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Hamee(東1/3134) 株主総会レポート 2021/7/29

 東証1部上場のHameeの株主総会に出席しました。株主総会の様子について、当記事にてご紹介したいと思います。当記事は私の心証に基づき脚色されており、記載内容が意図せず事実と異なる可能性もあります。また、当記事は同銘柄の売買を推奨するものではありません。
 記載内容に関するご指摘、ご意見、ご感想がございましたら、ぜひお気軽にツイッターにお寄せ頂ければ幸いです。以下画像より当方のアカウントへリンクしております(一年前に撮ったひまわり、綺麗だったなぁ…)。

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1.参考記事

 まずは、参考記事として、過去の総会レポートの記事と直近の社長交代リリースを受けての所感の記事を再掲しておきます。

2.基礎情報

 まずは当日のタイムテーブルです。手元の時計での測定です。新型コロナウィルスの影響を考慮し、今年も一部を割愛しての運営となる旨、説明がありました。また、昨年同様、海外事業を所掌されている役員はオンライン参加となる旨の説明が冒頭にありました。また株主質問は、昨年は、「原則として1人2問までとし、トータルで15分程度を目安」とされましたが、今年は「1回1問」という要請となり時間の目安は示されませんでした。
 なお、議長は樋口さんが務められましたが、定款には社長とあるが、現会長である自分が務める旨の説明がありました(報告期間中は私が社長だったというロジックでした)。正式には今日の付議議案で定款変更されることにより会長が務めることになりますが、丁寧な説明がありました。正直、この部分に拘っている方はいないと思うのですが、この辺り、やはり堅い運営です。

  10:00 開会 (樋口会長)
  10:02 監査報告・議決権数確認(樋口会長)※口頭で軽く流す
  10:03 事業報告・対処すべき課題(樋口会長)
  10:15 水島新社長挨拶(水島社長)
  10:18 議案上程(樋口会長)
  10:20 質疑応答
  11:03 決議
  11:05 閉会

 今年も時間短縮のため、監査報告や議決権数は一言でスルーしました。この辺りはいいと思います。監査役の朗読会とかはあまり意味ないですからね。また事業報告や対処すべき課題も例年通りスライドを使ってのプレゼンですが原稿読みが多くて、なんというか熱意が伝わりにくいのです。創業者が語る部分でもありますので、もう少し緩くていいので熱意を込めたプレゼンだといいのですけどね…。
 一方、今年は社長が交代ということで、途中、水島新社長のご挨拶がありました。ご自身の経歴等を含めてお話されていました。詳細は事項に記載します。
 議決権数は要件充足とだけだったので、詳細はわかりませんが、株主数は5,128人とのことでした。昨年が3,446人でしたので株主数は増えましたね。
 また、出席株主数も昨年よりは増えて20人程度の方がいらっしゃったでしょうか。背広族の方はみられず、皆さん個人投資家さんかと思います。
 背広といえば、役員や社員さんも含め背広はおりません。全員が「クリエイト魂に火を付ける」のTシャルをお召しになっています。昨年はコーポレートカラーのまっ黄色のTシャツだったのですが、それよりは今年は紺色ベースなのでシックな印象でしょうか(笑)。
 なお、事前に案内があったようにお土産はない旨、最後にお詫びがございました。いや、お詫びをして頂く必要はないですけどね。一昨年、HamicBearを頂きましたのでそれはそれでよかったのですが、お土産目当てではないですからね。
 今年もコロナ禍のため、開会前の交流タイムや総会後の祈祷もありませんでした。こういうイベントがないのはちょっと寂しいですが、来年こそはコロナが落ち着き開催されるといいなと思います。

