リクルートの すごい構“創”力を読んで-リクルートは優れた科学者の集まり?-

以上の本は、リクルートが数々の新規事業を起こしてきて成功につながってきた仕組みを解説してある本であった。
この本を見て感じるのはリクルートの実験主義者的なアプローチだ
この中には成功する科学者の考えが詰まっている、そんな気がした。

特に感じたのは
KPIの適切な設定への徹底的な姿勢
KPIとは最重要評価指数(Ker Perfomance indicator)であるがこの部分へのこだわりが大きい。

例「ゼクシィのKPIの変更例」
このKPI設定は科学者で言えば仮説を実証できる最短ルートを探り当てることに似ている。仮説を立証するために様々な実験項目は思いつくが、その実験の中で特に重要な部分を実行する。IPS細胞の作成で言えば細胞の因子を機能不全にすることで作製に成功したわけだが、「機能不全にすること」自体は誰でもできると言っても過言ではない。その因子たちにアタリをつける。その部分が重要なわけだ。もし間違えた因子群にフォーカスをしていたら他の研究室にスピードで抜かれていたかもしれない。
特に、そのKPI設定も一発目でヒットするわけではないというのがポイントだと思っている。まず試し、振り返り、違っていたらKPIを設定し直す。その修正の速さがリクルートの成長速度を支えているはずである。IPS細胞の作製などについても膨大な実験を行った結果のクリティカルなアタリ付けが可能だったのであるのだから。

巨人の肩に乗る基盤作り
リクルートでは様々な分野での成功を”その人の型”として共有し、賞賛する文化がある。その型に則って新人も業務を行うことにより高い生産性を初期から維持し全体的なパフォーマンスを落とさないことができるという。著者も巨人の肩に乗ると言及しているが、これは科学者が日常的にやっていることではないだろうか。論文を読み漁り、その中で自分の分野での情報を得て、過去の研究成果を元にし、さらなる進歩のために研究を行い、学会で発表または、国際投稿学術誌に投稿する。この流れと似ていると思う。その中でインパクトを残した者は”「考案した人の名前” + モデル」なんて名前が残されるわけだ。

不の発見

不の発見の点で凄く面白いと思ったのは次の一文である。

さらに特徴的なのが、「志」だ。「儲かりそうだから」という理由だけでは、新規事業として取り組むには値しないとみている。あるべき社会の姿に照らし合わせて、真に解消すべき「不」が存在しているのだということを、説得力を持って伝えられるか。そして、自分自身がその解消に向けて、粘り強く取り組む覚悟をもっているかが問われる。


これは一見これまで本書で指摘された合理的なリクルートから離れた姿のような気がする。しかし、これこそリクルートが新しい世の中を生み出してきた秘密なのだろうと同時に思わされる言葉だった。
合理的にだけ考えたらイノベーションなんてものは起こらないはず。自分が思うある程度の論理と世の中をシステム的に見る目をどれだけ養ってもそこに自分のビジョンや思い込み、こうあるべきだという自分にとっての世界のモデリングができてこそ、そこに新たな発見が生まれ、それを説明する仮説が生まれてくる。
これは偉大なる科学者でも同じなのではないだろうかと思った。というのも人間はこれまで自分の見てきた世界を説明するためのモデルを考えて発表し、それに納得行くような論理を構築してきた。その結果が相対性理論であるし、地動説だし、重力なはずだ。

以上からリクルートの経営スタイルを科学者的に重ねて話してみたが、こういった視点から様々なインスピレーションが浮かぶと思っています!
物事を抽象的に捉えてそれぞれの共通項を結んでいく、これが様々な本をよむ醍醐味ですね。

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