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Hamee(東証プライム/3134) 株主総会レポート 2022/7/28

 東証プライム上場のHameeの株主総会に出席しました。株主総会の様子について、当記事にてご紹介したいと思います。当記事は私の心証に基づき脚色されており、記載内容が意図せず事実と異なる可能性もあります。また、当記事は同銘柄の売買を推奨するものではありません
 記載内容に関するご指摘、ご意見、ご感想がございましたら、ぜひお気軽にツイッターにお寄せ頂ければ幸いです。

1.参考記事

 まずは同社関連の記事として、昨年の株主総会レポート記事と直近の決算精査の記事を再掲しておきます。

2.基礎情報

 それでは株主総会の中身としてまずは基礎情報として当日のタイムテーブルと大まかな流れを先に共有いたします。その後、それぞれの項目の中身を時系列でだらだらと長文で(笑)書いていきたいと思います。

  10:00 開会 (水島社長)
  10:02 監査報告・議決権数確認(水島社長)※口頭・スライド投影のみ
  10:03 事業報告・対処すべき課題(水島社長)
  10:10 新中計説明(水島社長)
  10:20 議案上程(水島社長)
  10:29 質疑応答
  10:55 決議
  11:01 新任監査等委員の照会
  11:02 閉会

 会場には概ね50人程度の席が用意されておりましたが、純粋な個人株主の出席者はざっと目検で10人ちょっとといった印象で、そこに関係者(社員株主含む)もおられ全体でも20人もおられなかったかと思います。
 ちょうど開催日時点で新型コロナの感染状況が全国的に悪化しており、特に小田原という土地での開催でもあり、やや遠出となることや地方からの参加もしにくい状況だったものと推察されます。

 後述しますが、今回の株主総会では、開会前の株主控室において簡単な商品を陳列したブースが用意され、なんとそこには水島社長とNE株式会社の社長に就任される比護さんを筆頭に社員の皆さんがお出迎えされるというサプライズもありました。昨年の株主控室はHamee謹製のペットボトルの水だけがお出迎えして下さるといった寂しい中で、株主総会も含めて「参加をしている」という気持ちが高まらなかったわけです(昨年はまだコロナ禍への対応という意味で手探りだったという背景もありますが)。そこから会社としても株主総会におけるコミュニケーションを真摯に検討下さり、このような形で企画された中で、不運にも参加者が少なかった点は大変残念でした。私も周囲で参加をしたかったにもかかわらず、それが様々な事情で叶わなかったという事も聞き及んでいたので、こういった企画がより多くの方に体感してもらえる機会に恵まれなかったのが残念に感じました。これに懲りず、来年もこういう営みを続けてもらい、少しずつでもその想いが株主に伝わる場になればいいなと切に願うばかりです。

 それからこれもまた後述しますが、株主総会後の祈祷の任意出席も今年は復活しました。そもそも祈祷って何?って話ですが、Hameeの株主総会は、毎年地元小田原での開催ですが、その場所は二宮報告神社内の会館で執り行われるのです。ですので、株主総会終了後に経営メンバー共々、神前に会社繁栄を祈祷する会が催されているのですが、株主もここに任意で参列できるという事をやられてきておりました。コロナ禍でこれも叶わなかったのですが、今年は感染対策を十分に取り、このような想いを一つに出来る場に一緒に参列させて頂ける意味というものを感じながら、まさに「参加している」という事を実感できる会に回帰したわけです。

 私も些細ながら、同社のミッションとして掲げられている「クリエイティブ魂に火をつける」を株主としても一緒にその火を灯しているという実感の機会として株主総会をぜひそういう場に進化させて頂きたいと声をあげていた一人でもあり、こういう形で企画された方々が再び向き合って形にしてくれたことは、とても嬉しかったのです。目先の株価の先行きを占うような耳より情報とかがあるとしたら、目先の自分の損得を考えれば大事な要素かもしれませんが、そういうことではないエンゲージメントを高められる機会を創ってくれたことはありがたいですし、そういう尽力があったからこそ、環境が整いさえすればより多くの方にそれを感じて頂けたのではないかと思うと悔しい気持ちでもあります。

 この後、それぞれの時系列で好きなように書いていきますが、先に申し上げておくと、当たり前ですが株価形成に優位となるような耳より情報はありません。中計の内容も個人投資家向け説明会や資料でも開示されていますし、「内容」という意味では特筆すべきことはありません。ただ、極めて主観的とはなりますが、同社の雰囲気や志向している事とかを共有出来たらと思いますし、私も弱小株主として同社を応援している立場ですが、一人で応援するより、多くの方の輪が作られ、より俯瞰した声が会社側に届き、それによって会社がよりよくなる世界があればいいなと思っています(ものすごく理想論なのかもしれませんが)。

3.開会前のこと

 さて、ここからは時系列にいきます。恐らくここら辺まで読んで頂いた、あなたも、まだ総会の内容に到底辿りつきそうにない雰囲気に嫌気もピークになっている事と思います(笑)。ですが、順番に書いていきます。

 まず株主総会は神奈川県の小田原です。東京駅から東海道線に揺られること1時間20分です。熱海まで20分なので、もうほぼ昭和初期の頃でいう新婚旅行に赴く位の気合が求められる所です。いや、実際、東海道新幹線という文明の利器がありますからそれに頼れば30分です。実際社員の方の福利厚生としてはこういった文明の利器に頼る制度がきちんと設けられています。

 Hameeさんは比較的若い会社ですし、そういう社員の方にとってはやはり首都圏中心に居住していたいという志向も高そうですが、こういう制度もあり、逆に程よい田舎を拠り所にするというのもとてもいいライフワークだなと感じます。小田原の街に私はゆかりはないのですが、歩いていても景色や街並みが気に入っています。また中には静岡東部から通勤されている方もおられるようで、なんとなく都内に住み、そこから近郊の都市圏に住まう自分にとってはちょっと憧れる部分があります。

 早速脱線しましたが、毎年Hameeさんの総会に出席する際に前泊をするか否かを悩みます。早朝早くに家を出れば受付開始の9:15には十分間に合うのですが、電車の遅延等の事態に備える意味でも、年に一度くらいゆっくり小田原の町並みを堪能する機会と言い訳をつけて前泊するのも悪くないなーと思っていました。現在、神奈川県下ではかながわPayによる最大20%還元の制度や県民割も復活しておりましたから、ざっと計算すると実質ほぼ支出なく宿泊出来てしまうんですね。しかもやろうと思えば経費化だって出来てしまうかもしれません。

 とはいいつつ、こういう時に限って、窓際サラリーマンのはずなのに前日の夜に本業の会議が入ったりするんですよね…。何なら昼に移動して、前泊先で会議に出てもいいか、とも思ったのですが、なんかそこまでして前泊しなくてもと思って結局、当日朝に移動することにしました。

