#07 : 新幹線の車窓から
新幹線に乗ると一瞬で過ぎていく風景を窓から眺めることになる。降りることもないその土地がパノラマのように繋がって過ぎていく。
例年の8月かと思う、暑い暑い7月の終わりに、乗ると救われるような涼しさの車内。
荷物を棚において、お茶と暇潰しの道具をフックにかけて、スマートフォンを電源に繋いで、窓の桟にGRIIを置く。
新幹線は出発した。
姫路行き
多摩川を越えると東京を出る旅が始まったと思う。
昼に出発し夕方には到着する。
窓の方に体を捻りながら撮る。それ以外はスマホを見るかぼーっと外を見てるか。
新幹線の車窓スナップは初めてなんじゃないかな。
品川から新横浜は一瞬。首都圏から出るのを感じるのは熱海に入ってから。
茶畑が見え始めるといよいよ関東圏を出たことになる。
長い長い静岡を経て名古屋、京都と東海道を通り抜ける。
すれ違う新幹線の一瞬。
見えるグラウンド。
畑と山をつなぐ電線。
車窓から見える駅の憧憬も旅の要素。管理する駅員、見送る人、スーツケースを弾きながら闊歩するビジネスマン、子供を追いかける親御さん。
そんな新幹線の車窓から見える風景を収めているうちに目的地にたどり着いた。
再び暑い夏の空気のもとに戻った。
尾道へ
今度はさらに西へ。
広島県尾道市へ向かう。
何度もここから東京に向かうことはあったが、ここからさらに西へ新幹線で向かうことは10のうちに収まるぐらいしかない。
故郷の風景を見ながらほとんど見たことのない姫路から西への風景を収めていく。
瞬くうちに通り過ぎる山陽道の茹だるような暑さの外を眺める。
低い平屋、関東とは違う山々、幾度も通り抜ける川。
緑と青空が澄み渡る。
尾道への一路は一瞬だった。
帰路東京へ
帰り道の新幹線、終わる旅の寂しさを感じる。
それでも帰らなければならない。
バスが少ないためクーラーのない駅で30分待った。
新幹線のクーラーが待ち遠しくてそそくさと乗ってしまった。
いざ乗ってしまうと後ろ髪を引かれる。
延々と続く鉄塔
昼下がりの街を行き交う在来線。
しばらく止まる岡山駅で行き交う人を眺める。
昼下がりの光が駅を照らす。
故郷を一瞬で通り過ぎ去っていくのぞみ。
加速する現在のテクノロジーのように日本を結びつけている。
その間の通過点は忘れ去られるのかとと思っていたのだが、早過ぎて見えないのが正解なんじゃないかと思ってしまった。
夕方へと向かう時間の太陽の光が照らす、少し高いところから見る街が好き。新幹線の中にもその光が入ってきた。
青と白で構成された直線が並ぶ。
これだけの長さと数で数分に一本大量の人を東京大阪間果てには博多も人を届けて繋いでいる。
京都を越え名古屋へ向かう新幹線から琵琶湖の向こう比叡山へ目を向けると、その向こうへ太陽は沈もうとしていた。
雲の隙間から見える光線、ダイナミックに踊る雲が美しくて何度もシャッターを切ってしまった。
暗くなっていく空と僅かに見える積乱雲に照りつける太陽の光が、この旅の終わりを告げていた。
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