見出し画像

戦略コンサルからスタートアップへの転職 ~なぜ、どのように意思決定したか

こんにちは。ヘルステックスタートアップのUbieでBizDev/事業開発として働いている斉藤と申します。(ご参考:会社ページAI受診相談ユビー

私は7月にUbieに入社し、その前は外資系戦略コンサルティングファームに勤務しておりました。

入社から1ヶ月ほど経ったこのタイミングで入社エントリなるものを書いてみようと思い筆を執るに至ります。


0. 自己紹介・このnoteで伝えたいこと

私は新卒で総合系のコンサルティングファームに入社し、その後戦略コンサルに転職。最終的にはマネージャー職に就いた後、大学の友人の紹介でこの7月にUbie株式会社に転職しました。

コンサル時代は常に将来のキャリアに対し悩みを持っていました。同じようにキャリアに悩みを抱えている方に対して私がどのように意思決定したかをシェアすることで、少しでもキャリアを考える上での助けになればと思い本記事を執筆しております。

特に私のようにやりたいことが非常にぼんやりしている方や、コンサルティングファームでマネージャー職にある方、あるいはその一歩手前まで来ておられる方には共感頂ける内容もあるのではと思っています。

なお、本記事ではUbieへの入社を推薦するのではなく、転職活動時にどのように考え意思決定したかにフォーカスしたいと思っています。そのため、なるべく入社後の経験には踏み込まず、転職活動時に考えていたことに絞ってお伝えしたいと考えています。なぜキャリアチェンジを考えたのか、なぜスタートアップなのか、なぜUbieなのか、それぞれの点について考えたことを可能な限りお伝えしたいと思います。

1. 戦略コンサルからのキャリアチェンジ

1-1. 経営、問題解決のプロを目指しコンサルへ

学生時代の就職活動時、”将来は経営上の問題解決を通じて企業の成長、更には社会に貢献できる人材になりたい”という考えから、数多くの業界・経営テーマに携わることのできるコンサルティング業界を志望し、総合コンサルティングファームに入社しました。

結果そのファームは2年程度で辞めてしまいましたが、ネクストキャリアとして戦略コンサルティングファームを選択しそこから5年程度、ポジションとしてはマネージャーまで、1社目と合わせ延べ7年以上コンサルタントとしてのキャリアを積んで来ました。

いずれのファームでも素晴らしいチームに恵まれ、またとても貴重な経験をさせて頂き、社会人としての基礎を高いレベルで身につけることができたと考えています。

1-2. 成長曲線の鈍り

そのような環境にて、前職でマネージャーに昇進する少し前から問題解決のプロセス、すなわち論点設定/仮説構築➝ワークプランニング➝調査や分析の実行、示唆だし➝アウトプットの作成という一連の工程はそれなりに身に付いてきたと感じました。

経験の幅についても広がりが出てきたと感じるようになりました。業界軸では製造業/消費財/通信/金融など、機能軸でも事業戦略/M&A/顧客ロイヤルティ向上/組織・コスト構造改革に至るまで様々なテーマを経験することができました。

他方、上記のように経験を積む中で、新しいプロジェクトにアサインされた際も過去経験したことが増え、徐々に新鮮な学びがある感覚が減ってきたように思います。

1-3. 今後の展望と自分の目指す姿のズレ

私がコンサルタントとして一人前になったと言うつもりはありません。コンサルの世界は奥が深く、ファームの共同経営者であるパートナーになって初めて一人前、と言う人もいます。

私が想像する一人前のコンサルタントは”数兆円の売上を誇る大企業のトップマネジメントや役員に対し、深い知見や経験に裏打ちされたインサイトを伝え、その企業を正しい方向へ導くことができる"、というものです。私の実力はその5合目にも遥か及ばないでしょう。

その意味における一人前のコンサルタントを目指すことはチャレンジし甲斐がある目標だと思います。しかし、今後のキャリア展望を考えた際、果たしてそれが自分のありたい姿だろうか、という違和感がありました。