 で、都心からの小田原のアクセスは大きく東海道線、小田急、新幹線となるわけですね。ロマンスカーに揺られるのもいいかと思うのですが、あれに乗るならうっかり箱根までいきたくなってしまいますし、小田原で降りるのは悔しいですから無難に東海道を行く事にします。で、青春18切符期間ですので、それを活かして(小田原往復だけだと活かす程の効果も薄いのですが)と毎年これも思うのですが、結局電車遅延とかになると小田原となると代替手段が取れないことになるので、少しでもリスクを減らす&少しでも朝遅くてもよい新幹線を選択することになります。株主総会に出席するために敢えて新幹線に乗るって、自分でもちょっと頭おかしいんじゃないかと思うんですが、まぁ頭おかしくないとそもそもこんなにあちこち総会を行脚なんてしません(行脚されている方を否定しているわけではなく、冗談です)。

 夏休みに入っている中で、こだま号の乗車率はとても低くて、この辺りもまたコロナの状況を映しているのかなと思いながら新幹線に揺られていると、その旅情に浸る間もなく、いい日旅たちの社内メロディーが流れてきます。おっ、西日本編成だと嬉しくなります。東海道新幹線はだいたいがJR東海の車両編成で、その社内メロディーはAMBITIOUS JAPAN!ですね。そうTOKIOさんのやつです。しかし、たまに巡り合うJR西日本編成になると、いい日旅たちになります。世代ではないですが、山口百恵さんですね。確かにTOKIOさんのやつに圧倒的に飼い慣らされているので、何ら違和感はないのですが、個人的にはいい日旅たちがくると、嬉しくなります。私が一度だけ大阪駅発札幌行の寝台特急トワイライトエクスプレスに乗車した時、大阪駅を発車して淀川を渡る時にこのいい日旅たちが流れた思い出が鮮明に蘇ります。嫁さんと二人でスイート車両を占有した旅行はよき思い出です。

 脱線し過ぎなんですが、まぁそんなこんなで余裕を見た行程で8:30に小田原駅に到着です。ちょっと報徳会館に向かうには早いな、と思いつつ、既にムシムシした中で、総会前に汗だらだらは避けたくもあり、特に駅周辺で時間を潰すところもなくて、向かうことにします。新幹線改札を出るとスターバックスさんが手をこまねいている気がしたのですが、あそこは時間をゆっくり過ごす所であり、こんなちょっとで立ち寄る所でもないですからね。報徳会館までは駅から歩くと、なんだかんだで20分弱かかります。しかも小田原城跡をぐるっと回ることになり相応に起伏もあるんですよね。で、まだ汗だらだらは避けたく、かながわPayの割引もあるので、ここはタクシーを使うことにします。小田原のタクシーは初乗りが600円でした。あれ、高くないですか!?株で損をし続けていると、こういうつまらない所に過敏になってしまいます。もう少し自分のポートフォリオに過敏になった方がいいのでしょうが、そっちは鈍感過ぎるし、本当に思考のバランスって難しいですね(笑)。

小田原地区
横浜・川崎地区

 報徳会館に着きましたが、まずは二宮報徳神社をお参りですね。この日は雲一つない快晴ではなく、少し雲もある晴天です。夏の空って少し雲があった方がそれっぽいですね。セミがけたたましく泣いている参道を進み、参拝をさせて頂きました。セミの鳴き声が如何にも夏という感じです。暑いのですがこれ位の距離と時間であれば問題ないですね。

 受付開始が9:15となっているのに、9:00少し前に会館に入館します。といってもロビーになっていて、その一角にあった椅子に腰かけて存在感を極限まで落として時間が過ぎるのを待ちます。窓の外は木々が生い茂っていて、短い寿命のセミ達が一層盛んに鳴いています。

 少しすると、いつもお世話になっている社員の方が通りかかり、ご挨拶をさせて頂きました。その折に、今回は控室で水島さんや比護さんがお出迎えして下さり対話の機会があることや、祈祷が復活した旨を教えて下さいました。招集通知からは昨年の「参加した」感が得にくい機会に対してどういう企画をされたのか伝わってなかったので、正直不安な気持ちもあったのですが、こういう企画をなされたことが嬉しく思いました。企画メンバーの方はご準備や、そもそもの在り方から検討していただいたのだと思うので、ありがたいな、と思いました。

 ちなみにHameeの総会では毎年、社員役員の皆さんがお揃いのファッションをするのが恒例ですが、今年は白地無地のTシャツに前掛けのエプロンといういで立ちでした。時にはHameeのコーポレートカラーであるレモン色のお揃いのTシャツだったりしたこともありましたが、今年は落ち着いた感じですね。流石に役員一同は総会時にはエプロンは外されていましたが、全員が無地白Tシャツということで、そのラフさも知らないとびっくりするかもしれませんね。それからファッションという意味では、名札をつけてらっしゃったのですが、レモン色のものと青色のものとがあって、これはHamee所属となるのか、NE所属となるのかの色分けのようでした。とはいえ、それぞれの色同士の方が普通に仲良さそうに会話されていたりもして、決して隔てるものではないのでしょう。

 他の株主の方も数名ロビーにこられた9:10くらいだったでしょうか。受付開始をされるということで、ロビーから会場のある会館の2階へ進みます。受付で招集通知をお渡しし、いよいよ水島さんや比護さんの待つ控室へ移動します。控室といっても広い部屋でホテルの宴会場のような雰囲気です。もっとも照明もシャンデリアではなく、和のテイストを凝らしたものだったりするのですけどね。入口で皆さんにご挨拶をして入室します。
 手前から4つの机の上に自社の商品やサービスのパネルが置かれていて、それぞれの机には社員の方がおられます。入口側から、奥にかけての4つの机に女性社員が2名、比護さん、水島さん、男性社員という感じでした。
 で、普通ならまずは水島さんの所へご挨拶に伺う所なんでしょうが、入口側の机を素通りするのもおかしいですし、最初にパネルに目が留まったので、その女性社員の方と最初にお話をさせて頂きました。最初にその社員の方が自らのお名前を名乗ってご挨拶して下さったので、私も自分の名前を名乗って挨拶をするという、まぁ普通のビジネスシーンであれば当たり前のようなコミュニケーションを取らせて頂きました。コミュ障な自分にとってはこういう場で対話をする事に緊張してしまうのですが、その緊張が故に、パネルに書かれたルカルコ(ふるさと納税支援)と滞留在庫の循環支援の(RUKAMO)を混同し、いきなりユネッサンに飾った不要なスマホケースによるモザイクアートの件の話題を振ってしまいました。