3.議事内容

 事業報告や対処すべき課題の部分はほぼスライドに沿ったもので、用意された原稿読み上げ形式でした。この部分は何度も言っていますが改善してもらいたいと思っています。なお、内容も決算説明資料のような内容なので特筆すべきものはありません。もう少し色を出してという部分ですが、決算説明資料にあるような事実や状況説明に終始せず、経営としてどんな工夫をしてきたか、あるいは苦労がったかなど、もっと泥臭い話や内部の取り組み状況がわかるようなエピソードと絡めてくれるといいなと思うのです。創業者でもあり、色々熱い想いとどこか緩い感覚で経営されていると思っていて、そのあたりがあまり感じず、とても淡々としているのです。
 途中、経営体制の変更の所では水島新社長からご挨拶という事で、お話されました。これは結構長くて、色々思いを伝えようという気持ちが伝わってくるものでした。以下、簡単にご挨拶の内容についてメモしておきます。あくまでメモなので、水島さんが実際にお話しされた言葉や趣旨からずれている可能性もありますのでご参考程度としてください。

●経歴
・大学卒業後、3年の銀行員のキャリアを積んだのち、Hameeへ入社した。
・入社後は当時マザーズIPOを目指しており、社内の内部管理体制の整備、CFOとしての役割を担った。
・東証1部へ昇格するまでは管理部門の対応を行ってきたが、事業領域へ軸足を移すこととなり、主力事業や成長力強化に資する活動を行ってきた。
・Hameeグローバル社の理事も務め、Hameeグループ全体の企業価値向上を見据えてやってきた。
●自身の強み
・事業の推進ということはもちろん、管理部門での経験もあり、双方の目線で全方位的に経営をリードできる事。
・従来は創業者である樋口さんが自らのリーダーシップで経営を引っ張ってきたが、自分がHameeと共に成長してきたということもあり、成長してきた仲間と共に成果をチームとして挙げていくような運営をしていきたい。
●今後の経営
・今後も樋口会長は取締役会も含めてHameeを強力にサポートしてくれる
・社内では既に新たな運営にシフトしながら対応してきているが、盤石な体制で運営出来ていると手応えもある
●さいごに
・Hameeには個性溢れる社員がたくさんいる。
・こういう強い個性、自分らしさをどんどん社内で発揮できるような会社を醸成させていきたい。
・その中で、新しい事業を生み出していけるようにありたい。
・Hameeには「クリエイティブ魂に火をつける」というミッションがあり、この元で株主・投資家さん、取引先さんと様々なステークホルダーの方々と対話を重ね、よりよいビジネスが出来るようにしていきたい。
・Hameeも自分もまだまだ未熟だが、それだけ成長余力があると考えている。今後も企業価値向上に努めるので、ご支援よろしく。

 ということで、結構話し口は淡々とされていますが、しっかりした方だなと改めて感じました。元々質疑のシーンなどでも過去の答弁等でもしっかりされている印象だったのですが、色々な想いを持たれていると思いますので、今後に大いに期待しています。挨拶の後、会場から拍手も湧きました。
 なお、水島さんのお人柄等も含めて、樋口さんとの対談記事はHameeの株主としては一読の価値があると思いますので、ここに引用させて頂きます。

 議事の内容としては、この水島さんのご挨拶がハイライトだったかと思います。

4.質疑応答

 質疑応答の内容についてもメモを残しておきます。重ね重ねですが、あくまで私の主観に基づき、大いに脚色しています。従いまして、意図せず誤認していたり、事実と違う可能性もありますのでご容赦下さい。なお、質問は1回1問とするよう協力要請がありました。
 ※私が質問した質問は★印をつけています。

