音大受験や試験対策について
自分が学生の頃は考えもしませんでしたが、私も音大、音大大学院受験生から研修生、プロを教えるようになりました。
受験合格者も東京藝大、東京音大、昭和音大、国立音大など多くの合格者を出すことができています。研修生なども成績優秀者に選出されたりコンクール本選入選、入賞を果たしたりと良い効果も出ているなと思っています。
受験においてどの程度歌えているか、受ける学校の求める声になっているかなどの私の判断力も当たっており、生徒に良い影響を与えることができたかなと思っております。
さて今回は声楽での音大受験生や音大生さん向けに記事を書いてみようと思います。
発声
まず声楽をやるのだから声が一番に大切。声がどれくらい出来上がっているか、音大入学後にさらに成長し伸びていく歌声かというところを見られると言ってもいいでしょう。
はっきり言ってしまえば生まれ持って声が良い人もいます。この場合はすでに声の才能はクリアしているでしょう。
そうではない場合も対策はあります。声を努力で作り上げることも可能です。努力で作り上げた歌声を才能として見てもらう考えもあります。一度受験を決めた生徒さん、あるいは音大生活の中で自身を失った生徒さん、諦めるにはまだ早いです。
さて受験や試験までにできる対策を言いましょう
・レッスンに通う
これは必須です。独学で声を磨くのは難しいです。レッスンに通い、先生に声の良し悪しなどを判断してもらう必要があります。
受験期、特に若い生徒にはレールを敷いてくれる存在が必要です。なので先生の指導力も重要にはなります。(良い先生についても生徒本人の歌手としての本質的な吸収力が最終的には重要なのですが。)
僕自身は受験期に4人の声楽の先生に見てもらっていました。音大時代は結果としては3人に見てもらいました。(短期で受けた海外講師のレッスンもあったので実際はもっと多いですが。)バイトをしてお金を作ってはレッスンによく行ったもので、大変でしたが良い経験でした。様々な意見を聞くことでそれをまとめて消化していきました。
(ただし複数の先生に習うことには向き不向きもあります。発声指導のメソッドが先生ごとに違うことも多く混乱する可能性があるのです。この辺りのバランスは難しいですが、自分と相談です。)
とにかく自己投資と思ってレッスンに通うのが良いでしょう。自分に合った先生を探すのも大切です。
2.歌のための発音を学ぶ
受験ではイタリア古典歌曲、日本歌曲、人によってはドイツリート、フランス歌曲などを歌うでしょう。
声楽を志す者は言うまでもなく様々な言語やディクションを処理する能力を必要とされます。
しかし問題があります。我々は日本語話者なのです。西洋の言語とはまるで違う言語を話しています。基本的には西洋音楽を歌うわけですから西洋言語を上手く発音できることは必須です。ここが上手く行っていない生徒が多く、逆にここが上手く行けばかなり試験の印象は良くなります。
声を育てるのも大切ですが、それと同じくらい発音も大切です。今の時代、本やyoutube でも学べます。まずは耳が外国語に慣れること、発音の違いが耳で聞き取れない場合発音も上手くなりません。これについては毎日の習慣にしましょう。
歌詞朗読、文法の勉強、リスニングなど語学の勉強をとにかくやるべきです。こればかりはとにかく努力しましょう。
母音の位置、子音の位置なども発声の上でも重要。図解もされています。とにかく鬼のように勉強して。
(私は受験生〜音大時代はシャドーイングや書き取り、リスニングなどやっていました。今も行っています。)
そして注意したいのですが、中にはアメリカ英語っぽい発音のまま、イタリア語を歌う人がいます。それは非常にナンセンスです。
声楽において学ぶ優先度の高い言語はイタリア語、ドイツ語、フランス語です。実際受験課題曲にはこの3つの言語の曲目が入っています。
私の意見ですが多くの人は歌に向いた言語と言われるイタリア語から学ぶべきと思います。何故なら歌唱のための正しい母音を学べるからです。
やはり高低アクセント言語の日本人ですからaiueoの発音も声のポジションがずれていたりするものです。
(イタリア語で正しい母音を学び、ドイツ語で子音の取り扱いを学び、フランス語で流れるフレーズや鼻母音を学べます。英語に関して言うと歌のためにまずイギリス発音で勉強すると良いかもしれません。イタリアの母音をマスターしたら英語に行くと良いですね。ただこの辺りはもう音大生になってからの話でしょう。)
とにかく語学を鍛えることで歌の発音も上手くなります。コツコツ努力しましょう。
おすすめの本を少しあげておきます。
森田学氏 著「歌うためのイタリア語ハンドブック」
三ヶ尻正氏 著「歌うドイツ語ハンドブック 歌唱ドイツ語の発音と名曲選」
など
・フレージングを学ぶ
やはりクラシック音楽を歌うわけですからフレージングを学ぶことは必須です。
他ジャンルの音楽、例えばポップスやロックのようにクラシック音楽を歌うのはこれもまたナンセンスです。声は声楽の声だったとしても歌い方が完全に異なり、違和感を与えてしまいます。
声楽の根幹にあるのはレガートです。すなわち線がつながるようにラインを描く歌を歌わなければなりません。そうなってくるとリズムの捉え方もポップスやジャズとはまた少し変わってきます。
最近の若い人たちにとってポップス音楽は身近なものでかっこよいものが多いのですが、声楽をやるときは少し頭を切り替えてみましょう。
また、おそらく音大生を目指す半分の人は合唱きっかけな人も多いでしょう。ミュージカルの人もいますね!かくいう私も合唱出身ですから共感します。
しかしここも考えなければなりません。合唱曲やミュージカルの歌い方と音大受験で求められる声楽の歌い方や声はまた少し異なります。なので音大受験ではどのような歌い方、発声が求められているのかを分析してみてください。(音大入学したら自由に好きなジャンルにも手を出してみてください!)
分析として手っ取り早いのは、CDで流れている声楽の声、歌い方になることですね。もうこれです!こういう声で歌わないといけないんだということをひとまず無理矢理にでも刷り込んでください。
さて、細かなフレージングは先生と学ぶ必要があります。自習ははじめは難しいと思うのでレッスンの中で勉強してください。
・楽典、ソルフェージュ、ピアノ、コールユーブンゲンを学ぶ
これは重要です。先生に習ってとにかく数をこなしてください。
私もはよく楽典問題集や新曲視唱の本を買って何度も自習しました。聴音は洗足音大オンラインスクールの聴音課題を何度もやりました。ピアノはとにかく何度も練習するのみです。
コールユーブンゲンですが、これはまずとにかく一冊制覇しましょう。とにかく音をとって歌いこむことです。試験でどの箇所が出ても完全に歌えるように。(歌えないときも譜面は常に見ましょう)
さて、いかがだったでしょうか。
とにかく音大受験はやることが多いですね。諦めずにコツコツとひたすらやりましょう。
応援しています!
私の方もレッスン行っております。
それでは。
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