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地域つなぐ場所づくり

執筆を依頼された、福島民報「民報サロン」の記事をアーカイブとして、noteにも残すことにしました。2020年8月21日分(最終回)です。一部段落構成は記事から変更しています。

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間もなく二本松市の地域おこし協力隊として活動を始めて、二年五カ月が経とうとしています。残りの任期も少なくなってきましたが、活動先の岳温泉観光協会にて、様々な事業にチャレンジさせていただいたお陰で、任期後の働き方についても方向を定めることができそうです。

一方で、まだやり残していると感じることがあります。それは岳温泉に「人が集まる場所」を作ることです。

これは岳温泉に観光客が少ないという意味ではなく、観光とは異なる文脈で、地域の人同士や地域内外の人が自然に出会い、繋がりを持つことができる場所を作りたいということです。

このような場所は、地域づくりの分野では人と人とを繋ぐ「関係案内所」とも表現されます。主な形態としてはゲストハウスやカフェ、コワーキングスペースなどが挙げられ、地方移住への関心が高まり続けるなか、全国にたくさんの面白い「人が集まる場所」ができています。

そこで作り出される空間は誰に対してもオープンであり、地元の人との飾らない会話や繋がりを楽しむことができるのはもちろん、地域内外の色々な人が出入りするのが特徴です。

実際にこのような「地域の場所」を訪れてみると、そこには必ず地元に溶け込んで、地域の魅力を生き生きと語る案内人の役割を果たす人がいます

。地域を愛し、地元の人たちとも仲が良く、地域の中と外を行き来できるような存在です。その人を通じて、地域内の人は外の声を知ることができ、地域外の人は地元コミュニティとの繋がりを作ることができます。

そして、この地域の場が最も力を発揮するのは、地域づくりに関心のある人たちがその場に集まってきたときです。同じ思いや目的を持つ人が出会い繋がると、それをきっかけに「化学反応」が起きるように、地域を新しい視点で面白くする企画やイノベーションが生まれることがあるのです。


そんな地域づくりの入り口になる場所を二本松でも作りたいと考えて始めたのが、月に一度の限定イベント「スナックひかりと」です。

岳温泉の旅館の一角で、私自身がママとしてお酒を作り、地元の方やお客さんと交流するイベントです。地域内外の人が自由に繋がって、岳温泉や二本松で面白いことが生まれるきっかけの場になればとの思いから企画しました。

今年の二月に第一回を開催した際は、県内の地域おこし協力隊員七人を含め、二本松市内外から約四十人もの方に参加いただきました。地域づくりに興味のある人たちが集まり、それぞれ繋がりを作ることができたのは大きな収穫でした。現在は開催を延期していますが、また近いうちに再開したいと思っています。

この岳温泉を拠点とした、地域の場所を作るというチャレンジはまだ始まったばかりですが、私も自らが地域の案内人となり、思わず参加したくなる地域プロジェクトが自然に生まれるような「関係案内所」を作っていきたいと考えています。同時に、地域の人の「たまり場」となり、地元にも愛される場を目指したいです。

これからも安達太良の風を感じながら、二本松を初め、福島県の魅力を余すことなく国内外に発信していきたいと思います。

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