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「地域プロジェクトマネージャー」とは

1.制度概要

2021(令和3)年度から国の新事業「地域プロジェクトマネージャー」が始まります。現在分かっている段階での情報をまとめました(この記事は2021年2月3日時点の情報をもとに執筆しています)。

○地域プロジェクトマネージャーの概要
国からの交付税措置:650万円
求める人物像:専門的な知識や経験を有した人材(協力隊OB・OG含む)
要件:三大都市圏等からの住民票の異動が必要
※ただし現地の協力隊員から任用する場合、移住は求めない
1自治体につき1名分のみの財政措置

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(総務省HP,地域プロジェクトマネージャー〔PDFファイル

2.すでに始まる募集

2021年度からの制度開始ですが、すでに地域プロジェクトマネージャーの募集を行っている自治体もあります。

福岡県赤村のローカル施設再生請負人の募集,greenz.jp

宿泊・温泉・キャンプ施設等が入る村の複合施設の「支配人」の募集です。一例として待遇面などをまとめました。

○待遇面(一例)
給与:月額32万円〜40万円 (年2回の賞与含め年額480〜600万円)
住居:村が用意(家賃は3〜5万円の範囲で自己負担)
車両:村が用意(任意保険・燃料費は自己負担)
その他:社保加入、兼業可、有給の取得可、任期は3年を想定
○望むスキル(一例)
・支配人経験や接客業の心得がある方
・行政や地域との連携プロジェクトの経験がある方

上記の場合では、基本的には地域おこし協力隊と同様に3年間の任期を想定した公募となっています。現在発表されている総務省の資料には3年間限定の財政措置という表記はありません。しかし報酬面で協力隊よりも優遇されている点からも、即戦力として短期間での成果が期待される立場になることは間違いありません。

3.制度のポイントや課題

「地域プロジェクトマネージャー」のポイントや課題をまとめます。

○年650万円は交付税措置(自治体の会計に入るお金)で年収ではない

…地域おこし協力隊同様に、地域プロジェクトマネージャーにかかる経費は100%の金額が、国の特別交付税として地方自治体に補助されます。ただし、650万円は活動費も含んだ総額です。実際に650万円が満額報酬として支給されるとは限りません。

○ミッション型のマネージャー導入が主となるか

…「ミッション型」とは、地域おこしの具体的な内容を予め設定するもので、目標や成果が数値的に出しやすい点に特徴があります。即戦力としての期待は、裏を返せば、具体的なミッション(任務)が必要になります。

○協力隊のランクアップ制度としての道筋
…地域おこしはその土地の人・歴史・地理などをある程度把握していないと上手に機能しません。地元での人間関係の蓄積と町おこしの経験がある程度ないと専門性を発揮することが出来ません。そのため、協力隊OG・OGの再雇用も想定した制度設計となっています。協力隊の3年間で出来た下地を有効活用して、一種のランクアップ制度として「地域プロジェクトマネージャー」を活かす道もあります。

4.制度のまとめ

地方での650万円という金額は役所でいえば課長〜課長補佐級の年収とほぼ同じです。つまり勤続20年の公務員と同じ位の税金が支出されるため、650万円=報酬とは限らなくても、活動の一挙手一投足が見られることになると思います。

専門性の高いプロフェッショナルが地方で雇うにはある程度の報酬額を用意する必要があります。しかしプロを必要とする地域こそ自前で雇うことが難しく、国の主導で補助制度が創設されたといえます。対象となるのは、有力な協力隊OB・OG、地域をよく理解し人脈もある都市部からのUターン組、行政コンサル経験者など、人物像もある程度絞られてくると思います。

地域おこし協力隊とは異なり、地域プロジェクトマネージャーは1団体につき1人分までの交付税措置です。つまりマネージャーにとって同じ地位の同僚はいないということです。特別な役回りが求められる一方で、孤独な立場でもあるといえます。制度を上手に活用し、周囲のサポートも含めて、地方創生のさらなる起爆剤となることを期待します。

<関連記事はこちら>
⇒地域おこし協力隊インターンについて(note記事)
⇒報酬+活動費が470万円に増額(note記事)


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