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地域おこし協力隊の報酬は引き上げられています

【2021年9月26日、内容を一部加筆しました】

1.増額された報酬

令和2年度から総務省の方針で地域おこし協力隊の報償費と活動費の上限は引き上げられています。令和3年度の報償費等と活動費をあわせた総額は 470 万円となっています。

・令和2年度(440万円)
報償費等: 240 万円を上限
活動に要する経費: 200 万円を上限

また、令和4年度にかけて段階的にこの上限は引き上げられます。

・令和3年度(470万円)

報償費等: 270 万円を上限
活動に要する経費:200万円を上限

・令和4年度(480万円)
報償費等: 280 万円を上限
活動に要する経費:200万円を上限

また国から交付される交付税の総額に変化はありませんが、活動に要する経費を圧縮して以下の金額まで報償費等を引き上げることができます

令和2年度
報酬費等: 290 万円
活動に要する経費:150万円

令和3年度
報酬費等: 320 万円
活動に要する経費:150万円

令和4年度
報酬費等: 330 万円
活動に要する経費:150万円


2.もし所属の自治体で金額に変化がなければ

上記の金額は各地方公共団体に交付される「地方特別交付税」により100%の国補助があります。隊員と自治体との間での委嘱契約や任用関係に関係なく交付される共通の金額です

地域おこし協力隊は毎年契約を更新するため、任期途中の隊員であれば来年度から報酬が引き上げられます。報償費等は各自治体の要綱で金額が設定されています。つまり、増額は要綱を変更する必要があるので、早めに担当者と情報共有をしてください。

また、現在地域おこし協力隊の公募を行っている自治体の報酬額が、上記の金額(令和2年度なら月額20万円)に満たない(従来の月額166,000円で公募している等の)場合は、担当課がそもそも増額を知らない可能性があります。こうしたことは契約後のトラブルにつながる恐れがあるため、事前に担当課に報償費等の金額の上限について確認するようにしましょう。


3.報償費等が増額した背景

金額が増加したのは会計年度任用職員の制度がスタートしたことが背景にあります。これまで自治体で働く非常勤職員は、給与が低い、正規職員に比べて福利厚生が不十分など、フルタイムに近い仕事をしていても待遇に違いがありました。公務員として働いても生活が豊かにならないことは「官製ワーキングプア」と呼ばれました。

こうした待遇改善の一環として、会計年度任用職員として職員を雇用することで、これまでなかった期末手当(ボーナス)の支給などが始まりました。これに伴い地域おこし協力隊についても、期末手当を踏まえた金額が国の地方特別交付税に盛り込まれることになりました。

簡単にいうと、地域おこし協力隊だけ待遇が変わらないことは、広く「公務員」として見たときに不公平が生じるため、それを是正するための措置であるということです。令和3年度の470万円という金額は、つまりボーナス分も含んだ金額になります。

自治体によっては「会計年度任用職員として雇用、期末手当なし」といった公募内容になると思いますが、これは総額に手当も含まれていると理解しましょう。

また、地域おこし協力隊は国の100%の財政措置を受けられる制度ですが、自治体が独自に報償費等を上乗せすることを禁止するものではありません。そのため、ボーナス分を独自に上乗せする太っ腹な自治体があっても、制度上問題ありません

ただし、会計年度任用職員となるとこれまでの非常勤職員にはなかった守秘義務が発生するなど、服務規程の厳格化がおこなわれます。金額が上がることにはそれなりに理由があります。会計年度任用職員がいいのか、業務委託という形式のほうが良いのか、という点は自治体が独自に判断をされて協力体制度を有効に活用してもらいたいと思います。


参考資料 PDFファイル
総務省 令和2年2月4日付事務連絡 
「地域おこし協力隊の推進に向けた地方財政措置について」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000717568.pdf?fbclid=IwAR2BNSXXoOLh9LEJU3X6m1Zud_IwN0INTqpG_ZLXPkMmk4qxMtUAwZcDuPU

※2021年1月21日、PDFファイルのリンク切れを修正しました。ご指摘頂いたKさん、ありがとうございました。


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