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北海道に住む3人のコミュニティマネージャーから学ぶ、「コミュマネ論」

オフラインでもオンラインでも、日本全国が共通のテーマをもとにつながりを深めていくコミュニティ。

そんなコミュニティの中には「コミュニティマネージャー」略して「コミュマネ」と言われる人たちがいます。
日本中、世界中には色々なコミュニティがあり、そのコミュニティでの出会いや、発見、イベントなどを円滑に促進する人たちのこと。

今日はコミュマネを生業の一つにし、コミュマネとしての知識と経験を持つお三方をお呼びしました。北海道出身のROYさん、卓志さん。4月より本州から北海道に移住してきたザキさん。北の大地に住む3人の対談形式で行われた「コミュマネ論」で、組織のマネジメントやコミュニティの関わり方について学んでみましょう。

ゲストについて


【ROY / 観光復興クリエイター】

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札幌出身の旅しながら生きる観光復興クリエイター。オーストラリアへの留学中に自転車旅1万kmに挑戦し、旅に目覚める。帰国後は旅を広める企業TABIPPOで働き、2020年に退社。現在はフリーランスとして、地元の北海道に戻り、多拠点生活をしながら、地方創生×観光復興のプロデュース、企業のYouTubeチャンネルのディレクター業務、オンラインイベントの制作・運営、AbemaTVの「隣の恋は青く見える」にも出演するなど、幅広く業務を行っている。
ROYさんのコミュマネ
旅を広めるベンチャー企業「TABIPPO」の中の学生団体をマネジメント。北は札幌、南は沖縄まで450人の学生で構成されている。


【藤原卓志(卓志) / スラッシュワーカー】

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北海道苫小牧市出身の26歳。ライター、動画編集、ウェディングカメラマンなどWebの仕事は1人で何役もこなすスラッシュワーカー。
卓志さんのコミュマネ
ランサーズ社の「新しい働き方LAB」のコミュニティマネージャー。つながり・気づき・学びをコンセプトとしたコミュニティ。
【具体的な動き】
自分にとって「新しい働き方」を試してみる。もしくは、誰かにとって「新しい働き方」を後押しする「研究員制度」というプロジェクトに取り組む。
【実例】
①毎日30分昼寝するとどれだけの効率があがるか
②未経験からクリエイターになったらいくら稼げるようになるのか


【花崎和真(ザキ) / 複業会社員】

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うどん県出身の26歳。学生時代におにぎり握って世界一周していた。趣味は、筋トレと旅とサウナ。リクルートで働きながら、コミュニティマネージャーやイベントファシリテーター、地元香川で中高生向けのキャリア事業などを手がける。2021年4月から北海道に移住。
ザキさんのコミュマネ
地元に貢献したい思いを背景に、2020年よりコミュマネとして、株式会社TABIPPOが運営している次世代のグローバル人材養成スクール「POOLO」や観光業界を盛り上げるカードゲーム制作といった活動のコミュマネ・ファシリテーターとして活動をしている。

北海島プロジェクト(https://shima-pro.jp/

の発起人・Rioさんの質問を皮切りに対談が始まりました。

まずは、コミュマネの向き・不向き論についてです。


コミュマネに向き、不向きはあるのか?

ーーそもそも皆さん、コミュマネ向いてると思いますか?それはなぜですか?

◎ROYさんの回答

向いてないと思いますね。コミュニティマネージャーに求められるのは、根のところに人が好きか、この人何を考えてどういうことを求めているのを考える力が必要なんですけど僕はそこが欠如していて、ロジックで攻めようと頑張って1年目は失敗しました。

ーー意外ですね。ってことは人が苦手な人でもコミュマネできるということですか?

そうですね。中に入ってコミュニティを回すというよりもゴール設定やビジョン設定など、外でコミュニティを設計するような、大枠を作るのが得意なんです。ゴール設定やビジョン設定、どういう仕組みでコミュニティを回すのか、といった立ち上げの部分ですね。だから、1人でコミュニティを回すのではなく、コミュニティの中は仲間に任せています。


◎卓志さんの回答

苦手か苦手じゃないか総括するとまだわからないですね。というのも、これまでは真面目にやりながらも楽しくやる部活タイプだったコミュニティに、「楽しければいい」というサークルタイプの人が入ってきてから、まとめる難しさを感じています。
だからマネージャーと言っても全部をまとめるのは無理という意味では向いていないのかもしれません。


