見出し画像

「会社の規模」と「経営者」の関係

経営者を長く続けていると、一定の規模で成長が止まる。
これには、経営者の能力と考え方が関係している。
今回は、会社の規模と経営者の関係について書き綴っていく。


レベル1レイヤー:従業員規模 ~5名程度

この規模の会社は、経営者の能力で全てが決まると言って良い。
従業員の強さは、経営者をどれだけリスペクトしているかで決まる。

よく「経営理念をつくりなさい」とコンサルタント等が言っている。
しかし、レベル1レイヤーでは、経営理念は殆ど役に立たない。
従業員の目の前にいる経営者自体が理念そのものとなる。

このレイヤーを突破するには、経営者が強引に組織の底を押し上げる必要がある。
同時に、経営者が最前線で旗を振って突っ走る必要がある。

補足:以降のレイヤーの誤差について

以降のレイヤーは、作業員を担当する従業員やアルバイトの数を除いた従業員規模だと認識して欲しい。
理由は単純で、業種や仕事のやり方によって、従業員規模の数が変わるからだ。

例えば、製造業はそもそも作業員の数を多く必要とする。
また、同じ建設業であっても、施工管理を専門で行う会社と作業員のみが在籍する会社とでは、従業員数が全く違う。

以降は、こういった「作業専門」の人を除いた従業員の数が「従業員規模」だと考えて欲しい。
(作業以外の付加価値労働を兼務する場合は含む)

レベル2レイヤー:従業員規模 ~30名程度

このレイヤーで、多くの経営者が拡大を止める。
経営者一人の能力に限界が訪れる規模だ。

経営者の能力によっては、10名以下で限界が訪れることもあれば、20名以上まで拡大することもある。

この規模になって来ると経営者が一人一人の従業員をフォローすることが難しくなってくる。
拡大の限界に達した場合、フォローできる人数の限界だと思って良い。

このレイヤーを突破するには、経営者一人の指示系統ではなく、各部署に幹部を配置する必要がある。
このレイヤーがピラミッド構造のはじまりと言っても良い。

この時点では、経営者はまだまだ先頭に立って会社を引っ張っていく必要がある。
かつ、幹部の能力を底上げすることが重要となる。

従業員規模30名ともなると、経営者へのリスペクトだけで組織を統治するのが難しくなる。
給与水準だけなく、経営理念、会社のルール、就業規則などを本格的に整備して、数値に表せない満足を提供することが必要となってくる。

レベル3レイヤー:従業員規模 ~60名程度

このレイヤーに達すると、経営者一人の能力が組織に与える影響が少なくなってくる。
幹部を経営陣へと招き入れ、各部署内部の仕事は、幹部主体へと切り替えなければ粗が目立つようになる。
従って、経営者のアクションで一番重要になるのが、経営戦略の検討と経営陣内の会議となる。

経営者は幹部の能力を底上げしなければならないのは相変わらずだ。
しかし、このレイヤー辺りから「幹部による従業員の育成」も重要となってくる。
もはや、経営者が育成に関われるのは、教育ルールをつくることのみ。
幹部による教育に頼らざるを得なくなる。

このレイヤーを突破するには「経営理念=経営者の考え」という概念を超えなければならない。
経営者のカリスマ性だけで会社を統治することは難しい。
経営者は「経営理念」をつくり「会社という存在」をあたかも「実在する人物」のように感じさせるようにしなければいけない。
まさに「法人」というわけだ。

レベル4レイヤー:従業員規模 ~150名程度

このレイヤー以降は、一定のタイミングを超えると成長が加速することが多い。
幹部が力を持ち、会社の組織体制が整っていれば、レイヤー3以前より加速度的に規模を拡大することができる。

経営者は、全ての従業員の顔と名前を把握することができなくなる。
従業員も経営者の顔と名前を知らない人が出てくる。
従業員規模カウント外の作業専門員やアルバイトに至っては、経営者の名前はおろか、社名すら覚えていない人が出てくる。

経営者のカリスマ性は、伝説的な過去のものとなり、その動きを直接的に知る人は少なくなってくる。
一般従業員は「会社という存在」と「そこに所属する自分」という考え方になってくる。

このレイヤーになると、経営陣は「目に見えないもの」を整備し「会社という存在」を良くしていくことを考えるようになる。
社内ルールはもちろん、福利厚生、社会貢献活動、社外への知名度など、ありとあらゆることを整備していかなければならない。

レベル5レイヤー:従業員規模 150名程度~

残念ながら、今の私にはこのレイヤーが想像できない。
ただ、このレイヤーまでに必要なことをしっかりと抑える必要があることは間違いない。
また「会社という存在」を「宗教的な存在」へと変えていく必要があるのではないかと想像している。
そう感じさせてくれたのが次におすすめする書籍だ。

おすすめの書籍

今回書いた記事が良いと感じたら「サピエンス全史」という書籍を読んで欲しい。
ホモサピエンス、つまり人間の本質的な部分の哲学を固めるのに良い書籍だ。
上巻の前半だけで構わない。
上巻前半は、いかにしてホモサピエンスが集団規模を拡大してきたかが書かれている。

※ Amazonのアソシエイトとして、「そこらへんの経営者」は適格販売により収入を得ています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?