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新奇場面への挑戦を後押しする方法~外部機関との連携で新たな教育機会の創造~



初対面の人と会ったり、はじめ行く場所に行くと固まってしまうくらい緊張してしまう子供がいます。
緊張の度合いは人それぞれ異なりますが、いわゆる新奇場面はだれにとっても緊張感が高まるものです。

生きていく中で新奇場面を回避し続けて生きていくことは難しく、回避し続けようと思うと引きこもりに限りなく近くなります。

しかし、それでは生活が成り立たなくなります。

スモールステップでいいので、新奇場面の経験を増やしていくことが大切だと考えています。
そのためには、新しい場所であっても行きたいなと本人に思わせる工夫が大切です。

通級の範疇でも、できなくはないですが、限界がありますので外部の機関との連携も有効となります。

〇見通しの立たないことは不安が高まる

新奇場面においては経験のないことの連続です。見通しが持てず行く前から不安が募ります。
行ったら行ったでいろんなイレギュラーが発生して緊張感が高まることもあるでしょう。
マラソンや山のぼりもゴールが明確に設定されているからこそ頑張れるわけです。
ゴールや頂上が不透明だったらとても挑戦しようと思いません。

頑張れば頑張っただけ報酬が見通せるのは大切なことです。

不安や緊張感を乗り越えることで本人にとっての報酬が得られることが保障されていることが大切です。
もらえるかどうかわからない状態では一歩踏み出すことは難しいでしょう。

〇通級での新奇場面:グループ活動

グループ活動では同年代の生徒と合同で通級をします。
顔見知りだということもありますが、ほとんどは初対面です。
同じ学校であったとしても普段顔を覚えることが苦手な子や対人関係が苦手な子供にとっては顔を知らず初めましてということも少なくありません。

グループ活動においても適当な組み合わせでは成功体験に繋がりません。
共通の趣味があるなど、盛り上がれる要素やパーソナリティーを見極めてセッティングします。

また、グループ活動を提案する際も、マインクラフトが好きな子がいるんだけどグループしない?と誘います。
その時の反応がポジティブなものであれば、場をセッティングします。

最初はお互いに緊張していますが、共通の趣味を共有することができると盛り上がりやすいです。
普段、対人関係に消極的な子どもたちは人とのやり取りを求めています。
しかしながら、自発的に声をかけて友人を作っていくことは容易ではありません。
その結果、共有の趣味を持ちながらお互いに知ることなくそのまま過ぎ去っていくことも少なくありません。

そのつなぎ役として通級の場を活用することで新しい友人ができ、充実した時間を過ごしことができます。
そこから学校内にとどまらず学校外でも時間を共有するような間柄になることもあります。

グループ活動は初対面の相手との活動になるので、最初は不安がありますが同じ趣味を持つ同年代ということが分かっていれば
好きなことを共有できる時間が子供たちの報酬となります。

〇外部機関のイベントを活用

私は子ども家庭支援センターのイベントを活用しています。

私が所属している自治体の子ども家庭支援センターでは様々なイベントが企画されています。
どれも子供たちの趣味嗜好にあったイベントなので興味を引きます。
そこでは幼小中高と幅広い年代の子供たちが参加します。また、施設の職員さんやボランティアスタッフさんなどいろんな大人がかかわっています。

人数も多く幅広い年齢層の人たちと出会う場なので子供たちはとても緊張しています。
私も最初は同行します。一人でも顔見知りでサポートしてくれる人がいると違うからです。

不安を乗り越えて行ってしまえば、そこにいらっしゃる大人たちは専門家の方など経験豊富な方ばかりなので、暖かく迎えてくださいます。
そのため、子供たちもすぐに溶け込みやすいです。

そして、そこでは自分が好きなゲームや活動ができるので、イベントが始まってしまえば楽しめますし、好きなことを介して交友関係も広がっていきます。
私の担当する生徒もイベント参加したことで同年代の友人ができ、交友関係の広がりができました。


〇イベント参加は実行機能を高める効果も

外部機関のイベントなので、当日の行動計画や準備物の手配など事前の確認と準備が必要となります。
また、細部が気になる子供にとってはイベントの詳細に書きていないことも確認しておくべきことが発生します。
そういった時には自分で電話して確認する練習の機会にすることもできます。
イベントだけでなくイベント参加に伴う事前準備さえも生徒にとってはSSTとなるのです。


外部機関との連携を深めることで、新たな教育機会の創造にもつながります。

〇イベント後は成功体験を振り返り強化する

イベント後には、通級の場で振り返りを実施します。
当初の不安を数値化してどれくらい緊張したかを確認します。
そして、イベントにいってよかったのか?楽しかったのか?などポジティブな体験を振り返ります。
新しい場に一歩踏み出す緊張や不安を乗り越えた先のポジティブな体験を通して、次の新奇場面への後押しをするのです。今後出会う新奇場面においても緊張を乗り越えた成功体験があれば、その先の報酬(ポジティブな体験)を見通すことができて、一歩踏み出す勇気に繋がります。
イベントに行ってよかっただけで終わらせてしまうともったいないので、再度振り返りの場で言葉にしたり文字にして今後のエネルギーとしてもらうことが大切なのです。

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