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彼女が家を出て行った。25時に。【躁鬱介護①】

彼女が家を出ていった。25時に。

私は明日も7時起き、仕事に支障をきたさないためには1時間以内に彼女を見つけなくてはいけなかった。

彼女は睡眠障害を患っている。薬を飲んでも寝られない。
私は布団に入ればすぐに寝てしまうので、私が寝た後に出ていかれるとどうしようもない。なんとなく今日も出ていく雰囲気を感じていたが、仕事の疲れでつい眠ってしまった。ふと目を覚ました時に隣に彼女の姿はなかった。
そういえば家の鍵に取り付けたキーホルダーのジャラジャラ音が鳴っていた気がする。念のため玄関までいくと彼女の靴がない。
時刻は25時。眠ってから30分も経っていないから、そこまで遠くに入っていないはず。

原因は色々あって、複数の要因が重なって心が限界に達した時に行動になって現れる。延長コードで首を吊ろうとしたり、カッターで太い血管を切ろうとしたり。
家の近くにある歩道橋には強く惹かれているようで、そこを目指して深夜に放浪することが多い。
その度に探しに行くのだけれども、彼女の方も学習してきて、最近はかなり遠くまで行ってしまう。私が見つけられない場所まで行ってから、電話をかけてくるのがいつものパターンだった。

結局探し回ったものの見つからない。
電話は向こうからの一方的な物言いだけで、所在地を教えてはくれない。
それ以降も探し回ったが26時になったところで一旦自宅に戻ると、彼女は既に帰って泣いていた。

早くいなくなりたい

彼女が毎回言うのは「とにかく今すぐこの世からいなくなりたい」ということだった。でも私が思うに、彼女はまだ生きることに未練がある。
死にたい、いなくなりたいが彼女の口癖だった。
そんな彼女の気落ちを変えられなくとも、とにかく何か変わるきっかけが来るまで延命させることが今やるべきことだと思っている。

彼女は所謂、愛人の子だった。
家族関係にトラウマがあり、さらに就職してからはパワハラを受け完全に壊れてしまった。
彼女とは学生時代からの付き合いで、付き合って5年になる。
躁鬱性障害を発症してから2年。
躁鬱性障害は寛解が難しい病気で、一生病気と付き合っていくことになる可能性が高い。日常の何かしらのストレスで再発する人も多く、これからの人生を考えると不安ばかりではある。

難しいのは分かっているはいるが、元気だったことの姿に戻ってくれないだろうか。日々本当にそう思う。勝手ながらそう思う。



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