 いや、ルカルコとRUKAMO(ルカモ)ってなんか語呂が似てるじゃないですか。で、しかもRUKAMOって事業者さんの滞留在庫の販売を支援する仕組みであって、そもそもこのモザイクアートはRUKAMOとか全然関係なく、Hamee自身のSDGs活動の一環の企画なんですよね。

 恐らくこの女性社員の方からすると、ふるさと納税支援のパネルを前に株主さんに説明をされようと準備されていたのに、いきなり、おじさんが最初のネタにモザイクアートの話を始めたのはホラーだったと思うんですよね(笑)。この話題を振った直後に自分の頓珍漢ぶりはすぐに気が付いたのですが、もはや手遅れですよね。まぁ優しい女性社員2名の方のお心遣いに救われました。気持ちよく接して下さりそのお気遣いが嬉しかったです。

 お隣はネクストエンジンに携われ、NE株式会社の社長に就任される比護さんです。
 比護さんといえば、直近のインタビュー記事の以下は必読なのですが、加えて、樋口さんとの小さな傷の話も大変印象に残っています。

 ネクストエンジンのことについて色々伺いたいと思いつつ、ここまで近い距離でお話が出来るとは思ってなかったので、逆に自分の普段のNEへの考えが至らぬ点があった隙には忸怩たる思いでした。加えて、さっきのお隣での恥ずかしさもありますからね(笑)。

 私がNEに対して理解が浅い事としては、小規模事業者へターゲティングを拡げていく方針において、今のネクストエンジンの訴求点やコンサルを通した活性化というものが、既存の中堅中心に設計されている中で、どう小規模事業者を巻き込んでいけるのか。更にいえば、そこにはその領域に強みを持つパッケージを保有している競合もある中でどうやって活路を見出せていけるのかということでした。またコンサルという側面でみても、多店舗化のフェーズにあって、ある程度ネクストエンジンを使っていく中での悩み事に寄り添う体制をHameeコンサル社として創ってきた中で、小規模事業者を巻き込んでいく上ではこれまでと違ったフェーズのコンサルというかサポートが求められてくる中で、標準化や機会化といった中でどう顧客エンゲージメントを高めていけるのかということでした。
 また、一般的にこういうプラットフォームビジネスを展開する際には、比較的大きな参加者が大きな収益の柱となり、彼らの意見がパッケージにも反映されていくという構造の中で、小規模参加者はある程度N割効果を享受しつつも思想が異なる中でなかなか使いきれず、提供側もなかなか粒が小さく儲けづらいので、個々に寄り添えないという構造的な問題に突き当たる事が多い印象なわけです。そういう中で、双方を両輪でいこうという発想をどのように併走し続けていこうとしているのかという点について色々なお考えを聴けたことは有益でした。
 ちょうど以下の記事にも言及がありましたが、ひとつのキーワードは「コミュニティ形成」だということですね。そして何より、小規模事業者が今後のEC市場で彼ら自身に機会があり続けられるために守りの要素が必要でもあり、そこにNEがどう寄り添えるか、単に提供者と利用社という定義に捉われず共存共栄、まさに伴走者としてどうあるべきかという点に深い考察と意志があることがわかります。
 我々投資家は、すぐにスケール余地は、利益はどうなる、という発想をしがちで、それは正義だとは思うのですが、その視座に依拠した対話はなかなか会社を俯瞰して経営されようとしている方との対話としては交わらないと思うわけです。いや、投資家なので、当然結果としての収益拡大は期待はしますが、一方で、彼らはそこを目指しつつもミッションに基づく行動によって俯瞰したステークホルダーと向き合っていく必要があるわけですからね。この小規模事業者への拡大がすぐに成長の原動力になるというより、育てていくもの、そしてそのためにコミュニティを形成し、NEのプラットフォームをより高めていくための活動を長い目線でみていかねばならないなと感じました。
 うーん、それにしてもこういう言い訳はしたくないのですが、ここまで近い距離でお話を出来る、しかも参加者も少なく実質独占してお話出来る機会に準備が足りなかった事と自分の無能さが悔やまれます。

 次の机に移動します。水島さんがいらっしゃいます。ツイッターでもありがたい事にたまにやり取りもさせて頂いていましたが、直接お話をするのは比護さんも含めて初めてですね。SNSの力なのか、少なくても私の方は一方的な感覚ではありますが距離感がだいぶ近く感じました。別に私がまるのんですとも自ら名乗り出たわけではないのですが、十中八九こいつだよね、ってなっていたと思います(笑)。
 で、水島さんは社長ですし、いきなり自分の主張をぶつけるのも不躾となりますし、そもそもそんな覚悟が自分にあるのか?とか思うとそうそう安易に突っ込むべきでもありません。ましてこんな近い距離でお話が出来るとついさっきまで思ってもいなかったのですからね。
 この辺、普段からHamee愛が強く意志をもった株主さんらであればどんどん凸できるんでしょうけど、意気地と覚悟と意志が弱い自分としては、結局雑談に終始してしまいますよね~。
 Androidユーザーの目線で今後のiFaceシリーズの話では徐々にそういう環境が醸成されてきていて、一部の機種では着手も出来てきているようです。これまでも考えてこなかったわけではなかったようですが、全体のパイとか色々な観点でようやくということなのかもしれませんね。あとは、iPhoneユーザーと例えばAQUOSユーザーとでは求めるケースをはじめとしたアクセサリーに求めるコンセプトも異なりそうで、この辺りのマーケティングや商品開発をどのように展開していくのかは興味があります。恐らくiPhoneユーザーは減少している中でも安定的でもあり、今後価格上昇等で買い替えサイクルがどうなるかは未知数ですが、iPhone向けのiFaceシリーズは大局的にみれば安定的かなと思いますので、それ以外の種類や対応の幅出しが大切になってくると思われます。
 またコスメについては、各店舗を見ての感想なんかもお伝えしました。店舗の什器の有無や、そもそもの什器による効果の話なんかもお話しました。見た感想に留まってしまったのでもう少し具体的な改善策までお示しできればよかったのですが、それはまだアイデアもなく表層的な話になってしまいました。あとは商品としてターゲティングを若年女性に絞ってマーケしているので、我が嫁には少々使いづらいというか積極的に使ってみようと思ってもらえないというような話もしたのですが、これは無駄に汎用的にするより絞った方がいいので、本当にただの愚痴になってしまいましたね(笑)。
 Pixioについてもお話をしたのですが、液晶もまだ完全にサプライチェーンの回復に至ってはいないものの、概ね想定通りの流通が叶ってきているようでようやくといった印象でした。そして、より広義的にゲーミング分野を開拓していく上でキーボードや配信用のカメラ等の資材なども目線に入れられており、この辺りは粛々とどういう空白地に投下していくのかなど、お考えを持たれていたように感じたので、今後の展開にも期待したいところですね。あとは教育関連でeスポーツの専攻科等も開校していたりしますから、そういう部分でも入れるといいですね、という話もしました。

