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コミュニティの創り方、続け方【後編】

前回に引き続き、コミュニティの作り方、続け方の【後編】としてお届けしています。

前編はこちら

◆派生したプロジェクト

前編では「世界2.0 メタバースの歩き方と作り方」で解説されている生態系(≒コミュニティ)の作り方基本編的な考え方に、うちやまコミュニティ農園を4年やってきて感じていることを整理してみました。

後編では、うちやまコミュニティ農園の変遷や活動の中から派生したプロジェクトも紹介しておきます。

現在、うちやまコミュニティ農園のある敷地では

①うちやまコミュニティ農園

②農業複業化プロジェクト

③〜土作りをイチから学べる〜MY畑講座

が動いています。

・コミュニティ農園の変遷


変遷はこんな感じです。

●1~2年目 コミュニティ農園 10名約2反(≒2,000㎡)でスタート

●3年目 農業複業化プロジェクトスタート

●4年目 農業複業プロジェクト拡張、MY畑講座スタート。80人6反規模へ。

●つい先日上空から見たこちらの敷地です。


スタート当時もこんな風に展開していってくれたらいいなーという理想は語っていたのですが、メンバーのおかげで、斜め上をいく展開を遂げています。

あと、もちろん被って参加している人もいますが、プロジェクトごと参加者のレイヤーが違っています。最近では作業日が同じ日になったりなどで顔を合わすことも増えてきました。レイヤーは違いますが、根本にある価値観が似ているし、農以外に面白い技術や知恵を持った人たちばかりなので、プロジェクトを超えた交流ももっと起こしていきたいと感じています。

・農業複業化プロジェクト

農業複業化プロジェクトとは、コミュニティ農園のとあるメンバーの「自分で食べるお米くらい自給できたらいいよね」という一言から始まりました。コミュニティ農園の隣にある休耕田約1.6反(≒1,600㎡)を借りて、米作りができるようになることを目的に、「プロ>農業複業化>体験」といった立ち位置でスタートしました。遠くは東京や横浜から計11名が集まってくれて、米作りを1から学びました。

そして、今年は2年目。
メンバーの考えもあり、新たなメンバーも募集。6名が加わってくれて、かつ田んぼを約7.5畝(≒750㎡)借り、いろいろトラブルがあり今年結局開墾できたのは約4.5畝でしたが、田んぼを拡張しました。
また、比較的管理が簡単で保存性があり、生活に密接な大豆も作ってみようということになり、大豆畑(約5畝)も拡張しました。

草原を開墾
開墾の様子


こちらも、「お米作りが自分でできるようになる」という「実用的価値」が入口ではありますが、個々が思う「社会的価値」で参画してくれていると思っています。ある人は耕作放棄地を開墾して景観作って維持することを、ある人は農作業を効率化するためのIoTだったりロボットの活用を調べて見学にいったり、またある人はソーラーシェアリング活用をこれまた調べて見学に行ったりして、グループページに報告してくれたり、zoomで共有会を開いてくれたり各メンバー起点に交流や対話が行われています。いろんな角度から刺激をいただけるので、それをヒントに僕自身こんなことやったら面白いかもというアイデアがわいてくるし、本当にありがたい限りです。できるかどうかはまだわからないけど、この場を使って実験出来たら面白いし、コワーキングしていきたいと思っています。

拡張した大豆畑

農業複業化プロジェクトの領域は昨年末メンバーと合意をとって明確にしているので、そこを超えるアイデアは農業複業化プロジェクトとは切り離して新たな事業として設計し新たに器をつくってやっていくと、より社会的に価値のある場に発展していくと思っています。これはメンバーの「衝動」を大事にしたいし、形にしていくことを大切にしたいと思っています。

農業複業化プロジェクトについては、こちらのマガジンで、メンバーと共に発信しているので、ぜひフォローお願いします。

 

