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2分の1成人式。子育て半分終わった……のか?

長かった。天竺まで行けるかと思った。

サボテンを枯らすような人間が、出産を境にヒトの命を預かる。ホラー映画と言わずして何といいましょう。

そもそも、私は自分の機嫌すら上手く扱えない未熟な人間なのです。

体力がなくて疲れやすいし、子どものカルテには「母親の心配が強い」「質問が多い」なんて書かれたこともありました。

母親という役割を投げ出さなかったのは、愛情とか責任とか、そんなキレイごとのためではありません。

・「もうダメだ」とキレかけた時、たまたま深呼吸ができたから。

・古い友達が、良いタイミングで話を聞いてくれたから。

・支援センターや保健所で、優しい職員の方と出会えたから。

幸運と偶然が重なって、どうにかこうにか10年を迎えられた気がします。

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タイトルに書いた「2分の1成人式」は、子どもの学校の担任の先生が参観日に企画してくれた行事です。

正直、泣けました。

マスクの中は、涙と鼻水と化粧が混ざり合い、コロナより汚いんちゃうかと思いました。

子どもたちが一人一人、親への手紙や将来の夢を発表して「今までありがとう」と感謝のメッセージを読み上げてくれます。

黒板に掛かったスクリーンには、赤ちゃん時代のなつかしい写真が映し出されていました。

愛おしい思い出は何年経っても愛おしいものです。

新生児の柔らかな髪の毛から立つ頭の匂いや、たどたどしく口にした初めての言葉。

公園まで歩けたご褒美はアンパンマンジュースで、砂場でおトモダチを待ちながら「はたらくくるま」を歌っていたっけ…

踏切が鳴るたびに電車を指さして、飛行機を見上げては手を振りつづけ。

毎日が幸せな発見に満ちあふれていました。

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10年の間には、消してしまいたい思い出もいくつかできました。

特に子どもの持病はつらいものです。

救急外来にパジャマで滑り込み、診察を受け、ふと気付けば主治医が何とも言えない表情で私の背中をさすってくれていて、あれ、ロビーの外で光っているはずの朝日、全然まぶしくないのは何故。。目の前まっくらってこういうことか。

何を見ても何を食べても気持ちが動かず、夫から差し出されたミスドが砂粒のような味しか感じられなかった時は、イヨイヨだなぁと落ち込みました。

もっと大らかな気持ちで育てて、自由にさせてあげれば良かったとか、もっとスマホの検索結果じゃなくて我が子と向き合えば良かったとか、後悔も沢山あります。

でも、いま、デカくなった我が子が目の前で「ありがとう」「お母さんのおかげです」と発表してくれているのだから、今日のところは良しとしましょうか……ね。

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子どもが高学年になった今も、健康、友人関係、お勉強……と、それなりに心配事は尽きません。

子育ての残り半分、この先10年も、きっと気苦労の連続なのでしょう。

でも、良くも悪くも経験を積んだ分だけ、肝がすわって、ラクに向き合えたらいいな(じゃないとカーサン倒れそう)。

担任の先生がサプライズで企画してくれた「2分の1成人式」は、これまでの10年をみとめ、この先の10年を励ましてくれたような気がしました。

先生、素敵な時間をありがとうございました。

※ え、今は18歳で大人になるの? 嬉しい!

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