもない親を持つ子供は早く大人になろうと自分を戒める傾向がある。だらしない親みたいな振る舞いを極端に嫌い、スマートで綺麗な自分でいたいと強う思う。
とにかく疲弊した。
<写真>1980年頃・新宿伊勢丹屋上にて
苦しんでいる人に向けて多くのメッセージを届けたい。とりあえず、これから人前で話す活動をしていきます。今後の活動を見守ってください(^^)