・〜土作りをイチから学べる〜MY畑

こちらは、うちやまコミュニティ農園を一緒に運営するつながり自然農園磯村聡さんが今年独自に始めたプログラムです。磯村さんとはコミュニティ農園スタート当時、「農の敷居を下げたこの農園で体験した人が『もっと自分でやってみたい』となったらいいね」と話していました。そうしたら、実際にそういったメンバーが現れてきました。こうなってくると、うちやまコミュニティ農園の枠組みでは物足りなさが出てきてしまうのも事実です。

また、炭素循環農法というやり方で10年以上農業に向き合ってきた磯村さんとしても、昨今の肥料高騰資材不足などの影響や農の担い手不足考えても、より農を身近に、極力肥料などを使わずに地域で調達できる資材で野菜が作れるようになる人が増えることが良いことだと思っていたようで、そういった想いも込められてのプログラムスタートです。

6名のメンバーが集まってくれてスタートしています。

竹パウダーなど地域資源の資材を投入して土づくり
透明マルチで太陽光の力を借りて微生物の分解を促進
磯村さんからのアドバイス


手入れやアドバイスの様子


この方法を学べば、どこでも野菜が作れるようになるはずです。
コミュニティ農園の敷地周辺もまだまだ休耕地だらけですし、こちらの講座に参加したメンバーがもしかしたら新しい農業の形を作っていくのではないかと、ひそかに期待しています。

このように、うちやまコミュニティ農園をベースに新たなプロジェクトが生まれてきています。活動を続ける中でこれからもメンバーの「これやりたい!」が出てくると思うので、その声を大事に、活動を広げていきたいと思っています。

まだまだ可能性だらけで、どんな展開をするのが読めないけど、でももっと楽しいし意味のある場になっていくであろう、うちやまコミュニティ農園+αコミュニティです。(総称なんか考えようかな、、、うちやまベースとか?)

◆よりエキサイティングなコミュニティにするために

さて、【前編】で紹介した「世界2.0 メタバースの歩き方と作り方」。
そこで紹介したことはどちらかというとコミュニティづくりの基本編というか最初の設計と目指すべきコミュニティの姿ですが、この本にはまだ続きが書かれています。よりコミュニティを強化し、メンバーが熱狂する方法です。

世界2.0/佐藤航陽/幻冬舎

コミュニティを運営する側の僕が、メンバーも読んでくれているようなnoteで、こんなこと公開するのも微妙だと思う(あ、こんな感じでコントロールされてるのかしら、とメンバーが思うかもしれない)ところもありますが、きっとコミュニティ農園らのメンバーたちは、メンバー自身がコミュニティを作っている人も多いし、否定的にとらないと思うし、むしろ一緒により良いコミュニティを作っていけるような気がするので、あえて書いてみることにしました。

・コミュニティをより強固にする仕組み

①価値の重ね合わせ
②コミュニケーションの促進
③ヒエラルキーの確立
④流動性の確保
⑤不確実性の担保
世界2.0/佐藤航陽/幻冬舎

ひとつ、「③ヒエラルキーの確立」を取り上げてみたいと思います。ヒエラルキーと聞くとネガティブな感じになる僕ですので、コミュニティ農園には絶対につくりたくないー!と僕自身思っています。でも、本書に書かれている通り、人はヒエラルキーがあったほうがわかりやすくてコミュニケーションがとりやすくなることも事実ですよね。「あ、あの人ってこういう立場なんだ」と分かることで接し方を推測できたりもすると思います。

コミュニティ農園は、あくまでも「農」をベースにして活動していますが、参加するメンバーは本当にいろいろな特技を持っています。4年もやっていると、「これはあの人にお願いするときっとよい」というようなことが、暗黙知ではあるのですが、出てきます。

そういえば、入会説明会やるときに、もしよければ名刺に「うちやまコミュニティ農園 ●●●(自分で創った肩書)」みたいな感じで書いてもOKです!ってずっと言ってきていたのですが、放置してました汗。