 最後の机には男性の社員さんがおられました。Hamic事業を所掌されているようでした。HamicPocketの現物があって、実は初めて実機で操作をさせてもらいました。印象としては小さいですが、厚みもあってややかさばるかなという印象でもありましたが、逆に子供がきちんとホールドできるという面でもデザインも考えられているのかもしれません。ただ、最新のハードという部分を考えるともう少し小型化の要望も出てくるのではないかなとも感じます。ただ、ハード面の課題は概ね克服しつつあり、今はソフト面で特にモニタリング等の機能面の拡充を図っているようでした。私も質問をしたのですが、いわゆるGoogleのファミリーリンクなどとどういう差異を見出そうとしているのか、それがHamicPocketにしかない機能として訴求力や、それいいね、と保護者に刺さる仕組みがあるのだろうかという疑問がまだ解消されませんでした。画面が小さく実際に小学生低学年が操作した時にどれくらい困らないものなのかもよくわからなかったのですが、ソフトで今後どういう対策がなされていくかというところをみていくんですかね。
 そして何より私が気になっていたのは、モチベーションの部分です。そもそも携帯端末をつくる、あるいはそれを拡販していくとなると結構シビアな販促等の活動も求められるようになってきます。Hameeには創造的な仕事を求めて集まっている要素もある中で、これだけ低迷が続き、今後の投資にもキャップをはめられ、現場社員の方のモチベーションは大丈夫かというところでした。率直な所をお伺いしてみますが、まぁお隣に水島さんもおられる中でなかなかお話しづらかったかもしれません。ちょっと酷な事をしてしまったかもしれません。。。ただ、せめて労いというかエールを送って少しでも糧になればと思ったので、精一杯の期待の言葉を投げかけさせてもらったつもりです。いずれにせよ、心折れずにあって頂きたいなと思いました。
 創造性を持った人材、上昇志向の高い人材は常に新しい事にチャレンジしたいと感じているわけです。そしてそういう環境を醸成し託す事が経営側の手腕だとも思います。中々将来がみえないHamic事業に従事させるだけではクリ魂がくすぶってしまいます。これは財務の赤字を出すとか、それを予算決める事で止血するというような表面的な対応に留めず、Hamicなのかそうでないかはわかりませんが、こういう局面でもなんとか頑張ろうと活動されている人材の魂がきちんとメラメラと燃えられるような対応をぜひ期待したいと思います。人材そのものはもちろん、そのポテンシャルは中々お金では買えませんからね。
 一切時計をみずに話していたら、そろそろ開会の時間のようです。役員の方も一度控室に戻って仕切りなおさねばなりませんし、我々も会場に案内を受けますので、控室を後にすることにします。完全に控室からの移動に出遅れましたが、いつも座る最前列中央の席は空いていました(笑)。開会前での時間を静かに待つことにします。

4.総会での説明のこと

 さて、先ほどは控室でのコミュニケーションタイムではフランクに時に笑い合いながらの時間でしたが、総会では一転厳粛な雰囲気で開会が宣言されます。昨年までは創業者の樋口さんが議長として対応されておりましたが、今年は水島さんの議長デビュー日となりました。
 やや緊張されているご様子でしたが、時々原稿に目を落とされながらも堂々と進行に当たられていました。何より、水島さんの声がやや低いトーンの内に響くような美声でよかったですね。緊張のせいかやや早口になられておりましたけどね。やはり出席株主もごく少ない状況で、どちらかというと一般株主側がアウェー感が強いのですがそんなものなのですかね。まぁ私も人の事は言えず、自分が前に立って話すとなるとしどろもどろになる自信がありますから(笑)。

 冒頭アクリル板があるということでマスクを外され進行されていました。冒頭の議決権数の確認や監査報告は全て一言適正というだけで詳細の説明は割愛されていました。これは昨年同様ですね。特に監査役の朗読会のような本当に形式的なものは個人的にはまぁ割愛して良いと思っていますし、よいのではないかなと思います。
 なお、冒頭で総会終了後、任意で祈祷への参列についてもお誘いがございました。「任意です」という事を強調されているようにも思いましたが、まぁ祈祷への参拝も宗教的な背景などで様々な立場があると思いますので、無駄にそういう部分を刺激しないようにという配慮なのかなとも感じました。私は無宗教ですが、神社にお参りすることにどこか心持ちがよくなるという一般的な日本人?ですから、当然こういう場にご一緒出来る事は嬉しいわけです。
 その後報告事項の説明に入っていきます。形式としてはプレゼン資料を使って、水島さん自身のお言葉で終始ご説明されていました。説明内容そのものは各事業の説明等一般的なもので、決算説明資料をより汎用化したような概況理解の助けになるものでした。私自身にとってはよい復習の機会になりましたし、あまり事業内容を理解していない方が聴いてもわかりやすいようにコンパクトに纏まっていたかと思います。プレゼン資料の印刷も配布されていた点も、後から読み返す上でもよかったですね。
 コマース事業から説明に入り、iFaceシリーズの説明もシリーズの説明も含めて丁寧な内容でした。そして依存度を下げる意味でコスメやゲーミング領域に進出していくことにしたというお話の流れですね。コスメは積極的な広告宣伝を投じつつ、既存のiFaceで築いた各種ナレッジを横展開していくこということですね。そしてゲーミングのPixioも当初はサプライチェーンの混乱の影響は受けたものの、足元では改善してきているというご説明でした。
 ネクストエンジンの説明についても、冒頭でこのプラットフォームが多店舗化を進めていく上で在庫管理や各種API連携機能を備えている点などの強みをシンプルに説明されていてわかりやすいですね。結果、契約者数もコロナ禍初動でのEC化加速による特需があったが、その後もその伸長ペースは維持しているということです。この部分は特に背景や要因は語られていませんでしたが、肝となるカスタマサクセス向上策が効いたという現場努力もあった事と思いますので、ここで成果に触れられてもよいのかなと感じました。コロナ禍前にHameeコンサルの体制(外注シフト等も含めて)を拡充してきた成果が出てきているという事だと思いますし、今後、ターゲティングを拡げていく上での成否を決める大きなポイントになってくると思いますからね。
 数値面は決算説明の定量説明と同内容ですが細かく説明されていました。デザイン部門のコストに係ることや受注やふるさと納税の伸長等大まかな背景も含めて丁寧な説明でした。
 対処すべき課題については、概ね以下の点を特に重要な論点として挙げられていましたが個々の詳細については割愛されていました。