◎ザキさんの回答

僕は向いてていると思います。サッカーやってて組織動かす学級委員とかリーダー的立場をしていました。
みんなの意見聞いてどういうゴールに向かっていくかというのを小さいころからしてきたので向いているのではないかと思います。


3人中なんと2人が「コミュマネは向いていないかもしれない」という結果に。そんな中でもコミュマネとして帆を進める3人はどのような価値観を持っているのでしょうか。


コミュマネとして一番意識 / 大事にしていること


◎ザキさんの回答

その人にとってコミュニティのあり方ややりたいことが違うことが前提だということです。例えば、「部活するなら練習するのが当たり前」であったり、学校があるなら「講義に出ることが当たり前」であったり。
コミュニティに応用すると「参加することが当たり前」となりますが、出ることだけが正解ではないと思っています。
人によっては「こういったものを得たいから映像消してアーカイブだけで聞く」ことも正解だし、画面オンにしてみんなでワイワイガヤガヤしながら作っていくことだって正解です。

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ーーそれぞれを敬う大切さはわかったんですけど、色んな価値観が混ざるとまとまらないのでは?(Rio)

コミュニティの中での最低限のルールを決めるのがミニマムの中であります。あとは余白を大事にしているので最低限のルールを決めながらも自由度は高いです。


◎卓志さんの回答

可能性を否定してはいけないということを大切にしています。
今やっている働き方を考えるコミュニティにはいろんな世代がいます。だからこそ、可能性をつぶすような発言は一切出ない雰囲気づくりをしています。

ーーその雰囲気作りはどうやってやっているんですか?(Rio)

そういう人が集まるような告知の仕方をしています。来る人拒まずですが、こういう人が来てほしいというのを明確にしてるのが、可能性をつぶす発言が出ない要因なのかなと思っています。


◎ROYさんの回答

大事にしているのが3つあって。
①目的意識のすり合わせ
②心理的安全を保つ
③マネジメントしすぎない

です。

①目的意識のすり合わせ

コミュニティと言ってもそこがビジネスライクなのか、情報交換をしながらみんなでワイワイやる場なのかによって参加のスタンスが全然違うと思うんです。
その中で旅の仲間が欲しいからコミュニティに入る人もいれば、学生時代の時に大きいことをやりたいからそのためのイベントを作る経験を得るために入る人もいます。同じゴールに目線を向かわせるために、目的意識のすり合わせが必要です。


②心理的安全を保つ

人間関係においてリスクを感じることなく自分の気持ちを言い、自分のやりたいことをやれるような状況をつくるということです。
「誰かがチャット送ったら反応する」など小さいルールを設けて誰でも気軽に発言しやすいような状況をつくるようにしています。

③マネジメントしすぎない


僕は1年目に「あなたはこれやってください」と完全に上司みたいに指示をして1人1人の余白をつぶしてしまった経験があります。
だから、コミュマネだけどマネジメントしすぎず、任せることも必要だと気づきました。

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三者三様の正解がありながらもメンバーを否定しないという共通点を持つ3人。そこで、参加者の嶋本さんからも質問が出ました。


コミュマネ内でも、心理的孤独感を感じない工夫


ーーコミュニティマネージャーが、メンバーの心理的安全性を保つこととかに配慮して、結果的にコミュマネが孤独感を感じることはないのか?(嶋本さん)


◎ROYさんの回答

1年目は孤独で完全に孤立してました・・・それをどうしたかというと、コミュマネの中でチームを作って、チームを作ることが楽しいと思えるような人に任せるようにしました。
コミュマネは1人でもいいけど、コミュニティを見る人、コミュニティに関わって一緒に作っていってもらえるような人は増やした方がいいと思っています。あまり参加できていないメンバーのケアをしたり、誰かの発言に対して乗っかるといったことができる人が絶対います。そういった人に任せるんです。
できる人に自由に任せた方が僕も楽だし、コミュニティも回ります。

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◎ザキさんの回答

まだ僕はコミュマネを始めて半年しか立っていないので孤独を感じていませんね。
ただ、ルールを決めてやりつつ、ジレンマを感じないぐらいの心理的安全性を保つことを大切にしています。

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◎卓志さんの回答

心理的孤独感はないですね。その理由として、目的以外のことで繋がることを週1ペースでやっているからです。
「人狼する人!」って言ったら8人ぐらい集まったり、「ウミガメのスープやる人!」と言ったら10人ぐらい集まったり。
余白を作って、みんなで遊ぶ心を持って本来の目的以外でつながることは大事だと思います。