Q アフタ―コロナについて
 コロナ禍が収まっていった後の展望についてはどう考えているか。とりわけ現状の業績においては、コロナ禍が追い風になっていた要素もあると思うが、その追い風が薄まってくると成長鈍化等の危機感も持たれている状況なのか。
A
 我々のビジネスは全体観としてはコロナ禍にはある程度耐性があるといえる。コマース事業では、リアル店舗の閉鎖や時短営業等で集客が確保されないというネガティブな面もある。一方でプラットフォーム事業ではEC化の加速によってネクストエンジンの利用がしっかり伸びているし、その利用企業様の業績も概ね堅調となっている。
 では、今後この加速したプラットフォーム事業がどうなるかということだが、今後もEC化の流れは続くとみているため、アフターコロナにおいても逆風になることはないと考えている。コロナ禍で確かにEC化に一段と加速はあったが、それが逆回転するということはなく、今後もそのEC化の流れは続いていくものと考えており、特段ネガティブな見通しはもっていない。
 従って、従前通り、我々の主力事業はしっかり今後も伸ばしていく、そしてその周辺系のサービスを拡充していく、更に新規事業の種まきをしていくということで、アフターコロナにおいても成長は持続されると考えている。
■考察
 アフターコロナにおいて、EC化が止まる、あるいは逆回転するということはないでしょうから、答弁の通り、今後も堅調に推移するというのは違和感はありません。一方で、その率についてはあまり言及がありませんでした。私が聞くならこの部分を聞きます。投資家サイドは常に成長率を期待していますから、答弁にもあった加速が前期の伸長を作ったとして、その世の中の加速が止まった時に、同社の成長性も緩慢になるとしたら、再び株価が叩き売られることになります(笑)。ですから、一種の追い風で高い成長率を示しているが、マーケットが期待する成長率と会社が期待している成長率とに差異があるとしたら、ここはIRの役割ですし、それが少しでも期待に沿う、あるいは期待を超えるためにどうあるべきかについてどういうアフタ―コロナ対策を考えているかという所に興味を抱いています。もう一歩踏み込んだやり取りがあるとよかったかなと感じました。
 なお、敢えてコマース事業に言及しておいて、その後何も答弁がなかったのですが、ここはアフターコロナでは再び小売、つまり卸売りが戻るということでいいんですよね(笑)。卸売りはコマースの中では利益率は低いのですが、そもそも現状ではまだコマースが収益では支配的なので、地味に定量数値にも効いてきますからね。

★Q Hamee公式noteの活動について
 Hameeの公式noteをよく拝見させてもらっている。ここでは、各社員の方が様々なテーマで自由に投稿されており、コロナ禍でコミュニケーションが希薄化しやすい中でも、社員エンゲージメントを高めるという意味でもとても良い取り組みだと認識している。このような活動を通して、「自分ごと」として各社員が業務にあたる中で、社員のマインド醸成や業務への寄与という側面で実感されている成果のようなものがあれば教えて頂きたい。
 また、noteの記事が拡散される事により、採用での訴求力向上や取引先との事業共創においても活用できるのではないかと思うのだが、この辺りの実情や展望を教えて頂きたい。
 さいごに、当noteの活動に取り組まれている社員の皆様に対し、この場を借りて御礼申し上げたい。
A
 noteの活動が、直接どう会社の収益数値に結びついているか、あるいは採用においてどれだけ効果をもたらしているかという定量的なデータがないので成果というと見えづらい部分ではある(なので、あくまで定性的な回答になるよという頭出しと受け止め(はい、それでいいんです))。
 このnoteの活動は会社として公式にやろうという事で運営はしているものの、その運営の内情は、社員が自ら発信したいネタを自主性に任せて好き好きに投稿しているようなものがほとんとである。つまり、社員のエンゲージメントが高いから、そういう活動に繋がっているのか、あるいはそういう活動にみんなが参加してくれる中で、エンゲージメントが高まっているのか、順番はともかく良いスパイラルになっているのだと思う。そういう高いエンゲージメントが醸成されていくコミュニティの中で事業を推進するという目的があった時に、それによりコミットしていく雰囲気が醸成されやすいといった事業推進面での効果はあろうかと思う。
 また、採用面でもHameeを選択肢にしてくれている人材に対して、「クリエイト魂に火をつけられるのではないか」とか、「自分ごととして仕事が出来るのではないか」といった思いが伝わるコンテンツになっているのではないかと期待している所もあるし、実際にそう感じるシーンもある。
 引き続き、社員の皆さんがこのような活動を続けていってくれるだろうと期待している。ぜひ、いいねを押してもらいたい(笑)。

