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第2回テーマ「VUCAの時代の考え方」

VUCAの時代の考え方

前回は少子高齢化で食品の摂取量が減りゆく中で食品業界のサプライチェーンが変われずに未だに大量の食品ロスを出している現状に課題を提示させて頂きました。今回は現代が直面しているVUCAの時代を解説したいと思います。

VUCAとは冷戦後に生まれた戦争用語です。この戦争用語が転じて昨今のビジネスの世界でもVUCAの時代と称されるようになりました。そして正に昨年発生したパンデミックは私達のビジネス環境を一変し、目の前に立ち現れたVUCAと対峙せねばならない時代に突入したと言えるでしょう。

 コロナ禍での一番の変容はソーシャルディスタンスに伴う人々の心的距離です。リモートワークが浸透し、満員電車に揺られることもなく、自宅にいながら仕事ができるようになりました。同時にこれまで当たり前だった会社時間が無くなり、同じオフィス空間にいる事で感じていた一体感が消失し、果たして自分は会社に必要とされているのかどうかと実感が持てなくなっている人が増えています。リモートが増え、嫌な上司に会わずとも良いというメリットもある一方で他の社員と接触しないが故の孤独や不安が増幅しているのです。一方上司も部下の仕事の実態が見えなくなっています。それが故に細かい報告を要求するマイクロマネジメントに走る上司からは益々部下の心的距離が離れていきます。

 つまり、これからの時代はポジショニングパワーで人を動かすマネジメントが通用しなくなったと言えます。もはや、上司の役割は指示を出し統制する事ではないのです。それでは今後の上司の役割とはなんでしょうか。私は「部下たちの不安を取り除き、帰属意識を高め、モチベーションを向上させる人」と定義しています。そこにはあるのは上司の権限ではなく、信頼です。上司への信頼が部下のモチベーションを高め生産性を上げるのです。トップダウンや上位下達で人を動かす時代は終わったのです。部下は上司に評価されるために働くのではなく、この上司の元で働きたい、この会社にいたら成長できるという内発的動機づけを高めること以外に組織をまとめることはできないのです。そのことを自覚し、次回はさらにVUCAの時代のマネジメントの要諦を提示したいと思います。
(日本食糧新聞2021年5月7日掲載)


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