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【感想】MBSドラマイズム『滅相も無い』第1話

3/18(月)、初回放送まで1ヶ月を切っていたタイミングで新ドラマが突如発表された。

MBS製作の深夜枠にも関わらず(失礼な物言いですみません)超の付く豪華キャスト。
監督・脚本は2023年に長編映画2作目の『ほつれる』が絶賛された加藤拓也。

あっという間に2024春ドラマの最注目作品に躍り出る形に。
早速公式サイトのコメントを見てみると…

映画や演劇を作ってきましたが、演劇をやれば映像的だ、映画をやれば演劇的だと言われることに嫌気が差し、今回はそのどちらの手法をも持ち込み、そのどちらでもない『滅相も無い』というドラマを作りました。

https://www.mbs.jp/messoumonai/cast_staff.shtml

「嫌気が差し」
何やら不穏なコメントである。

その“手法”についても公式サイトに詳細が載せられていた。
ただし、第1話を観る前には読まないことを強く推奨します。
未見の方はここで引き返してTVerに行きましょう。

以下、ネタバレあり


また本作の撮影は、演劇的手法と映像的手法をミックスした試みを多数取り入れて行われた。信者8人の会合シーンはロケーション撮影が行われた一方、それぞれの人生は全てスタジオセットのみで語られる。両親や友人など、語り手の人生に纏わる登場人物は、わずか6人のスタジオキャスト(秋元龍太朗、安藤聖、鳥谷宏之、中山求一郎、宮田早苗、安川まり※50音順)が全話を通して出演。約150役をこなし、セットチェンジ、早着替えもスタジオキャストが映像内で行うという、編集に頼らないリアルタイムでの場面転換を試みた。

https://www.mbs.jp/messoumonai/intro.shtml

なるほど!
あの演出は衝撃的だったが、そういう風に撮っていたのか。

ストーリーは日本各地に謎の“穴”が出現したところから始まる。
政府による調査が難航している間に穴を神と崇める新興宗教が誕生。
『ドント・ルック・アップ』『地獄が呼んでいる』『三体』なんかと共鳴する設定。

その団体のリーダーである小澤(堤真一)が所有する宿泊施設に8人が集まる。
ちなみにロケ地はここだそう。

ヤフー前社長の別荘(!)

そして前述の度肝を抜く演出を挟み、終盤の会話劇パートではライムスター宇多丸が『ほつれる』評の中で言っていた加藤拓也の作風がこれでもかと炸裂。

たとえば、日々のちょっとしたやり取りひとつひとつの中に潜んでいる、言った側は悪いとは思っていない、何とも思っていないけど、言われた側は内心「えっ、何それ?」とか「またか……」みたいな違和感であるとか不快感というのを、密かに溜め込んでいて、みたいな。そんな歪みの蓄積。
(中略)
「いやいや、あ、まあ、そうか」って一旦……たとえば、ここで大喧嘩でもしておけばいいかもしれないことを、「うん、まあ……わかった。そ、そうだよね。そういうこともあるよね。うん。わかった、わかった」みたいな感じで飲み込んでしまうほどに……お互い、気遣ってないわけじゃないんだけど。その、中途半端な譲歩というか。
(中略)
つまり、本質からの逃避っていうのを重ねることで、結局、そのズレの深刻度を増していく、みたいな。

で、それがあるところで臨界点に達して、主人公たちは、ずっと目を背けてきた歪みの本質に向き合うことになる、というような。

https://www.tbsradio.jp/articles/75097

『ほつれる』のクライマックスでの夫婦の口論をヤバかったけど、今回もヤバかった。
中川大志は今期はテレ東の『95』にも出演していて、そっちでは城定秀夫監督の演出を受けている。
俳優としていよいよ化けそうだなー

NHKのコント番組『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』では最年少イジられキャラなのにw

さてドラマは臨界点に達した怒りが発露した“劇中劇”から小澤の宿泊施設で半生を語っている時制に戻る。
視聴者も「まぁあれはさすがに怒っていいよな」と思っていたところで参加者の女性(顔は映っておらず声だけだったけど恐らく森田想)が

物が飛んでくるのは怖いです…

この台詞のリアリティ!

あと日付の出し方が往年の洋画・海外ドラマっぽいとか(具体的には何の作品だっけ…?あの画面絶対に見たことある気がするんだよな)やエンディングのアニメーションとか語るポイントたくさん。

第2話の主役は『ほつれる』ではストーリー上出番が限られる形になった染谷将太。
いやー、楽しみ!

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