8月に読んだ本たち~晴れ過ぎる日々の中で~
とにかく暑いし、とにかく雨が降らない。
梅雨の時のあの豪雨はどこ行った???ってくらい、この夏は雨が降らない。
これ大変な異常事態。なんたってここは雪国。つまり雪の季節以外は雨が常駐している地域なのに。
この1ヶ月ほぼまとまった雨がない。そして熱い。もう暑いではなく「熱い」
田舎=涼しいの特権どこ行った?
そんな8月に暑い、熱い、部屋でなんとか読んできた本たちの紹介(ちなみに冷房なし・・・・です・・から)
女が死んでいる(貫井徳郎)
しょっぱなにザワザワするタイトルだけど、私の何かに引っかかってしまったのだから仕方がない。「爽やか」「希望」「感動巨編」などに常日頃憧れているはずだか、結局私の好きなものは正反対に位置している。
しかしミステリーな「どんでん返し」の短編集だけど、最後の「レッツゴー」は題名からしてこの短編集に入っているた作品と雰囲気が異なるし、終わり方もある意味「爽やか」だったのではないだろうか。意外な気もしたけど、思わぬ爽やかにも救われた。いや、見る人によっては爽やかか?なのかもだけど。
エゴイスト(高山 真)
映画化された作品。映画はまだ見れていないけど気になりすぎたところたまたまブックオフで発見したので即買い。
あらすじでなんとなくの不穏、結末はハッピーエンドじゃないんだよな(映画の予告にしてもだけど)と想像できるが、そうきたか。
やっぱり、映画も観たいなあ。
家日和(奥田英朗)
「我が家の問題」「我が家のヒミツ」に続くシリーズ。続くというか実際、続いているのは小説家の主人公とその家族(おもに妻関連)をめぐるお話のみ。そして私の読む順番がめちゃくちゃだから「家日和」は順番でいえば2番目だけど。まあほとんど関係なくそれぞれ短編なのでサッと読める。
1話目の「サニーデイ」はネットオークションにハマっていく主婦の話。今はメルカリしかしていないが、一時期は私もヤフオクを出品、購入ともに多用していたので「それ、わかる~!」があるかなあ、と思いきや、小物、小銭のやり取りがほぼだった庶民中の庶民:私。と違って、何気に高価な物の出品をしている主人公とそのお金の使い道、ひとりで特上寿司を食べる、フレンチのランチ、エステに使う等は、なんだか違うなあと共感できず。
かといって、私はオークションの売り上げを何に使ったのだろうか?と考えるも、それも思い出せず。それもどうかと思うが。
言い寄る(田辺聖子)
「苺をつぶしながら」が思いのほか面白かったので、その話が実はシリーズの3冊目と知り、残りの2冊も早速ゲットしてしまった。装丁がこのシリーズのものが良かったので、あるかなぁと半ば諦め気味だったが、意外と探せば単行本でこの装丁もすぐに見つけられた。ネットバンザイ。
これはシリーズの1番目。見る順番がまるっきり前後してしまったが、結末?を先に知って読むのもなかなか良かった。
ハンカチの模様的にはこの本の柄が一番好きかな(なんの感想?そして感想は??)
私的生活(田辺聖子)
引き続きの。
この柄も好きである。要するにこのシリーズの装丁は全部好き(何度言う)
装丁によってはたぶん読まなかったんだろうなあと思うと、私の本の趣向って装丁によってだいぶ左右されているなあと、つくづく感じる。随分もったいない事もしてると思うけど。
シリーズは中間の2巻目。読む順番を間違えたが、あとから「言い寄る」「私的生活」を読む事によって、「苺~」を読んだ時に単純に感じた「なんで別れたのにあの感じ悪い元旦那と、、、、」がスッと無くなっていく。
全部読めてよかった。
わたしたちは銀のフォークと薬を手にして(島本理生)
古本屋で2冊並んでいた島本理生作品の単行本。題名や装丁にも惹かれたが、目次がなんだかよかった。
蟹と、苺と金色の月
雨の映画館、焼き鳥、手をつなぐ
日曜日のお好み焼き、紅葉、夫婦だった
など。
その章ごとの話の内容を想像させる題材。
この人の書く文章や構成はやっぱり好きだなあ。
2020年の恋人たち(島本理生)
古本屋に並んでいたもう一冊。ひょっとして同じ人が出したのかなあ???と思いを馳せてみる。
こっちの本にはちょっとした「おまけ」が付いていた。
購入時のレシートである。
私は古本特有のちょっとした思わぬ「おまけ」が好きである。
レシートの情報だと、私の知っている書店(田舎なので限られているけど)で購入したのは2年前のまだまだ寒さが残る春先、時間は20時過ぎだった。
こんなの読み取って何が楽しい?と思われそうだが、その情報だけでもちょっと妄想?出来る時間が楽しい。
仕事終わりにこの本を買って、併設されているカフェでカフェラテ片手に数ページ読んだのだろうか?
それとも、ひとり暮らしのアパートに帰って、ペヤングソース焼きそばでもすすりながら黙々と読んだのだろうか
などなど。
なぜそこでペヤングなのかは、全く不明だが・・・
あー焼きそば食べたいなあ久しぶりに。かんすいダメだから食べれないけど(泣)
感想は?
永遠のおでかけ(益田ミリ)
すーちゃんシリーズで知ってから、大好きな作家のひとり。
そのすーちゃんシリーズで、すーちゃんのお父さんが亡くなるくだりがある。
すーちゃんはそれを母からの電話で知らされる。
急に倒れたから、、、という電話の後、空港で実家に向かうところで再び「亡くなった」事を知らされる。父親が亡くなったと知った後で食べる空港でのおにぎりの場面。
なんだかリアルに感じた。
実際にご自身の経験をもとに描かれたかは分からないけれど、「永遠のお出かけ」では、ガンを患っていた父親の訃報も母からの「もう2、3日かもしれない」からの立て続けの「亡くなった」知らせを受ける。
実家に向かう途中で悲しくても腹は減るとサンドイッチと稲荷ずしを大量に買う。
「悲しみ」に空腹を強制してはならない。
と言う言葉が印象的だ。
そして
自分の到着を待たずに、亡くなってしまった事に対し、生きて待っていて欲しかったと思う反面、それは違うと思いなおし、これは父の死なのだから父の人生だったのだから、誰かを待つ待たないなどではなく、父個人としてとても尊い時間だったのだ。待ってほしいと願う事はおこがましい事なのだと綴っている。
悲しくてもいろんなことを並行して考えている自分がいる。とも。
原稿を早めに送ってよかったなと思ったり、そういえば話がきていた、おもしろそうな旅の仕事受けてみようと思ったり、今来た車内販売のコーヒー、飲みたいと思ったり。
生きているから、ひたすら悲しい、ばかりは浸っていられない。だけどすぐに前向きになれる訳でもない。
父が好きだった場所、事、モノ、の突き当たる度、悲しさや後悔が襲ってくる。
その中でも日々は通り過ぎていく。
いつかわたしもきっと親しい人の別れを迎える。そんな時にそんな風に思える日が来るのか分からないが、その時はきっとこの本を思い出したい。
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