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山で海の環境を考える

水のつながりから考える環境教育

山の近くに住む人は山の環境を考える。
川の近くに住む人は川の環境を考える。
海の近くに住む人は海の環境を考える。
そういった限定的な範囲で考えるのではなく、流域(水の流れ)という広い視野で環境を考えることが大切だと考えています。
海も、川も、山も、空も、「水」でつながっています。
以前、私のnote「水の子」でも書きました。

今回、私がフィールドにしている田野町は、山の近くにある町です。
田野町には、「鰐塚山」という1,118mの山があります。この山の名前の由来には、海のいきものが関係しています。日本神話に出てくる山幸彦と海幸彦の話の中で、竜宮城(海積宮)から地上へ戻る山幸彦を乗せていった鰐の墓(塚)があることが山の名前の由来になっています。
この鰐は、ワニではなく、サメのことだと言われています。海のいきものが関係しています。鰐塚山に降った雨は、いずれ、川となり、海に流れていきます。そのため、山で海の環境を学ぶことは自然なことだと考えています。

鰐塚山山頂から見た田野の町、その先には太平洋。

2023年8月6日、今年度で2回目となる「海のいきものワークショップ」を開催しました。講師は、宮崎大学の准教授であり、宮崎くじら研究会代表の西田伸先生をお招きして、海のいきものや海の環境問題のお話や、本物のクジラ・イルカの骨格標本ならべを行いました。

「目はどこでしょう?」、「なんでだろう??」、「なぜ?」
いろんな問いかけで子どもたちを夢中にしてしまう西田先生

西田先生のお話・備忘録
①アオウミガメのお腹の中のプラスチック
青島で打ち上げられたアオウミガメのお腹の中にいろんなプラスチックが出てきました。

解剖して出てきたプラスチック

②身近なところから考えるプラスチック
ファーストフード店のプラスチックのストロー廃止や、レジ袋の有料化は、なんでこうなった?この動画が、ひとつのきっかけになりました。
参加した子どもも大人も釘付けで見ていました。
参照(https://youtu.be/4wH878t78bw


③海に流れ出たゴミが行きつくミッドウェー諸島
海流によってミッドウェーに行きついたゴミ、それを海鳥が食べて死んでしまう。宮崎の浜にも海外のゴミが流れつきます。日本だけでなく、世界全体の問題。

④「この1週間でおいしかったプラスチックはありましたか?」
知らない間に、微量のプラスチックを、私たちは、1週間でクレジットカード1枚分食べていることが研究で分かっています。
「え!?」と驚く会場!遠い話ではないことを感じているようでした。

食い入るようにみる参加者

⑤手をつないでいる海・川・山
水でつながっている海・山・川。仲良く手をつないでいる状態です。人間と同じで、その手が離れると、自然も不安や恐怖を感じます。

一緒に学ぶ仲間がいると楽しい!

⑥クジラ・イルカの骨格標本ならべ&背くらべ
本物の骨格を、見て、触れて、感じながら並べていきました。徐々に出来上がっていき、その全貌が見えてくると、改めて大きいことがわかります。そして、最後に先生から解説がありましたが、実際に骨格を並べる体験も重なって、クジラ・イルカの身体の構造を深く理解することができました。

みんなで協力して骨格ならべ
本物を見て、触れて、感じる。
あーでもないこーでもない。試行錯誤しながら、全貌が明らかに!
仲間と話し合いながら学び合う
初めて会った友達と学び合う!
完成後の先生の解説。
体験したからこそ、知識が溶けるように入っていく。

⑦先生への質問タイム
「イルカのオスメスの区別はどうやって見るんですか?」
「うんこは、どこからでるんですか?」
「イルカの子どもは、どうやっておっぱいを飲むんですか?」
「アカウミガメは、どれくらい生きるんですか?」などなど・・・・・
先生は、丁寧にわかりやすく説明してくれました!

⑧ふりかえり

子どもたちの新しい学びや気づきを知ることができました!

子どもたちは、ワークショップを通して、海のいきものについて、まだまだ知らないことが多いことを知ったようでした。今回、体験的に学んだことで、自分の夢にまい進する気持ちが高まった参加者もいました。
今後、海や川、山に遊びに行ったときに、楽しいことばかりではなく、環境にも目を向けられる視座が生まれてほしいなと思います。そうすることで、より自然に対する感性が豊かになると思います。

子どもの好奇心は、傍若無人(笑)
クジラのあごの骨(片側)、体験して分かるそのスケール!
クジラとイルカと背くらべ!

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