■考察
 とにかく堅い雰囲気をどうにか和ませたいという思いもあって、1問目はこの質問を選ぼうと思っていました。それ聞いてどうするのって?思いますよね。私もそう思います(笑)。でも、この会社は「クリエイティブ魂に火をつける」をミッションとしているような会社です。創造性で強みを発揮している会社ですし、この小田原という場所に集ったちょっとエッジの効いた人材が集まって創られている会社なのです。そういう会社が、公式noteという形で、経営者の対談から部活動の紹介、あるいは小田原グルメまで多種多様のネタを投稿し続けている活動を突っ込まないわけにはいかないんですよ。
 ちょっと稀有な人材がベンチャー気質の中で、今後も創造性をもって中長期的に活動を続け成長していってもらうために、どういうマインドでこういう活動をしていて、どういう手応えを感じているか、この活動を通してエンゲージメントがどうあるのかということはぜひ聞いてみたかったのです。これはIR担当ではなく経営サイドに聞いてみたかったですしね。
 それで、印象に残った点としては、まず社員の自主性に任せているという部分が想像以上であった事です。答弁の最後に、樋口さんは今後の運営について期待をしていると仰っていましたが、これはいい意味で任せているんですね。樋口さんは事業でも事業部長へどんどん権限委譲させていますし、多くの経営者を創っていくという姿勢を示しています。このnoteの活動でもそのような雰囲気を感じました。そして色々な企画がある中で、自分が対談とか想いを語れと言われれば語るし、それを社員が自発的に記事にしている。
 私はこの効果って大きいと思うのです。つまり、日常的に接する事も多いだろうHameeでの経営者がより親近感をもって、また深いレイヤーでその想いに直接触れる機会を得られているということになります。とすると、経営のメッセージもより浸透しやすいですし、その社員のエンゲージメントも高まるし、それがモチベーションになる。当然若い会社なので、多くの失敗をするのですが、それは些細なことなのだと思います。こういう活動を通して樋口さんが感じられているエンゲージメントのよきスパイラルが共有出来た点はよかったと思いますし、その運営のイメージも自分のイメージに近かったのでとても満足でした。
 採用面ではまだ手応えは多少という程度のようにも聞こえましたが、ここはぜひもう少しアピールして欲しいですね。この魅力が伝わることで、熱きエンジニアなどの方が集う事を祈っています。早速採用ページも水島さんのメッセージに置き換わっておりますし、いいですね。


 取引先との共創については、直接言及はありませんでした。Hameeが取引をしたり、一緒に事業を創っていこうという会社の多くはベンチャー気質のある会社だと思います。そういった時にこういった社員がみえる会社というのは名刺代わりとしてはいいと思いますし、こういう所の化学反応からビジネスが始まることもあるはずだと思っています。この辺りも定量的に成果を推し量ることはできないでしょうけど、間接的な要素として今後リレーション構築等でこの地道な活動が貢献なされるといいなと思います。

Q HamicPocketの販売戦略
 HamicPocketはそこそこエッジが利いていて魅力があると思っている。しかしながら、現状では自社サイトのみの販売となっており、これでは認知度の面から苦しいと思う。今後ランドセル売場や家具店などの脇に置いてもらうなど、販売戦略を考えて、まずは認知してもらう事が必要ではないかと思うが、どうのような展望を持っておられるか。
A
 まずプロダクトマーケットフィット(現状で顧客へ十分な価値提供を出来ているという状態を作っている)という所を目指している。この点に達すると市場にある程度受け入れらるという点に達した後に、拡販の戦略を本格化させていきたい。現状は自社チャネルのみで販売しており、まだ販促をあまりかけずに細々と運営をスタートさせている。これはまだマーケットフィットに達していないため、多くのチャネルで拡販をしてしまうと販促費を使うだけでなく、サポートしていく費用も嵩むことになるため、慎重にまずはこのラインに達せられることに主眼を置いている。
 今後のこととしては、年内めどにこの課題対処を行っていき、クリスマスあるいは新年度の需要に応えるあたりで販促を開始していけるといいなという展望をもっている。その際にはアドバイス頂いた点も踏まえて、どういう販促ができるのか、どういうチャネルを構築するかも検討していきたい。
■考察
 Bearの時もそうでしたが、長い道のりですね(笑)。販促をかける以前のまだテストマーケティングの延長での課題対処のフェーズということですね。端末の機能面、使い勝手など様々な難しさがあるのだと思いますが、まずここに対処していけるのかという最初のハードルへ今取り組んでいるということですね。そしてそれがある程度形になったとして、初めて本格的に市場へ販促をかけていく中で今度は受け入れられるかを試行していくということになります。この分はまだまだ前途多難という印象しかありません。まぁわかってはいましたし、むしろ私はその先の新規事業への取り組み姿勢の部分を質問したかったので、その前段として理解を得られた点はよかったです。

