見えないものを資産計上する時代〜革命のファンファーレを読んで〜

 革命のファンファーレ、こちらの本を読んで会計と信用経済の未来を考えさせられた。
 自分は今ベンチャー企業の経理をしている。そこで日々使われるサービスの用途や目的にそってそれらをどう処理していくかの判断をするわけであるが、その判断の中で資産計上するか否かというものがある。例えば、高額なPCを購入したときや車を買った時に、出張代のように一括で費用として落とさず、何年間という期間を設けて一ヶ月ごとに少額を費用として計上するのだ。これは、税務署が高額な車などを一括で経費として落とせないようにして利益を大きくし、税金をむしり取ろうとする故に生まれた処理の仕方だと思っている。こういった資産計上というのは普通目に見えるもの、またはソフトウェアなどのサービスといったものしか資産としてはカウントされない。毎回経理として不思議に思うのが、なぜ企業が日々のビジネスによって取引の度に蓄積される信用や、ブランド力といったものが資産としては計算されないのかということだ(与信審査というものもあるので全く反映されていないとは思わないのだが)。
 ぶっちゃけこれらを観測可能な単位として計上としろと言われたら困るわけだが、逆にいえばこういった目に見えない資産は税務署にも気づかれず、好き勝手ため放題使い放題なのだ。だが、それは我々にとっても同じことで、目に見えない資産は忘れてしまいやすい。家計簿をつけて今日はいくら使ったかを記録している人がいても、今日はこのような会話や行動をしたから僕の信用はこれだけ上昇したといったようなものを記録しているような人には会ったことがない(言っていないだけかもしれない)。


 そういったものを記録したら面白そうだなと思っていたら、いたのだ。西野さんだった。本でも書かれているが、「自分の信用残高を記録している」とのこと。どういったフォーマットで書かれているのかはわからないが、衝撃を受けた一文だ。
 おそらく、それと似たような機能を持っていたのは自分ひとりで付けていた日記だったのではないか。今では日記は人に見せるブログとしての利用が多いと思うが、元々は自分1人で過ごした一日を振り返り、その出来を内省するという機能を持っていたのではないかと思う。それによって少なからず自分の信用が増えたのか減ったのかというのを肌感覚で感じれたはずだ。こういった動きはますます重要になってくるように感じる。西野さんを始め先端を走っている人たちが声を揃えて言う信用経済。この中で生き残っていくためには自分の信用というパラメータを管理し、それを運用していく必要がある。その指標はまだ明確に定まっていないような気がするが(現在のところはtwitterやfacebookのフォロワー数だが正確に反映してはいないと思っている)、これが定まったらいよいよ信用経済の資本主義化は加速する。金銭が動かす資本主義のキレイな例を出せば、お金を消費し、より効率性の高い機械を買い、それによってよりレベルの高いサービスを生み出し、そのサービスによって以前より多くのお金を生み出し、そのお金を再び投資し…。となるわけだが、
信用が動かす資本主義は、信用によって人が動かされ、人が動くことによって今まで知らなかった人たちにも知名度が生まれ信頼が生まれ、その信用によってより多くの人を動かし…といったような感じになるだろうか。
 そのような社会で生きていく上で指針となる本がこの革命のファンファーレとなりうるのではないかと思う今日この頃である。

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