田村真寛 サクソフォン奏者 TAMURA Masahiro Saxophonist

1982年生まれ。O型。東京藝術大学卒業。クラシックのサックスをメインにしつつも、ジャ…

田村真寛 サクソフォン奏者 TAMURA Masahiro Saxophonist

1982年生まれ。O型。東京藝術大学卒業。クラシックのサックスをメインにしつつも、ジャズやフルート、クラリネットの演奏から見える音楽的、技術的ヒントを元に音楽を多角的に俯瞰する。ジストニアから手術をせずに回復した経緯もあります。

最近の記事

「身の丈に合う」ことと「チャレンジ精神」のバランスの難しさ

Jr.サクソフォン・コンクール本選を終えました。 かつて僕が参加して優勝したのが第3回、今回は第24回。 歴史を感じます。 今回僕は審査ではなく運営側として6名の演奏を聴いていました。 運営だけしていたので、あくまで一聴衆としての無責任な感想。 今やデザンクロやウェニャンのような、難易度ウルトラCみたいな作品で勝負せざるを得なくなってきて、正直なところ、ちょっと高校生たちがかわいそうになってきてしまいました。 しかしこういう風潮を作っているのは大人なんだよな。 もちろ

    • 呼吸について

      一ヶ月前に腰椎を骨折してしまい、4週間振りにサックスを吹いた。 どうなることかと思ったけど、思いの外音は出た。 記憶ってのは中々根強いもので、25年もかけて形成してきた良い技術も悪い癖もそうそう忘れることはない。 だから当然指使いを忘れるなんてこともないし。 しかし、その「思った通りに動かす」という、数々の専門的な動きに必要な、体の非常に繊細なコントロールはそりゃブランクがあれば多少は鈍ってくる。 でも「あそこへたどり着く」という目標地点が自分の中で明確にあるから、その繊細

      • タンギングに関する考察

        タンギングってどういうテクニックのこと?と聞かれたら、僕は「自らの舌で、マウスピースとリードの間の、息の通り道を塞ぐテクニック」と答える。 サクソフォンのみならず、全ての管楽器にとって、音色やニュアンスに与えるタンギングの影響は計り知れない。 今回は現時点での僕のタンギングに対する考えをまとめてみたいと思います。 ※今回はシングルタンギング、そしてそこから切っても切り離せない、ハーフタンギングに限定。 ダブルタンギング、スラップタンギングはまた別の機会に。 STEP1 まず

        • ジストニアの克服前後の違い

          もう終わってしまったイベントの記事だけど… その中で非常に興味深い文言がある。 「曲の中の同じ箇所を何度も繰り返し練習すると、上達は早いですが、忘れるのも早いことが知られています。」 http://yipc.yafjp.org/events/2019%E5%B9%B411%E6%9C%884%E6%97%A5%EF%BC%88%E6%9C%88%E3%83%BB%E4%BC%91%EF%BC%89-1030-1245-%E6%A8%AA%E6%B5%9C%E3%81%BF%

          絶対音感か相対音感か。そして移調のトレーニング

          プロのプレイヤーの中でも、ドレミという音の名前の聞こえ方は多種多様なようだ。 ピアノや弦楽器、その他in Cの楽器を演奏する人、特にクラシックでは固定ドで聞こえている人が多いだろうが、ジャズ、ポピュラーは移動ドの人も多いかもしれない。 移調楽器を演奏している人でも様々… ・とにかく絶対音感、固定ドでしか聞こえない ・in Es(in B等)で固定されて聞こえる ・移調楽器の調子に応じて移動する ・調性に応じて変化する(つまり相対音感) などなど。 ちなみに僕は2番目の

          絶対音感か相対音感か。そして移調のトレーニング

          ジストニア発症、克服の細かな経緯

          最初は20歳(大学1年終わり頃)になったばかりのころ。 ある日、それまでなんの問題もなく出来ていた右手部分の半音階の下降フレーズが、いくら練習しようにもうまくできなくなっていた。 最初は「練習不足だろう」と思いとにかくさらいまくる日々。 でもよくなる気配はまったくない。 無理矢理学年末の試験を乗り切る。 そして大学2年の夏休み、暇もたくさんあったため、初心者の如くスケールを、特に嫌な感覚があったところを重点的に、とにかくゆっくりとさらいまくる(須川先生のスケールの本で、

          ジストニアに陥った要因を考える

          とにかく練習が好きだった10代、20代。 できないパッセージ、出ない音などをクリアしていく過程が、達成感があり充実感があった。 練習すればするほどできることが増えていくのはとにかく楽しくてしかたなかった。 しかしそれと同時に、なぜできなかったか、なぜできたのかを冷静に考えることは皆無だった。 本番で音を間違うことに対してもすごく嫌悪感を持つ時期もあった。 とにかく間違うことなく完璧に吹きたかった。 リズムが転べば決まってリズム変え練習。 それで事なきを得ていた。 しかし「

          フォーカルジストニアの発症、そして克服。

          2年前にFacebookで告白してからずいぶん相談を受けることが増えました。 この問題を抱える人は想像以上に多い。 僕は10年以上悩み、もがき、時に放置し、必死に研究し、そして克服に至りました。 少しでも力になることができればと思い、まずは以前にFacebookに投稿した文章に少し手を加えて記載します。 ーーーーーーーーー フォーカルジストニア(手指に関する)のことを考えています。 いつの間にか、本当にいつの間にか、あれだけ(10年以上)悩んでいた、一時は演奏家生命を

          フォーカルジストニアの発症、そして克服。