7年に亘りコンサルをする中で、アドバイザーはその定義により本質的に第三者であり、また価値提供のためには第三者的であるべき、と考えるようになりました。様々なクライアント・プロジェクト経験を通じたことで得られる物の見方や比較感の物差しを持ち、クライアント内部の力関係に左右されず客観的にあるべき姿を直言できること、などがアドバイザーの価値の本質であると考えています。

私の違和感を言語化すると、①第三者として事業に関与することにどこか物足りなさと、また②自分自身が経験したことのない経営・事業上の意思決定についてアドバイスすることに後ろめたさを感じた、ということでした。

1-4. 今の自分がやりたいことは事業サイドにあるのではないか

上記①に関して、コンサルの仕事は実務へは深く入り込みませんし、仮に自分のアドバイスによって事業上の成果が出たとしても、果たしてそれが自分の成果と言えるのか、自信がなかったように思います。

②に関しては、マネージャーに昇進してから役員などシニアクライアントへの露出が増えエキサイティングな経験ができるようになっていたと思います。一方で、経営においては私は素人どころか未経験者。その私が役員にアドバイスをすることに強い違和感を感じたことを覚えています。

こういった理由により、徐々に仕事からSource of energyを見つけられなくなってきました。

また同時に、改めて自分のキャリアにおける理想像である“経営を通じて企業の成長に貢献していける人材”を目指した時に、今まで経験の浅かった①実務に関与しリアルな成果創出まで責任を持つ、そして②経営/事業を自分ごととして肌で感じ経験できる事業サイドに興味を持つようになっていました。

2. スタートアップを軸にした転職活動

2-1. 様々な選択肢とその誘惑

そのような経緯から転職活動を開始しましたが、事業会社といっても大手企業/外資系事業会社/スタートアップ/メガベンチャー/オーナー系企業など様々な選択肢があり迷いました。

また転職活動を開始した頃は実はそこまで転職動機を明確に言語化できていなかったこともあり、PEなどのプロフェッショナルファームも一応は検討し、更なる悩みの種になりました。

中でも外資系事業会社やPEは給与を大幅に増加できるケースもあったり、一部企業は給与を維持しつつワークライフバランスを大きく改善できる機会もあり、魅力を感じたことは否定できません。

2-2. スタートアップへのフォーカス

しかし転職活動を進める中で、先程述べたアドバイザリー業務に対する内面的な違和感に早々に気づき、PEなどのプロフェッショナルファームは対象から外しました。(PEはより経営の主体者としての性格が強いと思うものの、そこまで深堀って検討しておらず解像度は高くありません)

またカジュアル面談や元同僚との会話を通じて、メガベンチャーや外資含む大手事業会社なども、既に会社の規模が大きく自分が与えられる影響が規模に比して大きくないのではと思い、徐々に優先度が下がっていきました。

特に外資系事業会社は有力な転職先候補でしたが、日本支社は本国の意向により左右されローカルの役割は限定的という部分で、転職の目的が達成されないのではと感じました。

その中で、スタートアップは動かせる資金やリソースの絶対値こそ大きくはない一方、会社全体に与えられる影響や持てる裁量の相対的な大きさは非常に魅力に映りました。

また、歴史ある大企業に向けたアドバイザリー業務に携わってきたキャリアから、革新的なスタートアップでの実務というある意味対局に位置するキャリアにチェンジすることで、経験の幅を大きく広げてくれそうだという期待があり、スタートアップへの転職を決意しました。

私がスタートアップの経験で具体的に価値があると考えていたのは、新たな取り組みを小さくかつスピーディーにテストしていき成功事例を見つけたらスケールを図っていくという、最小限のコストで不確実性を潰していくスキルと、小から大を生み出す過程での事業・組織開発の経験です。

