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都市と地方の持つ独自性

こんにちは。PRISM DESIGNの小林です。
広島県福山市でインテリアデザインを中心とした仕事や
古式焙煎機を引き継ぎ、BATONという自家焙煎カフェをやっています。

僕たちはインテリアデザインという店舗や住宅の内装を、企業や個人の
お客様のご要望に沿って企画し提案させていただくことを主な仕事にしています。

英語圏ではCommercial Design (商業デザイン)に大別される仕事で
基本的には商業に明るい都市部に
多くのデザイン事務所やプロジェクトが集中しています。
ご多分に漏れず、PRISMが創業した上海も世界的な商業都市で
様々なデザインプロジェクトが凄まじいスピードで展開され、
各都市でいまも多くの実験が行われています。

都市部で起こった均一化

その上海はもとより、デザインアワードの授賞式などでしばしば歩いていた
NY、ロンドン、ミラノ、東京などの大都市で感じていたものは
意外にもどこに行っても代わり映えしないな…という感覚でした。
というのも、目的や内容の無い巨大建築物に対して、
流行のソフトを入れ込むというのが基本的なやり方。
そして、内容となるコンテンツはどこでも大体同じで、
資本力のあるLVグループやNike、UNIQLOを代表とする大企業が軒を連ねます。
国が変わっても提供商品やブランディングが同じなので、
都市中心部の商業施設には同じようなブランドが入り、
外向けにはどこも似たような顔をしている
ということになっていたんだと思います。

えらく遠くまできた割に、
上海とあまり代わり映えしないなというのが率直な感想でした。

どこも都市中心部では資本力と知名度のある企業が
ブランドを確立するための店舗を一等地に据え、
FC(フランチャイズ)で他店舗展開をする国際的な企業が脇を固めます。

覆えることがない“時間”という資産

反面地方都市はというと、商業的な効率化が進んでいないこともあり
(大手が資金を投入して開発するには市場が小さいなどの理由で)
独自の様式がそのまま残っているケースが割とあります。

個人や個人商店同士がつながり、独自のコミュニティを形成して
独自文化を形成したまま何十年と残っているものも多い。
この経過した時間というのは逆立ちしたって作り出すことはできないんです。

京都が歴史を大切にして日本有数の観光都市になっているように。
着物や刀、忍者や侍が未だに日本のアイコンになっているように。
歴史を紡いできたものはひっくり返すのは難しいんだと思います。
オセロで言うところの角みたいな感じのイメージです。

BATONがコーヒーをやるときにも抑えたのは、
アロマコーヒーの持っていた歴史です。
どこのコーヒーも美味しい中で
50年も使われていた焙煎機のインパクトが、
昨日今日焙煎を始めた僕らが、唯一もっているものなので(笑

建物も同じことが言えます。新築にはもちろん新築の良さがあります。
ただ、引き継げるものの大きさを考えると
先人の紡いできたものを、リノベーションなどで手を加え
意志を残しつつ、つないでいく意味はありそうです。

人も建物も時代を超えて個と個がしなやかに繋がることや
先人の残してくれた覆しにくい独自の文化を引き継ぎ、
時代に合わせて展開していくことが、
地方ならではの魅力をつくる力になるのかもしれません。

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