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茶畑にある扇風機みたいなヤツの正体は・・!!

こんにちは 静岡県藤枝の茶商 丸七製茶のNです。

みなさん ドライブはお好きですか?
昨今のソロキャンプブームも手伝い、自然を求めて遠出のドライブをされる方もいらっしゃるかと思います。

私の住まい仕事場である静岡県は、
首都圏や中京圏から高速道路で二時間程と比較的近場で、富士山や南アルプス、伊豆半島、駿河湾など山海ともに自然を満喫出来、訪れた事が有る方も多いですかね。

東へ西へ 南へ北へ


その静岡県は、みなさんご存じお茶の一大産地。
全国生産の約4割のお茶を収穫しており、平地や山間部の道沿いに広がる茶畑を目にすると、茶処静岡に来たなあ~、と感じるかと思います。
・・・東海道新幹線車内からも茶畑景色が見れますね

場所によっては、いつまでも続く茶畑。。。(少し飽きますか)
同じ風景が続く中、よく見ると茶畑に点在する扇風機!?
ヤツは何者? 目的は?

茶畑の左側に2本立つ物 ヤツの正体は!?


この猛暑から茶畑を守る、熱くならないように扇風機で温度を下げる!!と
思う方は少数かもしれませんが、
この扇風機の正体は、、、

近くで見ると見上げる高さ(5~7m程)

「防霜(ぼうそう)ファン」

春先のお茶収穫前に活躍する「霜防止送風機」で、とても大切な役目を担った装置です。

春先の夜から朝方にかけ、放射冷却で茶畑の地表温度は冷えますが、地上には温かい空気ができます。
・・・お風呂の湯船と一緒で、下が冷たく、上が温かい

地表の温度が下がりすぎると、春先のお茶収穫前のお茶の葉(新芽)には、大問題なのです・・・(それはのちほど)

そのため「防霜ファン」は、地上5m程の高さから地表に向けて吹き付け、空気の流れを作ります。
・・・上の温かい空気と下の冷たい空気を混ぜ合わせる
その事で、茶畑の地上の温かい空気を利用して、地表の冷たい空気を温めてあげるのです。

茶畑の温度を下げるのでは無く、上げるための装置です。

扇風機のように、涼むためではないんです


一番美味しい一番茶(新茶) 価格評価も一番高い

お茶は、年4回 収穫出来ます。
その中で、その年最初に収穫される春摘みの一番茶を新茶と呼びます。
冬の間に蓄えた養分を十分に使い成長した新芽には、甘みと旨み、香り成分が一番豊富に含まれており、その分価格評価も一番高いお茶になります。

一番茶(新茶)は、渋味や苦味成分も多いのですが、浸出するお湯の温度で抑えられます!!
淹れ方については、追々記事をアップしますが、
温度の原理については、まず 参考記事「水出し緑茶、氷出し緑茶の特性」にて


その新芽はみずみずしく、たっぷりの水分を含んでおり、春先の夜から朝方の急な冷え込みで霜が降りると凍ってしまうのです。

一番茶の新芽はとてもデリケート。。。

一度新芽が凍ってしまうと、変色し品質が悪くなり、お茶になりません。
・・・凍霜害(とうそうがい)と言います。

一番価格評価が高い一番茶の新芽。。。
茶畑全部が収穫出来ないとなると、農家さんの今までの苦労が報われず、収入が無い・・・、なんて事になりかねません。

なんてことだ!!
新芽が茶色に・・・ これが凍霜害


新芽の守り神

この凍霜害を防ぐ「防霜ファン」がとても大切になります。

「防霜ファン」は、設定温度(3℃が目安)や時間タイマーで動き出し、茶畑の温度が一定以下にならないように風を送り続けます。
昔は、夜通しで焚き火をして熱風にて茶畑を温めてました。

昔は大変でしたね 一晩中


今は、この苦労は無くなりましたが、設置や電気など費用はかなり掛かります。それでも凍霜害による新芽の品質劣化を防ぐためにも茶畑には欠かせない装置になります。

他の方法としては、「茶畑に霜除けシートを被せる」や「敢えて散水して温度を保つ」などございますが、静岡県では「防霜ファン」が一般的に利用されてます。


茶処静岡の風景

茶畑の風景撮影では、邪魔と思わず、お茶作りにはとても大切な送風機も一風景と思って頂き、またお茶を飲まれる際に送風機の活躍があったのかと思いを巡らし、茶処静岡を思い出して頂ければ幸いです。

最後になりますが、
お茶にご興味がある方は、静岡にお越しの際、是非下記のお茶施設で体験してみてはいかがでしょうか?
茶収穫時期の限定ですが、お茶摘みの体験が出来ます。手摘みしたお茶っ葉をお持ち帰りでき、天ぷらや釜炒り茶などがご家庭で作れます。(レシピ貰えます)
今話題のボトルティーも販売しております。(場合により、試飲も出来るみたい)


では、またの機会に。
有難うございました。
丸七製茶 N