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わき汗おもいでぽろぽろ ❷【処世術】



こんにちは。わきあせの精霊に魅入られていた まる三角 です。


このシリーズは、
30歳をむかえた女が 脇汗共存ライフとサヨナラするまでの18年間の小話。
本日も湿度高めにお送りいたします。どうぞお付き合いくださいな。


▼ 小学6年生から中学生までのお話はこちら




中学生を卒業しわたしは高校生になった。

高校選びにも、3%くらいは脇を慮り 太平洋側でも雪が降るほどの寒い地区の高校を受験した。通学は自転車と電車で 4.50分くらいかかったけど、一応学区内である。

もう脇汗ビギナーではない。社会人で言うと3年目。ようやく会社での仕事や社内外での処世術がつかめてくる時期だ。

ここで脇汗を 引き寄せない法則 を紹介しよう。
女性視点で男性にピンとこない記述もありますが。


また、ノーマル脇をお持ちの方からみたら 「おお....」なことですがどうぞ ワキガ多汗の世界観を見守りくださいな。


引き寄せない法則

❶ デオナチュレ神

スプレータイプ、ロールオンタイプ、直塗りタイプとさまざまな制汗グッズを試した結果、社会人になってからデオナチュレという商品に落ち着いた。汗のニオイも嫌だけど、同じくらいに人工香料のニオイも耐え切い。だから無香料の直塗りタイプがわたしに合っていた。そして、こいつ実力もあった。90% は1日中「人からニオイがばれない」レベルにまでもっていけた。のこり10% の緊急事態になった場合、人気のない水道で脇を洗ってリセットして、また改めて塗布していた。
ネットで知ったオドレミンなる液体も試してみたけど、ツンと脇が痒くなってやめた。

制汗剤を塗る時は、洗い立ての清潔なお肌に塗布することが基本です。


❷ ポリエステルやレーヨンなど化繊はNG ▶︎ コットンか麻

間違いなく、ニオイが平素よりとんでもない方向にいく。あれなんなの化学反応なの? 怖くて着れない。お店で「お!」と思った服も、化繊が何%か含まれていたら却下している。布地に関してはすごい目利きになった。選択肢は綿か麻になる。絹なんかは、高級でしかも気軽に水洗いできないから特別な時だけ。


んじゃ結婚式などお呼ばれの場所にお呼ばれしたときはどうするの?
と自分がやってきたことを紹介します。(アパレル関連の語彙力のなさ)

 ・ブラックの袖なし化繊ワンピース + ストール
 ・ベトナムで購入した上質のシルク風に見えるコットンのブラックワンピース
 ・総レースの長袖トップス(素材はコットン) + ENFÖLDの光沢あるパンツ
 ・着物

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結婚式という場で男性のYシャツはともかく、女性でコットン素材の装いをする人はなかなかいないと思う。コットンはどうしても生活感がでてしまう。けれど「生活感」さえ払拭できれば理にかなっているわけで、コットンを組み込むにしても、そのものが上質で清潔感があるものをチョイスしている。

友人の晴れの日に汗染みはともかくニオイだけはなんとしてでも抑えたいんである。化繊ワンピースを選ぶ場合は、脇と接点がない袖なし。1日中の着用だったら緊急事態になるけれど、披露宴 2-3時間の間ならこれでいけた。

最近は着物って選択肢もありだな、と。着物の下着は綿でもいいので。
(って、書いてて気づいたけどもう汗腺とったんだった!)


お祝いの場でも、もちろん事前にシャワーを浴び清潔にしたのち制汗剤をぬることは大前提。


あと、会社員をやっていたころ社外の人を訪問するシーンも結構あった。そんな時はスーツもしくは平服が必須だったから入社したときに コットンのスーツも1セット用意していた。...さっきからコットン、コットンとコレクターじゃないか。

当然コットンのスーツはなかなか見つからなくて、百貨店をぐるぐる巡回していいものを見つけた。メーカーは忘れちゃった。たしか組曲だったかな?


❸ あれ?むしろピタッとした服のが汗少ない。

高校生のときまでは、汗染みが物理的につかないようにダボっとした服を好んで着ていた。アメリカやヨーロッパの古着が好きってのもあったけど、メンズのスウェットとかよく着ていた。ダボっとした服を着ていると行き場を失った汗が、タラーっと腕をつたうのがわかる。

大学生のときに「あれ?案外ピチッとしたトップスの方が汗少ないし、ものによってはニオイずらい」と気づく。それ以来、ピチッとした装いをするようになった。ただしコットンな。

悲しいけど、春夏に1枚で着る Tシャツは白か黒とか紺、チャコールが基本。灰色とかニュートラルな明度は着れないんである。


❹ わ○あせパッド 落ちる問題

汗染み対策のパッド商品があるが、わたしはこれダメだった。高校生のときに試してみたんだけど、多汗すぎて落ちる!しかも知らない間に落下してるもんだから、学校の廊下に自分のヨレタパッドが落っこちていて笑ったね。ちなみにわたしの妹もパッドを試したらしく、落っこちて回収したらしい。おそらくこのようなアイテムは、軽度の人向けなんじゃとおもうわ。


❺ ボトックス!ボトックス!ボトックス!