コロナ禍で加速するオンラインのコミュニティ。オンラインとオフラインで役割は変わるのかについて、ザキさん・ROYさんの2人が答えます。

オンライン / オフラインのコミュマネの役割


◎ザキさんの回答

変わりません。ツールの使い方は変われど人を知って、みんなで知り合わせながら埋め合わせていくことは同じなので。
熱量の保ち方は難しいんですけど、1on1しながら熱量を保つようにしています。


◎ROYさんの回答

逆に僕はめっちゃ変わると思いますね。コミュニティの設計は変わらないけど雑談や心理的安全性の高め方がオンラインは難しいです。オフラインは空気感、距離の作り方壊し方がなんとなくわかります。
だからこそオンラインのほうは特に雑談を交えた交流に重きを置いています。例えば身近にかんじてもらえるように参加者同士のSNSもフォローさせて、そこでの交流を生ませたりします。

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自身のマネジメントを自信をもって話す3人。逆に今度はトラブルエピソードはないのか、女性のすみかさんからの疑問に卓志さん・ザキさんの2人が答えます。


コミュマネのトラブルエピソード


◎卓志さんの回答

コミュマネ同士のトラブルがありました。今までコミュニティ内でお金発生してなかったんですけど、お金が発生するようになったときに、プロジェクトマネージャーの人への接し方が急に変わりました。
そんな風にトラブルが起きたときはメンバー全員集合して、1人の意見に偏らないような環境をつくることを意識しています。


◎ザキさんの回答

コミュマネ内でありますね。
コミュマネ内はどこまで役割を持つのか、それぞれのマネージャーで違いました。
実際、人のタイプも4タイプに分けられていて、縁の下の力持ちタイプ、監督タイプいろいろあるので意見が衝突しました。


コミュニティ内で、トラブルが生まれたときにどうすればいいのか、参加者の石神さんの体験から生まれた疑問に3人が答えます。


コミュニティ内でもし溝が生まれたら・・・


ーー同窓会の幹事をやっていて、役員10数名いました。
成功させたい目的は同じなんですけど、役員全員に過負荷をかけて最高のものにするかそれとも最低限のものにするかで意見が違い、溝が生まれました。
どうすればよかったでしょうか?(石神さん)

◎ROYさんの回答

答えがないのが答えだと思います。役員の中でもタイプはそれぞれ違います。だから話し合いをして、折り合いの地点を見つけるのがいいのではないでしょうか。

◎ザキさんの回答

役員が10数名いたら近しい人を集めて各々でやってみるのがいいと思います。

◎卓志さんの回答

同じく近しい人で進めた方がいいと思います。方向があってるほうが前に進むので、いいパフォーマンスができると思います。

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コミュマネの学びや苦労を話してくれる3人。これからコミュニティマネージャーになる人に向けて、卓志さんがアドバイスをくれました。


もしあなたがコミュマネになるなら・・・3段階のどのコミュニティマネージャーになりたいのか?


◎卓志さんの回答

コミュマネにおいて、全部をやろうとするときついです。自分が活躍するコミュニティの段階を考えた方がいいと思います。
コミュマネの中にも3つ段階があります。
①ビルダー:立ち上げ段階で、生み出していく人
②マネージャー:育てていく人
③デザイナー:自分たちが関わらなくても自走していく段階

この3つの中でどこに関わりたいかを明確に考えておくのがいいと思います。

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コミュマネにおいて大切なことや失敗談、実際のコミュニティ運営などを交えてたくさん語ってくれた3人。話はあっという間に時間は当初の1時間半を回り、締めの言葉に入りました。


コミュマネの3人よりメッセージ


◎ROYさん

コロナになってこれからコミュニティが加速されていくと思います。オンライン中心だとは思いますけど、オフラインも徐々に広がっていく中で人を集めるために、コミュニティづくりが重要になってくると思います!


◎卓志さん

コミュニティは繋がることが魅力の1つだと思うんですけど、同時に自分以上のものを発揮してくれるのがコミュニティです。何か大きいことを企てているのであればうまく活用していってほしいと思います!


◎ザキさん

僕にとってのコミュニティの意義は「その人の可能性ややりたいことをどうやって実現まで整えてあげられるか」
つまり、自分が自分らしくいれる場所がコミュニティだと思うので、いろんな自分を見つけるために、いろんなコミュニティに参加してみましょう!


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コロナ禍で加速するコミュニティ。たくさんの人に会いづらくなった今だからこそ、自分らしくいれる場所はどこなのかを見つけたり、自分でコミュニティ作りに役立ててみてください!


文・佐々木将人


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