 ■コマース事業
 ・単一市場(国内)、単一カテゴリーへの依存度(スマホアクセサリ)
 ・ブランド力強化
 ■プラットフォーム事業
 ・強固な顧客基盤の構築
 ・好循環なビジネス構造の実現
 ■ESGの推進

 ここまでがいわゆる報告事項となりますが、この後、新中計の骨子についても説明がありました。

 グループミッションはこれまで通り、「クリエイティブ魂に火をつける」としつつ、分社化を行うことが、相互においてより良いという判断を行ったということでした。ここは丁寧に背景やねらいについても説明がなされていましたね。私は納得しましたし、もう少し早いタイミングでもよかったのかなとも感じました。
 無理なシナジーを創ろうと躍起になるのではなく、だからといって相互の関連を希薄化するものでもなく、クリ魂に火をつけるという共通ミッションをそれぞれの現場で熱量高く燃やしていけば道は拓けるという事ですね。そして処遇などの人事面など制度の差異が生じることでの不安や様々な諸問題といった副作用についても十分配慮を持って運営されていくという趣旨の説明もありました。この部分は私も質問を用意してきていますが、なにより、現場の社員の方が真に前を向いていけるような者でなければならないと考えており、このコンセンサスの醸成には大変興味を抱いております。
 コマース事業、プラットフォーム事業共にそれぞれの内容も中計資料に沿った説明です。特に新しい話はありません。個人的にはプラットフォーム事業の戦略の背景の辺りの説明が聞きごたえがありました。先のコミュニケーションタイムでも比護さんから色々教えて頂いた事にも繋がりますからね。収益面でいわゆる小規模事業者にも幅を広げていくということが、超長期的な目線に立ち、必要であるという判断は私は支持したいなと感じましたが、これをマーケットにどうコンセンサスを作っていくのかは難しい問題だなとも思いました。

 ここまでが説明でこの後議案の上程です。こちらもスライドも使って説明されていました。今回は分社化の手続きや監査等委員設置会社への移行のタイミングも重なり8号議案まであり、お腹いっぱいですね(笑)。ここから水島さんの口調もより早口になっておられました。

 時間にすると30分弱でしたが、内容は盛り沢山でした。とはいえ、普段から決算説明会等を通して当社への理解がある程度あるとすると、当たり前ですが、復習がメインになります。ただ、この30分弱でHameeの現状や今後がコンパクトに纏まっていますし、これをそのままIRで動画公開してもいいんじゃないか、位の内容には感じました。まぁ今回はの総会は録画を公開するという予告がないため、そのまま公開というのは難しいかもしれませんが、こういう趣旨のコンテンツがまだ認知してもらえてない投資家に視聴してもらうことがあると、それを通してフィードバックもありそうですし、有益なのではないかと思います。水島さん自身も総会という性質上、原稿に沿った対応でしたが、想いがあることは伝わってきましたから、そういう部分がより前面に出るような内容がシェアされると、色々な意味でよいのではないかなと思いました。別に煽る必要もないですし、背伸びをする必要もありませんが、今の率直な会社の想いを共有できることはよいことだと思っています。

5.総会での質疑応答

 一通りの説明が終わり、質疑に移ります。昨年同様、1回につき1問として欲しい旨の案内が冒頭ありました。1人1問とか言われると萎えますが、1回1問は今の情勢下ではやむ得ないですし、様々な株主さんの声を拾うという意味でもよいことだと思います。
 ちなみに、私は今回4問用意しておりました。いつも総会に参加している時に比べると控えめですね(笑)。以下でQAの内容についてメモを記載していきます。
 なお、改めての記載になりますが、当QAのメモは私の曖昧な記憶と主観に基づき脚色して記載をしています。従って、意図せず誤認に基づく記載をしてしまっている可能性があります。また必要に応じて記載に曖昧さを意図して残すなど、配慮の上記載をしている可能性も含みます。従いまして、正しい情報はご自身で確認され主体的な判断に基づき投資判断を下されるようお願いします。

※★印は私が投じた質問です。

★Q Hamee Core策定のプロセスについて
 Hamee Core策定に当たっては、分社化後も各々のメンバーの言動における道標(みちしるべ)を言語化された事で、今後の益々の企業価値向上に資するものと期待しているし、我々株主もこの精神に寄り添える意味で大変意義深いものと受け止めている。 このHamee Coreの策定に当たっては、社内でカルチャープロジェクトを立ち上げられ、じっくりと醸成されてきたものと思うが、このカルチャープロジェクトの総括を頂きたい。 誰がどういうタイミング、動機付けをもってこのプロジェクトが立ち上げられてこられたのか。また、この活動が有機的なものとなるようどのような工夫ををもって現場社員の皆さんの議論を促し、一体感を醸成されてきたのか。
 Hameeらしさという意味ではトップダウン主導というよりボトムアップで時には喧々諤々とした議論もあった事と思う。その議論を通して経営サイド、現場社員の皆さんに様々な発見もあった事と思う。このような観点でぜひ策定プロセスを総括頂きたいです。
A
 Hamee Coreの策定の背景としては、NE社の分割に際して、これまでのHameeの良さ、大切にしてきたものが失われてしまうことはないのかという懸念の台頭への対応という部分でのスタートとなった。分社化の方向で舵を切るというタイミングでミッションは継承する前提ではあったものの、各社のカルチャ―をどう形成していくのかという具体的な議論はまだ深められてない所もあった。
 こういう中で私(水島さん)と比護さんを中心としたボードメンバーが率先する形で全社を巻き込んだプロジェクトを立ち上げこのカルチャー策定を進めていこうという事になった。
 プロジェクトの進行にあたっては、入社4-5年目の若手にプロジェクトリーダーを任せ、両社に所属する社員を広くメンバに―加えて議論を重ねてきた。その中で、私(水島さん)としてはこのプロジェクトでカルチャーがビジネスとの結びつきの部分でどこかこれまで緩かったという課題認識を克服できるような議論を期待したいという事で託した。
 具体的にはほぼ全社員にアンケートを取って声を収集することはもちろん、現場でリーダー的役割を担っている方には更に個別にヒアリングを行い、これまで大切にしてきたもの、自分達の真の強みとは、というようなテーマでプロジェクトメンバーを中心に深堀活動を行った。
 こういった活動を通して、我々の価値を明文化できたこと、その大切なベースを携えつつ、それぞれの会社でその先の歩みをゼロベースではなく、大事な基礎を一段高く築いた上でスタートできるという点が良かったと考えている。
 分社化において、財務や人事などハード面の切り分けという部分は粛々と行ってきた一方で、このカルチャープロジェクトではソフト面(人の気持ちや心に至るまで)への準備の対応が取れたと考えている。(水島さん)
■考察
 当たり前のことですが、こういうカルチャーをどう創っていくかという部分はとても大切だと最近改めて思っています。PR TIMESさんの一連のコミュニケーションや美濃部氏の書籍などにも影響を受けているかもしれません。そしてこういう類のものは、なんとなくトップダウンで決められる傾向が強い気がしますが、Hameeさんはそういう会社ではないと思っていましたし、実際そうでしたね。敢えて若い方にプロジェクトを任せ、ヒアリングを通してみんなでこれを創っていくというプロセスをとても大事にされてきたんだな、という事が改めて伝わってきました。
 カルチャーとビジネスの結びつきという観点は、私にはまだよく理解が出来ませんでしたが、カルチャーはそこに集まる人材の多様性を許容し合う中に同志たる所以を見出す事でもあると思うのですが、それが直接的にビジネスに結びつくというものなのかなという所です。カルチャーって進化して変容するようでもありますが、実は根っこの部分ではスタティックなものだと思っていて、一方でビジネスというのは本質的には価値の提供という部分は変わらずとも、そのアプローチって可変でありダイナミックなものでもあると思います。ですから、この結びつきがどういうレイヤーで大切にされているのかというのは今後観察し、学んでいきたいなと思いました。
 また、成果として価値の明文化を通して気付かされたことや、ベースを一段高めてスタートが出来る意義みたいな話もありました。
 最後のハードとソフトの話も興味深いですね。往々にしてハード面の整備に目がいきがちですし、表面的にはソフト面も地ならしをするものと思いますが、少なくても今回の限られた答弁の中からも、人の気持ち、心に寄り添ってきたことが伺えたことはとてもいいスタートになるのかなと感じました。
 まぁこういう質問をしても、じゃ実際分社化後の正当は果たしてくれるんだろうか、そこに示唆を頂くような一種材料探し的な質問をぶつけてもいいのですが、究極的には社長ですら確固たる論拠ある定量説明が叶わない中で、そこに何かいいお土産下さい、的な質問は野暮かなと思いまして、初っ端からこういうふわふわした質問をさせて頂きました。