Q [要望]SDGsの取り組み
 SDGsの取り組みについて言及はあるが、その内容は弱いと思う。SDGsとなれば各カテゴリに沿った説明がなされるべきであるし、それが出来ないのであれば中途半端に言及はしない方がよいのではないか。
A
 SDGsの見せ方があまりうまくないという点があるのかもしれない。今後、新体制の下で、より実質的な内容を高めていくことに取り組んでいくことになろうかと思う。今後それらの活動を今とは違った形できちんとお示しできるように努力していきたい。
■考察
 私は全く気に留めていませんでしたが、確かに記載はまだ課題はありますね。まぁ今後期待してくださいということですし、実質的な取り組みを高めていくということですから、時代に沿った運営を期待したいと思います。

Q [要望]個人投資家向けの説明会
 IRTVなど決算説明会の動画は拝聴しているが、単なる朗読会のようでもあり、あまり伝わってこない。ぜひ、より想いが伝わる説明会をオンラインでもよいので開催検討していただきたい。
A
 個人説明会はオンラインでの開催を検討している。今まで機関投資家向けやアナリスト向けに注力してきた部分もあるが、個人に対してもクリエイティブ魂に火をということで、熱で燃えている様をご紹介できるようにしていきたい。
■考察
 以前は検討していくという姿勢でしたが、今回は検討している、だったので、そろそろ実現されるかもしれませんね。そしてこういう機会は何度も継続的に重ねていくことが大事だとも思うので、ぜひ一度だけやってみるということではなく、継続的に続けていってもらいたいなと思いますし、その際は朗読会は勘弁してもらいたいですね(笑)。

Q 配当について
 株主にとっては悔しい思いでいっぱいだ(株価が伸び悩んでいるという趣旨かと思います)。株価対策という点でも色々考えていかねばならないと思うが、その中で、配当性向が現状10%となっている。東証1部の平均的な水準としてみれば30%-40%はあって欲しい中で中計目標の20%に引き上げたとしてもまだまだ低いという点は否めない。株価が正当な評価を受けためにという点からも、適正な水準まで引き上げてもらいたいと思う。現状の水準、そして株価形成では長期投資家も根付かないのではないか。
 配当性向を今後どこまで引き上げられる展望をお持ちか、そのあたりを含めてお答えいただきたい。
A
 株価については、私も悔しいしご期待に沿う事が出来ておらず大変申し訳ない思いだ。配当については、今言えることは20%に中計達成時に引き上げたいということ。その後のことは、将来的には30%というところももっていくことがプライムにいくわけなので必要だとは思っている。しかし、プライムとはいえ、我々はまだベンチャー気質もあってまだまだ未熟な部分もあるし、今後の成長のために投資も必要という状況がある事も事実である。とはいえ、いつまでも投資ばかりしているのもよろしくないので、きちんとその成果をお返ししていくことも重要だと考えている。プライムとして恥ずかしくない会社としてその水準感も意識して取り組んでいきたい。ただ、現時点でいつまでと申し上げられないのはご容赦頂きたい。
■考察
 悔しいという株主さんの声に対して、私も悔しいと答弁されていました。ただ、ここでもやはりなんとなくその想いがどこか淡々としている印象なんですよね。とはいえ、大株主である樋口さんが一番がっかりしている事も事実でしょうから、株価の向上という点で企業価値向上やマーケットとの対話には努力を重ねていってもらいたいですね。
 配当については、私は今の水準は止む得ないかなと思っています。ただ、配当を抑制させることで、より自社で有効活用してもらいたいなとは思っています。特に新規事業はなかなか厳しい状況が続いていて、その投資がなかなか花咲かないため、成長率という面で緩慢に見えてしまい、結果、あれ、配当抑制している割にはグロース色弱くない?って見られてしまう、質問者さんのその懸念は理解できます。内部留保をきちんととって、それにみあう事業成長を果たして欲しいですね。今は色々失敗も多くて、厳しいですが、その失敗もその後の糧になるような、運営を期待したいと思います。