大学に入学してアルバイトをしたいと意気込んでいた。しかしアルバイト選びですらつきまとうこの脇汗問題。なにが問題かって、もう察しがつくでしょうが汗染みよ。それに追従してニオイも不安要素。色付きや薄いYシャツとかが制服のところは却下だし、そもそも接客していいのかすら危うい。
第一希望は喫茶店。チェーンから個人営業まであらゆる喫茶店に入ったときには、「うーむ、、、ここは黒いポロシャツだからいけるかもしれん」「ここは服が自由なんだな。いけるかも。」と吟味していた。

結局、個人経営の飲食店でアルバイトとして採用してもらった。そこそこお財布が潤ったころ、「ボトックス注射」という脇汗治療を知った。


この頃から「手術したい」という願望がむくむくと沸き始め、もう何百回もリサーチして、掲示板をみたりさまざまなクリニックの説明をみたり経験談を読んだり、脇汗ワールドにどっぷりつかった。そしてこのときに自分以外にも脇汗で悩んでいる人がたくさんいるんだなあ、と知ることになる。

手術の治療費を見ては、落ち込んだ。平凡な大学生のわたしにとって、何万何十万円という数値は圧倒的なものだった。脇汗を軽視している親にお願いする気にもならない。そしてなによりも手術内容が怖かった。採血ですら泣いてしまう小心者が、こんな治療できるわけがない。保険適用の治療はまだ現実的な費用だけれども、保険適用であるほど「The 手術」という感じで説明を読むだけで怖ろしい。

その中で、「やってみようかな」と思えたのが ボトックス注射 というもの。脇にチクンチクンとボツリヌスという液を入れていくという治療だ。それは当時、安い海外製のものでも2-3万、高いところで10万近くしていたような記憶。それで数ヶ月近く汗が止まるという。

※ 調べたら 今は保険適用される場合もあるんですね!なんていい世の中!!!たしか10年前くらいは保険適用外だった気が..


下宿先から電車で15分くらいの場所に、2万円代でやっているクリニックを発見。
決め手は笑気麻酔という口から吸入する麻酔をオプションでつけれること。

もう脇汗がとまって、のびのびバイトできるなら!ええい!と予約ポチ。


結果、

え!ほんとうに汗でない!なにこれ!!!!

やっと常人になれたような気がして、ほんとうにすがすがしかった。数ヶ月で効果がなくなると聞いていたが、6ヶ月くらいは汗はかいても常人レベル。それから徐々に徐々に、復活していくんだけど ええ時間を経験した。

肝心な痛みはね、笑気麻酔をすると、お酒を飲んでテンションが温まってきた頃のような「ぼんわ〜」という感覚。チクン、チクン、と確かな痛みはあるんだけど、どこか遠くで 自分とは別の場所で起きているできごとのような感じ。

学生時代、わたしはこのボトックス注射を3タームうった。

これは就職活動のリクルートスーツを着るときに大いに自信になった。スーツを着たときは、最後に注射をしてから1年以上は経過していたけど、汗は常人よりほんの少し多いレベルだったと思う。少なくとも、滴らない。

こんなに長いこと効果があったのは、おそらくメンタル的な支えがボトックスにあったからだと思う。効果がある時期は、怖いもの知らずというか、もう汗をかかないことが当然かのような。補助輪つき自転車にのっているときに自転車を自力で漕いでいるように錯覚する子どもと同じように、「わたしは脇汗をかかない」というビジョンが植え付けられたんだと思う。


そしてその頃に恋人ができたのだけど その人とも堂々と接することができた。

7年後、夫としてのその人に「わたしは脇汗に悩んでいて...」と自分内のタブーというか腫れ物の存在を泣きながらカミングアウトすることとなる。そしてわたしの脇汗手術のパトロンになろうとは(笑) 自分も彼も、夢にも思わなかった。



わたしは社会人になった。

しばらくの年月を経て、妊娠出産した。
それが手術を申し込むきっかけとなるのだ。




▶︎ 次回は わき汗おもいでぽろぽろ【パニック発作】
 ついに精神やられてしまった浪人時代のはなし


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