Q ROE目標について
 上場維持基準適合計画書にはIRの強化というものも謳われているが、個人的にはあまり意味があるものとは思えない。ある程度投資家からの認知が既にある中で、必要な情報がアクセスできるという状態であればあまり株価上昇にも効果は限定的なのではと思っている。やはり数値をきちんと成果として出すという事がとても大事で、配当性向はあげられているものの、ROEへの言及がないが、株主目線で重要と思うこういった効率性指標の目標が時価総額向上策の中にも入っていないのは違和感がある。ROE目標についてはどのように捉えているのか。
A
 ROEについては決して重視していないわけではない。ただ、ROEを個別に挙げてこの向上に努めていくということではなく、今回の中計の財務数値目標だったりKPIを目指していく事を大事にしたいと考えているし、結果としてそれがROEの向上にもつながってくるものだと捉えている。
 繰り返しになるが、ROEは重要な指標であるとは認識しているが、今は中計の各種数値を達成させていくことで、当然のことながらROEも向上させていくつもりで経営をしていかねばならないと考えている。(水島さん)
■考察
 同質問者さんがIR強化は効果は薄いんじゃないかというご指摘をされていて、そのように判断される方もおられるのかと感じました。確かにIR芸が行き過ぎて短期的なボラを高めただけで、むしろ害悪でした、という例も散見されますし、極論をいえば業績成長の結果でコミットして欲しいという部分は確かにそういう要素はありますからね。IRは適正に情報発信さえされていればよく、とりわけ個人投資家に媚を売る(とまではいわないが)ような暇があれば事業成長にコミットして欲しいという趣旨でしょう。それはそれで一理あるんだろうと思います。
 そして時価総額向上に向けてはROEの指標をどう捉えているのかという質問でしたね。それに対して中計で掲げた数値を達成することが重要で、ROEも重要な指標とは思っているが、これを個別に取り上げるというより、結果的に業績成長によって高まるものという理解のようですね。
 この部分は私もデータをもっていないのでよくわかりませんが、確かに資本効率を示すROEは一般的には株主目線で重要であり、株価評価にも大きく作用しているとも言われます。その側面がなく、PLやそれをつくるKPIに偏った開示でいいのかという問題提起でもあるように思います。ROEについてはPL数値だけでなく、株主配当も含めた資本政策によっても変化します。配当や自己株買い等、あるいはその他資本政策に無頓着のように映ることは、無駄に評価が上がる因子を潰してしまう要素があるのかもしれませんからね。当然、答弁の通り、PL上できちんと実績を上げていく事が重要なわけですが、加えて、株主資本の効率という側面でも今後策が講じられるといいですね。
 