★Q 新規事業に取り組み姿勢について
 Hamic事業では元々Bearがあったが、これは初めてのハードへの組み込みシステムとしてのチャレンジで、ここに苦労をして遅延してきた苦労をされた。その後、Pocketへのチャレンジで、大手キャリアの価格戦略の見直しなどもあり再び苦労もされていることかと思う。このように新たなチャレンジは苦労も多いが、そういう姿勢は大事だし私は応援したいと考えている。
 このチャレンジに関しては、比護さんと社長の対談でも小さな失敗を重ねていく中で新たな創造をしていくという趣旨の記事があり感銘を受けた。この記事でもやはりクリ魂の精神面がとても大事だなと思ったのだが、一方で、現実的な戦術という側面も満たしていかないと、精神面だけでは新規事業を成功させていくのが難しい実情もあろうかと思う。
 クリ魂の精神面はさておき、これまでの課題や苦労、失敗を受けて今後どのように成功をひきつけていくおつもりか。新規事業へ取り組むにあたり、過去を踏まえてどういう点を大事にしていきたいと考えているか教えて欲しい。
A
 新規事業はいくつかある。既存事業の中で新規領域を開拓していくという取り組みもあるし、新規事業として取り組んでいるものも複数ある。そんな中で、Hamicに関して質問頂き、私(樋口さん)が所掌しているので、このHamicについてお答えする。
 Hamic初めて4年くらいが経つ。ネクストエンジンのクラウド技術とコマースの商品デザインの技術のシナジーという点と既にある流通網などを合わせた時に、そんなに難しいものではないかなと機会を見出して始めたものであった。しかし始めてみると、足りない技術も多く開発に時間を要して苦労をしたという経緯がある。それであれば必要な技術を備えた人材を集めればいいのではということになり、実際集めて再始動をした。しかし、今度は人数が集まるとそれをマネージメントする必要性が当然出てきて、そのチーム組成、マネジメントに課題が生まれた。そしてそういうマネジメント、推進者等も入れて今度はPocketへのチャレンジに着手してきた。
 新しい技術で新しい事業を生み出そうとした時に、そのチーム組成が盤石でないと上手くいかないという事が改めて反省として得られた。強いチームが継続的に組成されていないとうまくいかないのである。
 その後、チームメンバーとも直接相談をしたり、ボトムアップでどうあるべきかを考えた結果、今ようやくその形がみえてきたというところである。今後も未知の技術などにぶつかったとしても有機的に自律的に先を見越してチーム力でそれを乗り越えられる体制というものが構築できつつある。ここにきて推進力が高まりスピード感も高まっているというのが今である。
 失敗の原因は様々でその時々で対処はしてきているが、本質的にチーム力でそれを乗り越えられるような仕組みを作ることで今後同じような未知のことにあたったとしても失敗を回避できる、極小化出来ると思う。
 事業も人が作るものだし、その人が集まるチーム力を本質的に向上させることが、新規事業において大切な事なのだと考えている。
■考察
 質問の中で引用した記事はこちらです。

