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AT1債での混乱がマーケットに与える影響
クレディ・スイスの「AT1債」が3月19日にスイスの規制当局の価値が無価値に下げられました。
つまり、債券投資で気をつけなければならないことのうち【信用リスク】が顕在化したことになります。
「AT1債」(Additional Tier 1 bond)については、既に多くの報道で知らされていますが、ざっくりいうと、銀行が発行する特定の債券で、Tier 1資本と呼ばれる銀行の一部の資本を形成するものです。銀行の自己資本を補強する為に、発行されたものの一種です。
(詳しくは検索などでお調べ下さい。)
今回のクレディ・スイスのことが、今後のマーケットにどのような影響を与えるのでしょうか。
私の見解としては、短期的な混乱は既に起きていて、今後その影響は長引くこととなり、大きなショックに繋がる可能性があります。
「AT1債」は株式よりも安全な資産と思われていました。
ところが、スイス当局はUBSがクレディ・スイスを買収することで株主をある程度救済する形をとり、「AT1債」保有者を見殺しにするような措置をとりました。
世界中の機関投資家などは、「AT1債」やその他のハイブリッド債券と言われるような劣後債、優先出資証券などで運用をしているところが数多くあります。
今回のことで、それらの機関投資家を中心とした投資家たちは、既に保有しているそれらの債券の見直しを初めています。
今までであれば、株式よりは安全性が高いと思っていた債券でも、より注意を払わないと危険なんだなあ、と思って精査し始めたわけです。
その結果として、同様な債券や格付けの低い債券が売られるような事態が起きています。もちろん、全ての債券が無価値になるはずはないので、そこで売られすぎたモノにはチャンスも生まれます。
ただ、リーマンショック後に自己資本を拡充させてきた金融機関に綻びが出始めてきたことに変わりありません。
シリコンバレー銀行破綻から、今回のことへと複数の金融機関に変調が起きています。各国当局は、混乱を避ける為にあらゆる手段を打ち出しています。なんとかそれらが功を奏してソフトランディングしてくれればいいのですが・・・
2008年9月15日のリーマンショック前の1月〜3月にかけてもサブプライムローン問題が複数の金融機関に打撃を与え、経営危機に陥るところが複数出てきました。
今回もその時に近い状態にあるのではないでしょうか。
インフレも相変わらず、沈静化していません。
「人の行く裏に道あり花の山」ではありますが、まだ今後波及してくるリスクが多くあるのではないかと思います。
慎重に投資タイミング、投資対象を見極める必要があります。
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