★Q 上場維持基準適合計画書記載のPER見通しとIR活動強化について
 当社は上場維持基準適合に向けた計画書を作成されたが、この中で時価総額向上策として新中計達成による本質的な事業価値向上に資する活動をなされるという事で改めて期待をしている。一方で、ここに記載されているPERシミュレーションでは直近数ヶ月の期待剥落が顕著であるPER10倍水準を2025年まで伸ばしておられるが、シミュレーション前提とはいえもう少し期待値を高める意欲のようなものはないのか。3年平均でみるとPER20倍程度となっておりせめてこの水準には回帰していただきたいと期待を寄せているが見解をお聞かせ願いたい。
 またIR強化については、私は重要だと捉えている。とりわけ個人投資家に向けた発信強化に期待をしているが、他社がリモートの活用やよりアクティブな投資家へのリーチを高めてきている中で、率直に申し上げて当社の活動はまだ力不足を感じている。やはり平日昼の開催であったり質疑も限られるような実績作りの会への登壇ということではなく、情熱をもった投資家が集まるような場に水島さん自身が積極的に発信・対話をされ、より当社の魅力が伝わる機会があるといいなと願っている。情熱をもった優良なファン株主を増やすために、また既存株主の我々がよりエンゲージメントを高められるような観点で、今後どのようにIRを強化されていくおつもりかお考えをお聞かせ願いたい。
A
 まずPERについては私(水島さん)も向上させていきたいと考えている。PERはその会社の将来の成長へのマーケットからの期待値であると捉えているため努力していきたい。指摘の計画書上は殊更このPERの向上もセットで大きく見せていくというより、あくまで業績成長によって現評価であっても十分形式要件を充足できるという点において、殊更、この書類上で期待値を高めて表記するという考えをとらなかったということ。思いとしては、この業績成長をきちんと示していくことで期待値を高めてもらえるような取り組みを行い、この計画書上にあるようなものではなく、更に評価を高めていけるよう頑張っていきたい。
 IRについては、機関投資家のみならず多くの個人投資家にも株を保有していただいており、今後IRを強化していきたいと考えている所。先日もオンラインで個人投資家向けに対応を行ってきたし、今後も頂いた意見も参考にしながら、活動を強化していきたい。
 何より、質問を多くいただく中で、我々自身が気が付く事も大いにある。こういう部分が伝わりにくいだったり、こういう伝え方をすると伝わるんだといったように、我々も多くの発見がありメリットもあると考えている。(水島さん)
■考察
 PERの件はこの書面上で敢えてPER向上の助けを借りて形式充足ということではなく、あくまで業績成長という趣旨ですね。まぁこの部分は想定通りなのですが、どちらかというと、形式要件云々より、もう少し市場からの期待値にも意識した対応を期待したいなという思いで質問をしました。なのでIRの件もセットです。
 Hameeさんの社内目線でみると、同社の業績は好調に推移していますし、確かに今期は一度しゃがむというグリッチ的な判断もされましたが、そもそもそれ以前より期待値を大きく下げて株価推移をしていました。このことにもう少し分析があってもいいのではないかとも考えています。今期のしゃがみはまぁさておき、コロナ禍においても成長は持続し、配当性向ももう一段の余地はありそうながらも向上させてくれています。外形的にみるとそこそこ頑張っている(自分が株主だから色眼鏡かもしれませんが)中で評価がこういう低位に留まっているという事にもう少し敏感であってもいいのかなと思うわけです。自社の評価が低いと思えば自己株買いを行うとか、あるいはIRの説明ももう少し工夫を行うなどですね。
 結局、コマースの占有率が高く、スマホケース屋さんが、Hamic事業を立ち上げ苦戦しつつ、新たな商材に手を拡げ不確実性がより高まっているという見立てが支配的である可能性が大いにあるわけです。あるいはネクストエンジンも好調の裏でここから劇的に伸長するイメージがなかなか与えられていない中で、本当に儲かるの?という小規模事業者へのリーチという説明になっています。
 少なくても表面的に敢えてネガティブ目線で書くとこう捉われていても不思議ではなく、そういう目線で自社の評価を客観視して欲しいなとも思っています。
 確かに結局の所、業績成長の結果が大きなトレンドを作るというのは当然ですし、そこを大切にしていくんだという基本線を否定するものではありませんし、過度に期待値を挙げることは歪みを生むのでやるべきとも思いません。しかし、計画書云々はどうでもよくて、そういう目線で自社の評価をみつめ、どういうアクションがとりうるのか、よくよく観察して欲しいと思っています。
 そういう意味ではIRも私は重要だと思っています。先の質問者さんのお考えも確かに理解する部分もありますが、やはり平日の昼に質疑も限られるような場でやるより、もう少し質疑をも多くあるような場に社長が出向き、煽ることなく、粛々とHameeのファンを増やす活動を行って欲しいなと思うわけです。やはり神奈川県企業としては、まずは湘南投資勉強会ではないでしょうかね(笑)。いずれにせよ、平日昼になかなか現役世代含めてアクティブな投資家がアクセスしにくい場ではなく、どういう層に株主になって欲しいのかという目線でもって、リスクも取りながらIR活動を通して熱量の高い株主を得ると共に、既存株主がよりエンゲージメントを高められるような活動をして頂きたいなと期待を込めて質問しました。

★Q 分社化におけるリセットの意義について
 分社化において、それぞれの実情に合わせた再定義が出来るという意味でも、無理なシナジーを求めずにそれぞれの道を強める独立性を強いメッセージで率先する意志ある決定だと受け止めている。現状を一度リセットし、各々に新たな歩みを進められ最適解を追求されていく事と思うが、成長力やビジネスモデル、スキルセットも異なる中で、分社化発表時にも様々なネガティブな意見もあったものと認識してるが、どういう声があがり、それに対して経営メンバーとしてどういうリーダーシップを発揮されてきたか。
 また、Hameeの創業者である樋口会長の目線から、ここで一度リセットし再始動という大きな決断に関して、創業者であるお立場から率直にどのように受け止められているのか樋口さんからもコメントを伺えればありがたい。加えて、社外取締役の方からの意見はどういうものであったか。
A
 現場に対してこの分社化の話をした際に、はじめに上がった声は、漠然とした不安であった。Hameeには長く寄り添ってくれている社員も多くいて、だからこそ、これまで培ってきた様々なものが分社化することで、何かが失われてしまうのではないかという不安だったと受け止めている。コマース事業、プラットフォーム事業とこれまでも垣根はあったが、分社化という部分ではよりこれが拡がって疎になってしまうのではないかといった話もあったと思う。更に言えば人事を含めた制度面での扱いの変化などへの不安もあったかと思う。
 こういった漠然とした不安に対してはやはりカルチャープロジェクトを通して不安を払拭してきたという事だと考えている。人とのつながりという面でもオフィスは変わらないし、部活動などOFFの時間を共有することだってできるという理解の中で、人と人との距離が離れてしまうということではないんだというコンセンサスを作っていけたことも大きかったと思う。
 またそもそも分社化という区切りがしっかりついたことで、むしろ相互に連携がしやすくなるという側面もあると思う。これまで同一会社内であったが故に、連携がどこか取りにくいという側面があったがそれが違う会社になるという事で会社対会社という関係性における分かりやすさも生まれるのではないかと考えている。(水島さん)

 Hameeはクリエイティブ魂にもっと火がつけばもっともっと成長できると確信してきた中で、将来を託して会長職となった。創業来25年、色々なことはあったがお陰様で右肩上がりに伸びてきたわけだが、これからもまだまだ伸びると思っている。そして自分が社長を続けていてもまだ伸びると思っているが、やはりそれでは直線的なものに留まってしまうかもしれない。権限を委譲し、分社化を経てそれぞれがよりぐいっと成長させてくれるために、託した。水島さんも比護さんも火は燃えまくっている中で、意思決定スピードを高め、自由度をもってやってもらうための素地が整ったとも思っている。これまでの形式でなかなか火が燃やせず、自身の中で火が燻ってしまっている方がどうしても一定数出てきてしまう中で、こういうリーダーシップで再び火が灯り燃えることで、今一度小さな組織体で機動力も備わった中で人も事業も活性化されていく事を期待している。だから寂しさ(自分が創業して作った会社が分社化していくという点で)なんて全くなくて、期待しかない。(樋口さん)