 私は日ごろ、Hamic事業とか大丈夫かな、といつも懸念を示す発言もしているので、HamicPocketどうするの?って直接聞いてもよかったのですが、既に前述の通り他の株主さんから質問もして頂きましたし、そもそも一事象というより、会社が今後も意欲を示している新規事業というものへの取り組み姿勢という大枠で聞いてみたかったので、この質問をしました。抽象的ですし、やっぱりそれ聞いてどうするの?って質問かもしれません。
 今回のご回答ですが、いいなと思ったのは、結構実直に振り返りを語ってくれたことです。Hamicの構想を描いた時の、案外いけるんじゃない?のライトな始まり、しかし、実際に初めてみると技術的な問題でまず出鼻をくじかれ、そしてチーム力もなくなかなかうまくいかないという、よくある話ですよね。でもそういう経緯をきちんと樋口さんから伺うのは初めてでした。Hameeはベンチャー気質の高い会社なので、良くも悪くも、アジリティが高くその場その場でトライアンドエラーするような運営です。ですから、もっと用意周到に、失敗リスクをきちんとヘッジして、みたいな私のような大企業病の発想とはまるで違うんですよね(笑)。で、投資家サイドに立つと、より失敗を許容できなくなるのです。でも私はHameeの株主としてそうはありたくないと思っています。
 とはいえ、こういうわかりやすい失敗を重ねる中で、クリ魂という精神論だけで片付けて欲しくないというのも事実です。創造性高く、マインドで乗り越えていこうというのはあまりにロジカルではありませんからね。だから質問でも敢えて精神論をあげて、それと切り離して、と質問しました。
 樋口さんはそのことをわかって下さったのか、課題の根源はチーム力だと仰っていました。まぁ結局人に帰着するわけなので、当然の結論なのですが、それを樋口さんの原稿読みではない素直な気持ちとして伺えたのはよかったですし、その本質は私も同意なので、違和感なく、答弁を聞かせて頂きました。
 Hameeが今後新規事業にも取り組んでいくといった中で、先の質問で社員のエンゲージメントに関連してnoteの事を聞いたのにも繋がるのですが、以下に内部の人材レベル、組織力を高めていってくれるかにかかっていると思っているのです。市場データがどうとか、ビジネスモデル設計がどうとかは確かにとても重要なのですが、この会社にそういうものさしをあててもつまらないんです。創造性を高めようという企業文化は醸成されているし、そういう個が集まるところまでいっている。そしてその個が活躍しようとしている中で、その個を組織としてどう高めていくかに課題があると思うのです。ですから、課題を冷静に受け止めて、まだ今後もチャレンジしていく中でぶち当たる壁を乗り越えていけるための方策がこのように前向きに構築出来ているとしたら嬉しいなと思いました。
 一朝一夕にチーム力は高まりませんし、またその苦労は続くと思いますが、こういう視点で今後もトライアンドエラーしながら楽しい創造活動を続け、我々株主も驚くようなビジネスを仕掛け、成長力を高めていってもらいたいなと思いました。

Q [要望]総会の運営について 
 総会の運営が堅実なのはとてもいいのだが、一方でHameeらしさというかクリ魂にあるような熱があまり伝わってこないのも事実。もう少し緩くてもいいので、我々株主もHameeを感じてエンゲージメントが高まるような運営を検討していただきたい。
A
 コロナ前の総会では控室で事業の紹介などを社員が法被をきながら飲み物も提供させてもらいながら、フランクに交流を持てるような場を作った。そこから深化させていこう、というイメージはもっていたのだが、そこからコロナになってしまい、そういう機会も喪失することになってしまった。
 ただ、アフターコロナ、ウィズコロナを踏まえたHameeらしさが伝わる総会検討は今後新体制できちんと議論していきたい。今後楽しみにして頂きたい。
■考察
 とにかくお堅い樋口さんの素の姿を感じたいんですよね。樋口さんが水島さんや比護さんを口説いて入社させたりしている様子とか、入社式で若い世代に語り掛けている様子とかの火をつけて燃やしている様子と総会の様子があまりに違い過ぎるんです。ですから、もっと経営陣の本性を感じられるような総会であって欲しいし、それが長期投資家を根付かせる大切な点だと思うのです。創業者でもあり大株主でもあるのですから、ある意味もう少し肩の力を抜いて、一緒に共感したい、そういう思いです。
 2年前のご当地サイダーを頂きながら、社員の皆さんと交流し、総会後に役員の皆さんと神社で祈祷を受けたような距離感をまずは取り戻したいですね。

