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量販店の限界
つい先日、量販店へ行った。
結果として、買い物にすらならなかった。
随分前から、量販店という形態は限界が来ていると思っていたが、丁度良いタイミングだったので、今回はこれについて書き綴っていく。
量販店で何があったのか?
先日、現品を確認したいものがあったので、量販店へ行った。
そこで、仕事に必要なものを10個購入する気だった。
もちろん、在庫が10個あるとは思っていないので、現品を確認して後日発送してもらう覚悟だ。
ところが、気に入ったものは在庫がないどころか、廃版となっていた。
どう頑張っても10個は集まらないらしい。
以上、終わり。
終わらせたのは販売員の方だ。
最後の言葉は「ごめんなさい」とのこと。
これはよくある風景かもしれない。
しかし、経営者の目線で考えると「ごめんなさい」が早すぎる。
私は1個3万ほどの予算で考えていたので、上手く行けば数十分で30万の売上が上がる可能性があったはず。
・選んだ商品のどんな点が気に入ったのか?
・予算はどのくらいか?
この程度の質問をすれば、代わりの商品を提案することができたはずだ。
私なら、相手の予算に合わせて、さらに関連商品まで提案したいと思う。
もちろん、当時の店内は混んでおらず、その対応をする時間は十分に有ったはずだ。
――― 量販店だから、仕方ない。
そう思ってしまう人も多いと思う。
私も、これが「量販店」という仕組みの限界だと思う。
量販店はシステム依存
量販店の利益は、店舗運営のシステムに依存している。
ここで言う「システム」とは、IT機器のことだけでなく、それを扱うルール、対応を判断するルールも含まれている。
そのシステムへの依存傾向が年々強くなってきていると感じる。
特に、販売スタッフが一人一台のハンディ端末を持った時に完成された気がする。
全てがそのハンディ端末に集約されている。
ハンディ端末を見て、対応を決める。
逆に言えば、ハンディ端末に縛られているように思える。
良くも悪くも、ここが到達点であり、限界だ。
量販店にとって、ハンディ端末の重要性は高い。
全ての販売員がルール通りの対応を行うための情報が集約されている。
これがなければ、全員が一定のクオリティで対応することは実現できない。
必ず、販売員によって、大きな対応の差が生まれてしまう。
量販店にとって、下手な社内研修や勉強会を地道に続けるよりも、ハンディ端末とそれを扱うルールを定めた方が利益に繋がる。
もちろん、ハンディ端末もルールも本部がつくる。
これが「量販店のシステム」というものだ。
しかし、システム化と引き換えに、販売員各自が「臨機応変な対応」することからは遠ざかる。
限られた一部の優秀な販売員以外は「臨機応変な対応」など、実行しようとすら思わなくなる。
これは自然な流れだ。
おそらく、停電、通信障害など、インフラの問題でハンディ端末が動作しなくなると、殆どの販売員はまともに仕事ができなくなるはずだ。
そのくらい量販店はシステムに依存している。
完成された量販店の本質
完成された量販店というのは「販売店」というより「不動産投資」に近い感覚なのだと思う。
在庫保管場所、運送コストなどの物流的要素も含め、販売店の利益を予想する。
投資に見合ったリターンが期待出来れば、新たな場所へ出店する。
店舗運営のための人員を揃え、教育する方法もシステム化されている。
最前線のスタッフは、ハンディ端末を見て、対応を正確に判断する訓練を受ける。
おそらく、それ以上の教育は、成果が保証されない投資とみなしてカットされている。
過去の膨大なデータから分析すれば、確定化できることは多い。
「客数」さえ読み間違えなければ、かなりの精度で予定通りの投資結果が表れるはずだ。
――― 量販店の出店は、無人化できない超大規模なコインランドリー。
「無人化できない」という点がシステムの限界の本質であるように思える。
量販店の未来
販売量と価格で勝負したら、ネット販売が必ず勝つ。
量販店は、物理的な限界とその維持コストが乗るからだ。
私としては、量販店のメリットがあるとすれば…
1.現品を確認できる(現品が有る)
2.現品を前に質問ができる
3.人間とその場で購入条件を交渉できる
この3つしか思い当たらない。
実際、現品の確認が必要ないものは、ネットでしか買わない。
よほど急いでいない限り、ネットで注文しても十分間に合う。
上記の3点を生かせないままだと、やがて利益も限界へ向かうと思う。
最悪、赤字体質となる可能性もある。
――― ウインドウショッピング・ボランティア
量販店は、そうならないように全力を尽くす必要があると思う。
現品を生かし、客の希望に合うものを提案し、その場で契約を獲得する。
おそらく、時代を一周回って、そんな「いにしえ系の能力」が今一度必要になると思う。
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