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マイアミ

寒かったニューヨークから、バスで30時間移動してマイアミに向かいます。どんどん南下してるのが、景色を見ているとよく分かります。

途中、バスの中で若者がおじさんの首を絞めていました。この首を絞められていたおじさんは、よく分からないことで笑って「ファック、ファック!」と叫んでいました。そのおじさんのアメリカン過ぎるジョークに、若者がブチっときれてしまったようです。周りの乗客がみんなで止めて、そのおじさんと仲良かった青年が「表でケリをつけてやるぞ」的なことを若者に言っていました(ファックだの、シットだの、それぐらいしか聞き取れないです)。最終的に初老のバスドライバーが事をおさめていました。ホント、よぼよぼのおじいちゃんドライバーなのに。あんた、かっこいいよ。

バスの休憩中、おせじにもうまいと言えないハンバーガーを食べます。ハンバーガーの中にケチャップを大量にかけて味をごまかそうとすると、つまってたケチャップが服に飛び散ります。全然、ごまかしてくれません。

早朝にマイアミ到着。アメリカを四角形にしたら、右下の所にマイアミはあります。バスを降りたらすぐにビーチが待っていると思ったら、そんなこともなく、ローカルバスでまた移動します。途中で間違えて2キロぐらい歩いて、またバスに乗って、なんとか安宿に到着します。安宿のフロントではスーパーマリオに似たおじさんが迎えてくれました。思わず、ルイージも近くにいるのかと思うぐらい、マリオに似ていました。任天堂さんに教えてあげたい。

マリオは「チェックインは14時から。それまでは入ってはダメ」と。なんだよ、つれないな。小学生の時、おまえとあんなに遊んだのに。僕がルイージ派だったことを怒っているのか?だいぶ疲れてるので、脳内で安宿マリオブラザーズが始まります。

14時まで、あと4時間もあります。荷物を置いてサンダルに履き替え、近所を散歩すると、ビーチまで3分ぐらいで着きました。久しぶりに海を見てテンションがあがる僕と、さすがに1人で海に来て騒げる年ではないんだなとテンションのさがる僕。「でも、海はやっぱりいいもんだな」と、思って眺めていると、近くに使用済みのコンドームが落ちていました。

街を散歩して昼頃に宿に戻ります。それでもチェックインまで、あと2時間あります。ロビーでぼけっとしていると、欧米人が話しかけてきました。なんか、慣れ慣れしくて少し警戒する僕。

話してみると、彼の名前はアランでイスラエル人。顔はジョン・トラボルタだけど、踊れなさそうな感じでした。ナイトフィーバーできなさそう。ただ、日本のカルチャーが好きらしく、僕のことを日本人だと気付いて話してきたようです。

「黒沢、北野はすごい。でも、漫画のAKIRAが一番」とのこと。僕のぶっ壊れた英会話にも付き合ってくれ、久しぶりに外国人と会話しました。日本語を教えてくれと言われ、トラベル英会話を出します。日本語の箇所をローマ字で書いて教えます。

僕「すみません、いま何時ですか?」

アラン「すぅみまっせん。いまぁ、なんずですかぁ?」

別に方言を教えた訳じゃないです。いいんだけど、やっぱり違うかな。もう一回やってもらいます。

アラン「すーみません。いまぁ、なんじぃですかー?」

いいね、いいね。できるじゃん、アラン。

僕「ちょうど12時です」

アラン「ちょぉっと、じゅーちでぇす」

うーん、それだと時間が違ってくるからな。もう一回やってもらうと、「ちょっと、じゅうんじでぇす」と、なんか自己紹介みたいになりました。そのあと、3回ほどやらせたら、ある程度できるようになったアラン。

アラン「すーみません。いまぁ、なんじぃーですかー?」

アラン「ちょぉどぅ、じゅーぅにじぃでぇす」

アランの日本語を聞いていて、僕の英語はこんなふうに聞こえているのかなと思いました。まあ、伝わればいいか。まあ、伝わってないけど。気付くと、14時になっていました。

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