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「地域おこし協力隊インターン」はじまります

※2021年10月13日大幅に加筆修正しました。

協力隊のソフトランディング政策

2021年4月(令和3年度)から地域おこし協力隊のインターン制度が始まります。これまでも「おためし地域おこし協力隊」という2泊3日の体験型の取組が行われてきましたが、研修参加の交通費は実費、研修期間が2泊3日と短期間であることがデメリットでした。

こうしたことを踏まえて、
・参加者の活動経費が1人・1日当たり1.2万円を上限として交付
・2週間〜3ヶ月の長期間インターン採用が可能
と変更されることになりました。

また、これとは別に研修の実施経費として年間100万円の国の特別交付税措置がされます。

協力隊は、最初のマッチングの段階でつまづくことがあり、自治体と隊員との思いの差が採用後に明らかになることがあります。「聞いていた話と違う」や「思っていた人材と異なった」ということがないように、緩衝材として間に入るのが今回のインターン制度です。また、住民票の異動が必要ない点も協力隊制度とは異なります。ミスマッチが起こさず、協力隊本採用へとスムーズに繋げるソフトランディング政策として期待できます。


インターン制度創設の背景

総務省は令和6年度までに地域おこし協力隊の隊員数を8,000人とすることを目標としています。8,000人、というのは3年間の現役の隊員数が全国で同時に8,000人いるということです。現状では採用する自治体はほぼ出尽くした感があり、1自治体当たり平均5.2人を受け入れをすでに行っています。令和2年度の1065団体に加えて、未実施の自治体約400団体が平均5人ずつ受け入れたとしても6,500人となり、目標の数字には500人程度届かないことになります。

スクリーンショット 2021-10-13 20.51.56総務省HPより

そのため、8,000人という大きな目標のためには現状の制度に更にプラスアルファの要素が必要になります。インターン制度の創設は、こうした目標を達成するための促進剤として用意されたものです。

インターン制度の補足

隊員の中期的な受入には宿泊施設が必要となり、長期滞在になるほど研修費用も増えます。そのため100万円の範囲で受入られる人数×日数×研修内容がどのようなものかは自治体によって差が出ます

また、一人1.2万円の交付金には活動経費も含まれます。そのため、宿泊経費・現地での移動費などはインターン生が受け取る1.2万円から支出する必要があります

各自治体の取組を見る限り、インターン期間は最大の3ヶ月で委嘱するケースが多く見られます。雇用関係はなく、インターン生として委嘱をする、という業務委託の形式をどの自治体も採用しています。

ミスマッチ解消の戦略となるか

弘前大学の平井太郎准教授によると「1年目に離職する隊員の割合は25%」とされています。

また、地域おこし協力隊は「定住率6割」とされていますが、実際には6割という数字には任期後に近隣地域へ引っ越した隊員数も含まれています。また、任期途中で離職した隊員は定住率の計算には含まれていません

つまり協力隊は圧倒的に離職率も高い仕事です。違う見方をすると、イニシャル段階での意思疎通に失敗しているため採用直後の離職率が高い、とも言えます。私も協力隊となった直後に、毎日8時30分から17時15分までデスクに座っていなければならないことが分かり愕然としました。これもミスマッチの一例です。そうしたことがないよう、隊員希望者もインターン制度を上手に使って「行政の本気度を見定める」ために活用して欲しいと思います。

参考資料:
「定住率6割」の地域おこし協力隊
日本経済新聞,地域隊員、1年で25%退任 住民・行政との関係に悩み,2021年1月26日閲覧
産経新聞,「地域おこし協力隊」がインターン新設 3カ月体験,2021年1月26日閲覧.



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