明け透けな言い方をすれば、不確実性が高まっているビジネス環境においてこのスキル・経験は必ず需要が高まっていくと考えていました。私の前職のコンサルティングファームでも、小さな成果をプロトタイプとして全社の変革につなげていくアプローチをクライアントに提言する機会が増えてきたと思います。

2-3. リスクに対するヘッジとコントロール

スタートアップへの転職を決意した際、いくつかのリスクを覚悟をしました。ここでは主に2点挙げたいと思います。
1点が先程とやや矛盾しますがその後のキャリアにおける選択肢の不透明性。5-10年後に何者になるのか、人生観や置かれた状況が変化した時にスタートアップ以外に移る選択肢が本当にあるのかという不安と言い換えてもいいかもしれません。
もう1点が大幅な給与減少による短期的な生活の不安定化です。

1点目については、時系列的にやや結果論ではあるものの、前職への出戻りの可能性を残すことでリスクヘッジをしました。退職にあたり、それまでお世話になった方々に挨拶をさせて頂き、その際に出戻りを許可頂くようなお言葉を複数頂きました。仮にコンサルに戻れば(戻らずとも?)、その後の選択肢は再度広く取れるでしょう。

また2点目については、リスクをコントロールすることで対処しました。家計の収支をエクセルでモデリングし、どこまでの給与減少であれば生活に支障が出ないかを検証しました。幸い、ある程度大幅な減少でも耐えられそうである、という結論を得ることができました。

また同時に、スタートアップではストックオプション(SO)がもらえるケースも多くあります。給与減少を投資と捉えた際に、中長期的に見てどのくらいのリターンがあればROIが合うかも検討しました。ここの考え方は人それぞれだと思います。私の場合は経済的リターン以外に事業経験などにも価値を感じていたので、数年後にSOを行使できた場合の総リターンが、同じ期間コンサルに残る場合の給与総額と同額以上ならば御の字、という感覚を持っていました。SO行使の確率は冷静に見積もりつつも既にある程度の資金調達をしているフェーズの会社であればそのリスクは受け入れられると考えました。

3. Ubieという会社へのジョイン

3-1. 企業選びの軸

ここまで書き連ねてきたことを改めて整理すると、私が転職や転職先に求めていたこと、要件は以下のように纏められると思います。

a. 成長余地が大きく、成長することが社会貢献にもつながる事業への関与
b. その事業において意思決定・実行上の裁量を持てる
c. 結果、事業に対して自分ならではの貢献ができる
d. その過程において革新的な事業の開発経験ができる
e. 3-5年トータルで他の選択肢と比べて同等以上の経済的リターンがある

3-2. Ubieという会社の特徴

結論から言えば、数あるスタートアップ企業の中でも特に上記要件を満たしていると感じたのがUbieであり、それがジョインを決めた理由となります。入社前に外形的に理解していたUbieの4つの特徴に沿ってそれを説明していきたいと思います。

① 医療という巨大かつ変革が望まれている市場に対し、明確な戦略と強みを以てアプローチ(➝要件a)
医療費は国内だけでも年間40兆円超と巨大な一方、テクノロジー活用による効率化は道半ばです。裏を返せば、市場規模もテクノロジーによる変革の余地(変化率)も大きく、起こし得る変化の絶対値は相当な規模になります。

Ubieはそのような巨大な市場機会に対し、分かりやすいが模倣が難しい競争優位性のあるプロダクトと、それを用いて市場を攻略し得る戦略・組織を携えていると感じました。

② 権限を移譲し一人ひとりが十分な力を発揮できる組織体制(➝要件b)
その組織について触れると、Ubieは一般的なヒエラルキー型の組織構造ではなく、"ホラクラシー型組織"を標榜していました。以下が組織図のイメージです。

画像1

入社前に理解していた特徴としては、組織の構成要素として主になるのが人ではなく目的達成に必要なロール/役割でありそこに人をアサインする仕組み、上司/部下なし、評価なし、といったことでした。

