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後継者は自分より無能な方がいい(日本人的リーダー論)

日本のリーダーは「米」という動かない生物(植物)を生産している平時型のリーダーですから、“総領の甚六”(※1)でも務まります。

ですから「集団の方向を決める」というよりも、「集団をうまく束ねていく」ことに長けた、敵をつくらない円満な人格者が求められます。

日本海軍の指揮官も海兵の卒業年度順なので、臆病な男でもなれますが、大陸に住む牧畜狩猟民は、日頃から素早く動く動物を相手にする有事対応編成ですので、米艦隊の指揮官も勇猛果敢で積極的な性格な男を抜擢人事のみで選抜してリーダーに決めていたようです。

日本では現在のような情報戦争で負け続けている有事であっても、政治家たちは一貫して稲作型の平時編成ですから、なるべくどこからも不平が出ないように当選回数順の順送りになっています。

ですから能力と言うよりも、素直で感じの良い人、先輩たちのお気に入りが後継者に指名されていきます。

そして先輩たちも、なるべく余計な事を言わない、先輩を立ててくれる、そして何より“自分よりも無能な男”を後継者に選ぼうとします。

先輩が見劣りするような、若くて有能な人材はリーダとしては排除される場合もあるから困ったものです。

俳句愛好家ならご存知の高浜虚子の弟子、佐藤念腹がブラジルに来て指導をしていましたが、彼は優秀な新人が出現してくると、自分の地位を守るために新人の頭を押さえる癖があったそうです。

後に邦字新聞の俳壇選者になったかずま氏は「自分は念腹から徹底的に無視された」と述懐していました。

俳句を広めようという目的を持って移住したのに、リーダーの地位を一旦得ると、その地位を死守することが目的になり、次の後継者を作るというリーダーの本来の仕事と反対の行動をとるので、リーダーとしては全く無能だったのです。

※1「総領の甚六(そうりょうのじんろく)」
長男または長女は、大事に育てられるので、弟や妹にくらべるとえてしてお人好しで愚鈍だということ。

【今日の名言】
浮世渡らば豆腐で渡れ。

(見かけは四角くてまじめだが、内面は柔和な方がうまくいく。)

怒りは敵と思え。 徳川家康
(相手に怒りを持てば必ず相手も自分に怒りや憎しみを抱くようになるので、自分自身を滅ぼす種になる。)

編集協力:和の国チャンネル


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