第七釜 : お兄様がブルースよりうどんが好きなはずがない。
お世話になります。MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE 編集長 Sin でございます。
コロナコロナでうどん遍路もままならない状況ですが、それでもうずく身体とうどん魂を完全に静めることも難しく、対馬いや讃岐の亡霊となりながらうろうろちまちまと暖簾をくぐる毎日です。
今日の運転サウドントラックは、Gary Moore の "Blues For Greeny"。SKID ROW 時代から親交があり、 ゲイリーが大きなリスペクトを捧げていた名手ピーター・グリーンに捧げたアルバムです。トリビュートではなく、サンキューアルバムという点に愛を感じます。
両者とも亡くなってしまいましたね…古くはポール・コゾフ、ロリー・ギャラガー。最近ではポール・チャップマン、バーニー・トーメ。英国らしい湿度と情熱を伴ったブルースロックの炎が一つ、また一つと消えていきます…
この直前、ジンジャー・ベイカー、ジャック・ブルースと共闘してリリースした BBM の "Around The Next Dream" も、実に味わい深い白日夢でしたが、ゲイリーのブルースを最も体感できるのはこのレコードでしょう。ファストでフィジカルなトレードマークは封印し、ブルースらしいコール&レスポンス、アーティキュレーションのお手本を提示します。
ただ、そこはゲイリー・ムーア。"Need Your Love So Bad" を筆頭に、メロディアスに耳を溶かすイヤーキャンディや揺らぎ極まるビブラートも存分に味わえます。もちろん歌声も、ピーターの愛機で奏でられるトーンも極上。"受け継ぐ" とはこういうことなんでしょう、きっと。
若い方には、どうか10代のうちにブルースを自分の音楽にして欲しいと思います。ロックって、結局突き詰めればブルースを基盤とした音楽なので。MASTODON だって、NINE INCH NAILS だって、RADIOHEAD だって、やっぱりブルースな部分は絶対的に存在していて、そこを自分の血として聴けるか聴けないかで広がる世界、音の景色が全く変わってくるはずなんですよね。
そんなブルースへの入り口として、完璧なアルバムだと思います。3コードとペンタトニックの組み合わせがいかに無限か、聴くたびに思い知らされますね。2人の熱き魂が紡ぐ重要文化遺産。
高松市国分寺に居を構える一福は、東京にも支店を出す名店です。
ココリコの黄金伝説か何かで黄金のダシと称えられたかけうどんも絶品ですが、ここの一押しは肉ぶっかけ生卵のせ。讃岐うどんではかなりの細麺ですが、肉ぶっかけとの相性が抜群!生卵をからめれば、これはもはや完全に牛丼です!香川には牛丼チェーンがあんまりないので、これは貴重!
ちなみに、肉うどんがタレで甘辛くなってしまう問題ですが、ショウガを多めに投入するとうどんダシ本来の風味が戻ってくるのでぜひお試しを。
カリカリサクサクの、新タマとソーセージの天ぷら、とり天はマストアイテム。さっぱりとした梅しそおにぎりがむつごく (油っこく) なりすぎるのを防ぎます。
二軒目は讃州めんめ。高松人の心の聖地、峰山の中腹に居を構えます。いわばここは、高松ブルースですね。
怪しいホテルの一階を根城としています。ここにうどん屋があると知らないでこの店を見つけ出すことは、ぜったいに不可能でしょう。
鬱蒼とした山道にポツンとうどんの札が垂れ下がっていますが、焼け石に水。むしろ、誰かのダイングメッセージとか、怪しいお札とか、夜に来てしまうともう首吊りにしか見えないくらいの恐ろしさです。
運良く山でキノコが採れた時だけ振舞われる、キノコぶっかけを即注文。キノコのヌメヌメがうどんの喉越しをさらに甘美なものへと進化させてくれます。ショウガをドバッと投入して、味の変化を楽しむのも一興。野趣溢れる逸品です。
アツアツホクホク、巨大な山芋の天ぷらは絶対に注文すべきです。外はサクッと、中はヌルッと、キノコが香るぶっかけのダシに浸せば美味さ倍増。アジの天ぷらもカリカリで絶品。
晴れた日はこんな絶景を楽しみながらうどんが食べられます。もちろん、ここ一月ほど私の心も讃岐の空もほとんど晴れていないので絶景は楽しめませんでしたが。
三件目は飯山のよしや。讃岐民の9割が愛読しているナイスタウンの読者投票で一位を獲得。元フジテレビアナウンサーで丸亀出身の中野美奈子さんが愛し、時々訪れていると噂されています。個人的には、カトパン派です。
讃岐もち豚をふんだんに使用した、"炙っていいとも" を注文。別に注文しても友達を紹介する必要はありません。醤油でいただきますが、コショウをふるとピリッと味が締まりますね。バカ一代の釜バターもコショウが効いていますが、うどんとコショウの相性は実は抜群なのです。
というわけで、もし第八釜があればお会いしましょう。シェイクちんぽ!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?