 社外取締役や監査役のメンバーには早期にこういう見通しを共有して議論を重ねてきた。そういう中で今回の監査等委員会への移行というのも決まってきた話である。社内取締役メンバーの考えや成していきたい将来への想いを共有して賛同頂けるような議論を重ねてきたつもり。他にもHD化等の手法もありえたが、大きな組織体を作る事への志向はあまりなく、組織の規模をある程度の規模に留め、人の熱量をきちんと発揮できるような形態といった中で今回のようなスキームに理解を頂けたものである。(水島さん)
■考察
 この質問は第一に樋口さんにマイクを握って頂く必要があろうと思いまして投じました(笑)。創業者目線でこの分社化をどう捉えていたかという部分はもちろんですが、現状の意思決定へのスタンスや今後の期待度を伺いたいということで、自分の想定していた意向通りに答弁頂けて満足です。
 樋口さんは昨年までは議長でしたが、今年は自由な身(?)だったからか、これまでの印象と異なり、感情が先行していたように感じました。これまで粛々とあまり感情的な考えを示してこられてなかったという印象でしたが、今回はやたらと期待感を示されていて、それだけ今のHameeへの想いがより高まっているのだなという印象を持ちましたし、なんか嬉しかったんですよね。実際本当にまだまだ伸びるが実現されるかは、樋口さんも含めたボードメンバの手腕によるでしょうし、その手腕だけではなく、Hameeでクリ魂を燃やす社員の皆さん次第ということになるのですが、少なくても樋口さんがそういう思いであられるということは嬉しく感じました。寂しさなんかなくて期待だけ、というのは、水島さんや比護さんに改めて向けられたもののように感じました。バトンを引き継ぐ、水島さん、比護さんには改めて重責かと思いますが、精一杯頑張って頂きたいなと思いました。
 社外取締役の部分は、なんなら、こちらもマイクを握って頂こうかと思っていました。吉野さん当たりに年長者としても広告代理店などを歴任されてきた経歴からも客観的にこの一連の分社化に至る議論をどう捉えておられたかを伺ってみたかったですね。株主総会ですので、社長はもちろんなのですが、様々なボードメンバーに語って頂くことで、複層的に会社の状況を理解出来ますからね。
 現場のネガティブな意見は漠然としたものから具体的な制度面などに至るまで様々なレイヤーでの不安だと思います。実際に分社してから、社員の皆さんがこれまで通り、いやむしろこれまで以上にエンゲージメントを高められるような運営をされるためには、特に現場のリーダー、マネジャーの役割も重要になってくるものと思います。一体感と進化を醸成させ組織として強くなって頂く事が、今後の中計やその先の成長を見据えた上で大事になってくると思います。ぜひ机上で議論されてきたことを今後は実際の組織運営の中で示していく事になりますので、引き続き期待をしたいなと思います。

 本当はもう一問質問を用意していたのですが、この場の空気感に負けました(笑)。というより、やっぱりなんか樋口さんにも語って頂き、もう終わり時ですよね。というわけで、今回も1問はお蔵入りとなりました。

6.閉会後のこと

 質疑は以上となり、8個の議案をひとつずつ拍手でもって決議を行い閉会となりました。司会進行の担当をされている社員さんやいつもIRでメールやり取り等させて頂いている社員さんにもご挨拶をして、一度株主控室に移動します。祈祷までの時間をここで待ちます。残った株主は私を含めて数名でしたかね。
 その後、役員の皆さんと共に神殿で祈祷を受けました。株主総会で祈祷を共にするって多分Hameeだけではないでしょうか。貴重な経験ですね。

 祈祷も終わりここで解散となるわけですが、帰り際、以前にIRで大変お世話になったある執行役員の方と少し立ち話をさせて頂く機会がありました。今年は敢えて、客観的な立場で個人株主の立場で参加されていたと仰っていました。確かに普通に私服で株主席におられました。
 そして客観的にこの株主総会を見てみたかったと仰っていたので、それはもう聞くしかありません。実際にどのように映ったかということですね。

 やはり一番驚いたのは株主控室で水島さんと比護さんがお出迎えし、自ら商品サービスの説明をされようとされていたことだったようです。コロナ前にも株主控室で大々的に商品サービスの紹介をするという営みはされていましたが、これは現場社員の方だけで、流石に役員の方が直々にということはありませんでした。

 しかし今年は社長自らそういうコミュニケーションの場におられたということは、大きな変化だと感じておられたようです。私も全く同感ですし、それは単にそこにおられたということだけではなく、水島さん自身のスタイルなのかなと感じたわけです。恐らく初めての株主総会の議長として緊張もなされている中で、敢えて先に対面しておくことが良いと思われていたのでしょうかね。いずれにせよ、これまでとは違うわけですよね。

 議事運営全般においてもこれまでとは雰囲気が変わったよね、という話にになりました。私はHameeらしさを感じられる株主総会を、と声をあげてきていましたが、現下、コロナの状況もこんな中で、なかなか手探りではありますが、それでも様々な企画を通して距離を縮めようとされている事が窺えました。
 これはIR所掌の責任者の方ともお話をされる中で、今年は残念ながら人数は少なかったものの、次回はより距離を縮められるように工夫も検討してみたいという趣旨の事も見聞きしまして、今回は人数が少なかったものの、心折れず継続してもらいたいなと思いました。そして株主側もせっかくの機会なので、こういう場で多くの声を届けて会社をよりよくするために交流が図れるといいなと思いました。

7.観光

 さて、外は灼熱の暑さですが、小田原の街を歩くことにします。もちろん、カメラも持参してきました(笑)。だいたいまずは鰹節を求めに籠常商店さんに行くんですよね。ただ、今年は築地で以前に買い込んだ鰹節がまだ家に沢山あるので購入はせずです。このお店の近隣には籠清を始めかまぼこ屋が軒を連ね、かまぼこ通りと称されています。とはいえ、平日昼の灼熱の暑さの中で一通りはほぼありません。そしてここから海岸に出られます。

 小田原に来るといつもこの風景をみたくなります。もう少し涼しいといいんですけどね。決算期変更して株主総会もいい時期にやりましょう(笑)。

 昼ごはんはこの暑い中小田原おでんです。

 かながわPayを利用して2割還元を受けつつお土産を購入し、小田原を離れます。フォロワーさんから根府川に行けばと提案を頂きましたのでね。根府川駅は海に面していて絶景なんですよね。ですが降り立ったこともなく、まぁ暑いですが赴いてみることにしました。

 全く下調べもなく、ふらりと途中下車です。

 駅を出ると急斜面です。これをおもむろに上っていきますが、暑すぎます。そもそもどこか拠り所があるわけでもなく、すぐにギブアップです。ちょっとした高台に出ました。

 はい、すぐに駅に戻ってきます。もう暑さでクタクタな中、ようやく電車が入ってきました。この写真だけ色調等弄ってみました。

 今度は季節がいい時に、以下に改めて足を運びたいですね。いい写真が撮れそうですね。


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