意思決定権限が各ロールに委ねられ、フィードバックはあっても管理はされないと理解し、裁量を持った仕事ができると感じました。

なお、ここまで述べたUbieの戦略・組織づくりは、こちらの記事や、以下メンバーのnoteに分かりやすくまとまっています。ご参考まで。


③ 0➝1、1➝10あるいは学びと貢献のバランス(➝要件c,d
ここでUbieの戦略に少し触れます。医療産業は患者、街のクリニック、大病院、製薬企業など、多くの種類のステークホルダーが存在し、各種類においてプレイヤーも膨大です。Ubieは問診を切り口にしたプロダクトを梃子に、その面を一気に取りに行き巨大市場におけるプラットフォーム構築を目指しています。

この"一気に取る”というところがポイントで、各ステークホルダーに対して別々にソリューションを提供する企業が出てくるとそれを統合するプラットフォームが成り立ちにくくなるため、他社が出てくる前に一気に面を取りに行く必要があります。

そのため、多様な事業を同時に立ち上げる必要があり、その中には顧客の課題を理解する0➝1フェーズの事業、課題に対するソリューションを作り拡販可能な状態まで移行させる1➝10フェーズの事業など複数の事業が社内に存在することになります。

Ubieではその各事業間で人材を行き来させることに積極的と聞いたので、様々な経験を積めるとともに、自分の得意領域で大きな貢献をすることも可能であり、常にSource of energyを見つけられそうだと考えました。

なお、本当に100名を超えるUbieにおいて面白い仕事が残っているのか、という点については以下記事も参考にして頂くと良いかもしれません。


④ 経済的リターンの期待値の大きさ(➝要件e)
Ubieでは全社員にSOを配布しており、その期待値は確率込みでも十分大きいと考えました。

一般的に、SOによるリターンは上場の可能性と、行使時の時価総額により左右され、どちらも不確実性があるので、出来上がりのリターンの振れ幅という意味でのリスクはかなり大きいと思います。

Ubieについては、上場の可能性はそれなりに高いと考えています。その理由は既に成長/上場のための仕掛けがあることや、優秀なメンバーが揃っていることなどです。(後者については、入社してから知りましたが面接で相当な絞り込みをかけています)

時価総額も期待が持てると思います。その理由は①の市場の大きさと戦略、更に重要なこととして時価総額数兆円を目指すことを公言し社員もその実現を本気で信じていることです。"思考は現実化する"という有名な本があります。信じられることは実現し得る、そうでないことは実現し得ない、ということです。

私は更に、私自身がSO行使タイミングまでUbieに所属している確率はどれだけだろうか?ということも検討しました。Ubieは過去に辞めている社員が少ないというファクト、社員がUbieに働くことに満足している様子だったこと、前述の通りSource of energyを見つけていけるだろうとの考えから、それなりに高い確率で所属しているのではと思いました。


以上の4点から、私は転職先としてUbieを選びました。

4. 最後に

私自身が転職した理由をなるべく丁寧に言語化しようとした結果、それなりに長文になってしまいました。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。本記事が少しでもキャリア検討上の参考になれば幸いです。

ここまで読んで頂いた方は、私が自分の意思決定に十分満足していたという印象を持たれたかもしれません。しかし、入社に当たっては大きな不安もありました。コンサル時代に医療関連のプロジェクト経験がほとんどなく、またコンサル業務しか経験したことのない自分が本当に貢献できるのだろうかと感じていました。

現在は入社から1ヶ月程度経ったところであり、まだまだオンボーディングの段階です。自分が価値が出せる領域に力を注ぎつつ、徐々にキャッチアップしていっています。その意味では、未経験ばかりの私でもすぐに貢献できる場があったことは一つの学びです。

もう少し時間が経ったら、Ubieにおけるオンボーディング経験がどうであったか、入社理由に対して実態はどうだったか、ということも振り返りをしたいと思います。

それでは最後までありがとうございました!


この記事が参加している募集

#入社エントリ

2,975件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?