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ボスニア・ヘルツェゴビナ

早朝、ボスニアのサラエボにバスで到着。バス停で「宿でも探さないと」と一服していたら、金髪のおばさんが「日本人?」と声をかけてきました。名前はイヴァナ。イヴァナは「宿、探してるの?」「私の宿は安くて、ここから近いし来たら?」「おなか、すいてるでしょ?」と、次から次へと質問を投げかけ、僕のほうから質問すると、だいたいが「オーケー、オーケー」と言ってくきます。

うん、あやしい。あやしいけど、ここらへんの宿の相場の半額ぐらいで泊まれるので、ついつい付いて行きます。イヴァナの積極的すぎるほどのアプローチに、サラエボに日本人男性が好きなおばさんがいるというのを、旅人が言っていたことを思い出し「あっ、この人だ」と気付きました。

彼女が宿と言っている家はほぼ自宅で、部屋に入ると日本の浅草なんかに売っていそうなお土産がずらずらと並んでいます。その中に日本人男性の証明写真が10枚ほど貼られています。今、考えると彼らはイヴァナにやられてしまった、、、いや男と女の深い穴に潜りこんだ人たちだったのかもしれません。

「泊まり客は僕だけだし、下手したらあの証明写真に僕も載ってしまうのかな」「あの人たちと兄弟になってしまうのだろうか」「いったい、誰が長男なんだ?」と考えていたら、イヴァナの携帯に日本人の男性から電話がかかってきました。「今日ここに泊まりたい!」というチャレンジャーでした。10分後に彼が到着して、僕と彼とイヴァナの3人でサラエボの街を散歩します。

街は内戦や紛争のあとがおびただしく残っていて、建物もほとんどが銃弾の跡だらけです。その時代に、その場所にいなくても、当時はひどかったと容易に想像できます。そんな所でおじさんたちが、カラーコーンぐらいの大きさのチェスを楽しんでいるのは微笑ましいです。

夕食の時、イヴァナのいろいろな話が聞けました。イヴァナの旦那は紛争の時に死んでしまい、子供たちも異国にいて寂しい生活を過ごしているらしいです。僕の英語力はあやふやだから正確なことは分からないけど、そんな感じだと思います。

その日の夜、僕は何もされなかったけど、もう一人の彼とイヴァナで何が起きたかは分かりません。というか、彼は割ともんもんとしていましたから。

翌日、朝早くに出発する僕をイヴァナはバス停まで送ってくれました。本当にいい人だと思います。こんなに、現地の人に優しくされることもなかなかありません。

バスに乗ってから数時間後、とてつもなく背中が痒くなり、次の宿に着いてから速攻で病院に行きました。見ると体中がボツボツになっていました。たぶん、イヴァナの家で変な虫にさされたらしいです。断っておきますが、変な病気がうつった訳ではありません。

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