改めて、任意にはしようと思いますが、自分の得意分野とかコミュニティ農園で自分がやりたいことを「肩書」として表現してもらい、メンバーがわかる仕組みにしておくと、よりコミュニケーションを促進すると思いました。

ヒエラルキーとは若干違うけど、メンバーが増えてきてるし、これから新たに入ってくる人にとっても、こういった仕組みがあると溶け込みやすいのではないかとも思います。

ということで、そのうちやりますので、メンバーの皆さんよろしくお願いします。

・参加者を熱中させる仕掛け

①ランダム・フィードバック
②届きそうな目標の設定
③難易度のエスカレーション
④社会的相互作用の可能性
⑤進歩している実感の提供
世界2.0/佐藤航陽/幻冬舎

さて、こちらのリストに上がっているのは、いわゆる「ゲーミフィケーション」というやつです。僕も何冊か本を読んだことあるし、さわり的な講座も受けたことがあるのですが、昨今のこれを悪用(って言い切っちゃいけないか)した仕組みに嫌気がさしていたので、これを活用しようとは思ったことがありません。

でも、コミュニティ農園だったら少し取り入れても面白いのかなと、本書を読みながら改めて思った次第です。例えばですが、メンバーの善意で作業日以外も草刈りに行ってくれたりしている人が実際にいます。こういう善意でコミュニティは支えられている部分があります。こういった人たちに「ありがとう」だけで済ましてしまっていいのか、と思っていたところもあります。と今書きながら、「うーん、でも、これをゲーミフィケーション的に可視化したり、誘発することがどうなのか」と思う自分もいたりします苦笑

話はそれちゃいますが、コミュニティ通貨的な仕組み、僕の周りではもうあきらめたという人が多いのですが、僕の中でも9割諦めているんですが、どうしてもどこかであきらめきれない自分がいるので、これも合わせて、もう少しコミュニティを広げながら考えていければと思います。たぶん、うちやまコミュニティ農園のようなコミュニティをはじめ、僕が発起人のローカル複業化ラボでメンバーが生み出しているプロジェクトがコミュニティ化してきて、コミュニティの数も、そこに参加する人も増えてくれば、機能すると思うんですよね・・・。模索は続く。。。

ということで、話はそれてしまいましたが、枝葉の仕組みは使いよう、ということで改めて見直してみるもの、ありかとおもいました。

コミュニティづくりの参考にしようとして「世界2.0」を手に取ったわけではなかったけど、とても参考になりました。


◆現実世界の価値が今の10分の1になるって本当なのか・・・。

さて、最後は、こちらの記事とは趣旨がそれますが・・・。
世界2.0の本来の路線に戻るという感じなのですが、仮想空間の中で過ごす時間がほとんどになる未来、本書の中では「現実世界の価値が10分の1くらいに下がる」と著者が予測しています。これは本当なのか・・・。確かに、仮想空間の中で仕事も完結してしまったり、娯楽も完結してしまったりしそうです。その日の気分によって居る空間を選べたりもするだろうから、居心地という面でもよいかもしれません。だから、確かに現実世界の価値はそれくらいになってしまうのかもしれません。

でも、ローカルの、特にうちやまコミュニティ農園があるような中山間地はどうだろうか、と僕は思うわけです。逆に価値が上がるんじゃないかとも思っています。

効率化、合理化を追求して今の社会構造が出来上がっています。それが最終形態?!のメタバースに移行する。となると人は何を求めるのか・・・きっと非効率とか、非合理とか、不確実性なんじゃないかと思います。とくに農業複業化プロジェクトに参加している人たちは、ここにモチベーションがある気がしています。中山間地は自然がたくさんある、まさしく非効率であり不確実性の宝庫です。だからきっと残す価値があると思うから、今後も活動をつづけいこうと、勝手に思っています。

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