Q ネクストエンジンにおけるデータ活用について
 多くの会社がネクストエンジン使われている中で、このようなデータを活用していくようなことは考えられないのでしょうか。
A
 ネクストエンジンのビックデータを活用して様々な機能を提供している。表に出ている機能としては例えばデータ活用してリコメンド機能などを提供しており、これはエンドユーザーへリコメンドを付与することで、+αの売上を創出することができる。従来無料で提供してきたが、一定程度機能性も高まり、先月から有料化するようになった。+α分の5%を徴収するモデルなので、利用者にもリスクもなく使ってもらえる。このような活用事例を今後も重ねていきたい。
■考察
 最初RUKAMOについて質問したいと質問者さんが話されたので、おおっって思ったのですが、質問は違いましたね。いつもRUKAMOでまな板ばかり出てくるんだけどとか聞いて欲しかった(笑)。
 冗談はさておき、データ活用についてですね。リコメンドの性能が高まり有料化までいけたというのはいいですね+5%の有料化がどの程度業績に寄与するのか、そもそもリコメンドでどの程度+αがあるのか母数もわからないので、よくわかりませんが、まぁWin-Winでいいですね。
 今後こういう活用事例などが色々多面的に出てくるといいですね。

Q コスメへの展開の詳細について
 定款変更にもある通り、コスメ事業へも取り組むとのことだが、具体的にどういうものか。ものを作るのか、仕入れるのか。
A
 韓国のHameeグローバルと本体とで立ち上げる事業。ものは韓国で製造し、これを日本で販売するモデルである(一部韓国でも販売)。どういったコスメとなるかは申し上げられないが、開示タイミングが来たらお知らせしたい。iFaceブランドが20代後半から30代に指示されているブランドであり、このセグメントに刺さるような商材を提供していきたい。長らく、iFaceだけでは顧客接点を継続的に持つには課題があったが、より日常にリーチする事が出来ればいいなと考えている。
■考察
 この答弁だけは水島さんがなされました。ソツのない回答ですね。
 私もこのコスメは優先度は低で用意していたんですが、まぁ明確な答弁はして下さらないですよね。コスメって認知や販売が特殊だと思うのですが、この辺りをどう対処していくんでしょうね。それかiFaceの横に並べれば売れる位に思ってるとしたら危うい気もするんですよね。アットコスメなどの口コミサイトへの対応、インフルエンサーマーケ等の販促などなど…。

5.さいごに

 はい、今回もかなり長くなりましたね。

 ちょっと気になったのは、何度か樋口さんが「新たな経営体制で~」と仰ったことですかね。色々なすべきことに対してこういう表現を使われていました。今後も樋口さんも引き続き経営に参加されサポートされるとありますが、一方でこのようは表現はどこか距離感を持つようにも受け止められてしまいます。いや、樋口さんなりの後進への期待であったり、配慮なのかもしれません。どちらにもとれますし、たぶん後者なんだと思うのですけどね。

 あと、総会後、前IR担当で現在ベンチャー事業の室長さんに執行役員として着任された冨山さんがご挨拶にいらしてくれました。唐突にIR担当から離れられたので大変気になっていたのですが、お元気そうで嬉しかったです。銀行員時代のベンチャー事業の経験も活かし、今後のご活躍を祈念しているとお伝え出来ました。かつて喧々諤々とお電話やメールで議論させてもらったのも懐かしい思い出です(笑)。

 総会後はあまりに暑くて、毎年恒例のかつおぶしを買って、駅前に出来た新商業施設を軽くチェックするくらいにして小田原を後にしました。

 今後もクリ魂に火をつけて、株価にも火をつけてもらって、頑張ってもらいたいですね。

 頑張れ、Hamee!

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