学校教育

#5 キャリア教育のキソ②

こんにちは!
毎週水曜日開講の【キャリアデザイン学超入門】へようこそ!
先週はキャリア教育の政策的な面について話しましたが、今週は実際に学校現場等にキャリア教育を落とし込むときに、はじめに考えるべきポイントを5分くらいにまとめてみました!

僕はこれまでサークル活動やゼミ・授業、その他の活動を通して、約40回くらい学校のキャリア教育プログラムに関わってきましたので、
その経験を活かしてお伝えできればと思います!

目次
1.基礎的・汎用的能力
2.プログラムの骨組み
3.さいごに
4.参考文献

1.基礎的・汎用的能力

先週の講義では、キャリア教育とは「社会とのかかわりを持ちながら、自己の実現を目指す過程」を支援することだと、文部科学省の見解をもとに、キャリア教育について4年間学んできた僕の考えを述べました。

では、具体的にどのような教育を行うべきか考えるというのが次の課題となります。

そのためにはまず、どのような能力が生徒に身につけば、社会とのかかわりの中で自己を実現できるのか考えねばなりません。

実は、先週お話していませんでしたが、中央教育審議会(2011)ではキャリア教育で育成すべき能力を、「基礎的・汎用的能力」と呼び、具体的に以下の4つをあげています。

①人間関係形成・社会形成能力
 具体的には、他者の個性を理解する力、他者に働きかける力、コミュニケーション能力、チームワーク、リーダーシップ等が挙げられます。
 多様な価値観を持った人と関わる場面が多い現代社会では、他者の考えを理解し、自分の考えをしっかりと伝えることが大事です。
 また、自分の置かれている状況を客観的に捉え、自分の役割を果たしつつ他者と協力・協働し、社会を形成・変革する力も必要とされています。

②自己理解・自己管理能力
 具体的には、自己の役割の理解、ポジティブシンキング、モチベーション管理能力、忍耐力、ストレスマネジメント、主体性等があげられます。
 社会変化が目まぐるしい時代においては、自分にとって「できること」「意義を感じること」「したいこと」(よくcan、must、willとか言われます)は何か理解して、社会との関わりの中で自分の思考や感情を律し、主体的に学ぼうとすることが大事です。

③課題対応能力
 具体的には、情報をただ集めて理解するだけでなく、本質の理解、原因の追究、課題発見、計画立案、実行力、評価・改善等ができるようになることを指します。
 先を予測することが困難な時代で、誰も直面したことのない状況が生まれることもあるでしょう。そうしたときに、様々な課題を発見・分析し、計画を立ててその課題を解決することができる力が求められるのです。

④キャリアプランニング能力
 具体的には、学ぶこと・働くことの意義や役割の理解、多様性の理解、将来設計、選択、行動と改善等が挙げられます。
 仕事がどんどんマニュアル化され、ロボットに代替されるものも出てくる中で、改めて「働くこと(=一般的な労働だけでなく社会的な役割を含めて)」の意義を理解し、自分の人生と「働くこと」を統合していくことが必要となるでしょう。
 そしてそれを基盤として、様々な情報を取捨選択しながら、主体的に判断してキャリアを形成していくことが大事なのです。

以上4つが、基礎的・汎用的能力の4要素となります。

つまり、これらの能力を身につけられるような授業のデザインが、学校教育に求められていると言えるでしょう。


2.プログラムの骨組み

では、これらを身につける具体的な方法論に入りましょう。

これを考えるには、もちろん「形式」と「内容」の2つの軸が必要だと思っています。

まず形式ですが、キャリア教育は「直接的な」キャリア教育「間接的な」キャリア教育に大きく分かれます。進路のことを考える時間や社会人の話を聞く時間はキャリア教育のイメージが分かりやすいと思いますが、実は、普段の英語や理科の授業でも、形式を工夫すればキャリア教育的な教育効果は十分に得られます。これが「間接的な」キャリア教育なのです。
なので普段の授業や学校生活の中にキャリア教育的効果のある要素を組み込むのか、それともHRや総合などの時間を使って特別にキャリアについて考える機会をつくるのか、というのがまず1つの軸となります。

次に内容ですが、これは前章で述べた4つの能力のうち、どこにフォーカスするのか、考えるということになります。どんなに優れた教育プログラムでも、1度にすべての能力を身につけさせることはできないでしょう。
なので「今回の授業・ワークショップでは、キャリアプランニング能力にフォーカスしてみよう」とか、「課題対応能力の中の特に『課題発見力』にフォーカスしよう」とかを考える必要があるのです。

この2つの掛け合わせを行い、具体的なキャリア教育プログラムが作られていくという流れになります。

僕は主に大学生としてキャリア教育プログラムの企画に携わってきたので、考えた企画はほとんど直接的なキャリア教育のワークショップになります。内容はそれを行う学校のニーズに合わせてといった感じです。
塾でアルバイトしていた時には主に社会科を担当していたので、間接的なキャリア教育となるような授業のデザインも意識していました。

紙面の都合上、それらはまた今度お話できればと思います。


3.さいごに

さて、今週の講義では学校におけるキャリア教育を考える際に必要なポイントを見てきました。
その中で…

・プログラムづくりは「形式」×「内容」から始まる
・キャリア教育で育成すべき能力は4つある(人間関係形成・社会形成能力、自己理解・自己管理能力、課題対応能力、キャリアプランニング能力)
・キャリア教育は大きく分けて「直接的な」ものと「間接的な」ものがある

ということが分かりましたね!

さて、今週で2月も終わりですね。早い。。。
ということで来月の講義予定です!

【3月の講義予定】
・スーパーのキャリア概念
・クランボルツのキャリア概念
・キャリア教育プログラムづくり論
・ポケモン育成とキャリア形成の親和性について
※これらはすべて予定です。前後する可能性もあります。

今日はここまで!

次の投稿は金曜日【Vivid Books#4】です。
それではまた。


4.参考文献


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